Chicago Shimpo
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シカゴ-大阪  社会福祉交流報告会

愛隣地区、性的少数者運動、高齢者福祉、障害者支援、精神障害者支援

• 第6回シカゴ-大阪社会福祉交流に参加した4人の発表会「国際事情を越えた効率的な社会福祉を学ぶ」が4月14日、在シカゴ総領事館広報文化センターで開催された。シカゴ-大阪福祉交流は、障害者や高齢者へのニーズとサポートの理解を深めようと2008年に始まった。社会福祉制度の改善、弱い立場にある人々への福祉提供の在り方を改善することを最終目的としている。同福祉交流はシカゴと大阪市で毎年交互に行われ、多分野に亘る福祉専門家達が集まり交流を深めると共に、最良の福祉実践を分かち合っている。
• 第6回福祉交流は昨年11月7日から13日にかけて、シカゴの専門家らが大阪市を訪問した。第6回のテーマは「社会から周縁化された人々に手を伸ばすこと」。

愛隣地区

• アカネ・クマガイさんは愛隣地区を訪れた。クマガイさんはシカゴ市にあるローススタインCOREセンターで症例管理コーディネイターとして仕事をしている。
• 大阪市の愛隣地区には多くの日雇い労働者やホームレスが集まっている。クマガイさんは自動販売機で飲み物が10円から30円で売られていることや、労働に必要な軍手やブーツ、ズボンなどを販売している店があることに注意を引かれたという。
• 感心したのはホテル。日雇い労働者のための快適な設備があり一泊1,000ぐらいで泊まることができる。そこには通いの医者も来ていた。愛隣地区の住人は殆どが男性で、そのホテルも男性専用。
• ホームレス用のシェルターもあった。一部屋に約200のベッドがあり、室内は清潔だった。
• また、ドロップイン・センターもあった。そこは日雇い労働者やホームレスのための施設で、社会福祉機関がカラオケや、絵を描いたりするアートセラピーなどの心理社会的な活動を提供していた。
• クマガイさんは主流社会から取り残されている家族のためのデイ・ケア・センターも視察した。そこには多くの子ども達がおり、無料食事の提供やや子ども達のための教室が開かれていた。
• また、日雇い労働者やホームレスの人々が花を植えたりして環境整備に貢献しているのを見た。クマガイさんは「たとえその人達が他の場所に移って行くにしても、そういった活動はコミュニティ意識を産み出している」と語った。
• クマガイさんは精神病を患っている人達の施設で、ある男性が書いたものを見た。それには「人間がかかる最悪の病気は、誰からも必要とされていないということ」と書いてあった。クマガイさんは「それには心を打たれました。シカゴでの私の仕事でも、周縁化された人々が必要とするのは、他の人々と繋がっているという感じを持つことだからです。多くの場合、疎外感がホームレスになる原因かも知れません。なぜある人々が社会から取り残されるのかを考える時に、とても重要なテーマです」と語った。

LGBTと淀川区

• クマガイさんは大阪市の性的少数者LGBT(lesbian, gay, bisexual, and transgender)運動についても語った。特に淀川区ではその運動が進んでいる。
• 「ジェンダーX」という活動グループはLGBTについての認知と教育を行っている。淀川区役所の職員の身分証明書にはLGBTの虹色のマーク付いている。また、毎月2回、同区役所内でLGBTに関するプログラムが行われている。淀川区は公式にLGBTを支援する日本で初めての行政区となった。同区ではLGBTについての教育やいじめ対策を書いたパンフレットが学校の先生のために用意されている。
• また、LGBTの職場における人権、遺産相続の権利、ブラックメール(暴露するという恐喝)などの安全問題も強調されており、同性婚の男性弁護士カップルが支援している。

高齢者福祉

• クマガイさんは、同じく大阪を訪問したマリア・ロアザさんに代わって、大阪市の高齢者対応について発表した。大阪市長室で多くの話し合いが行われたという。その主な内容は社会保険、障害者保険、長期介護保険、1950年から導入している公的支援制度、日本第3位という大阪市の高齢者数だった。
• 訪問団は在日韓国人高齢者のためのデイ・センターを視察した。若い時に日本語の読み書きを習う機会がなかった人達で、日本語読み書きや日本の歴史を勉強している。昼食が無料で提供され、その後は外に出て学生やボランティア・グループとの交流が行われている。こうした活動が高齢者に楽しみを与えているという。
• 訪問団は夜間学校も視察した。そこでは65歳以上の人達に、高校までの教育を提供している。生徒は主に韓国系、中国系、その他の外国系の人達で、年齢は70代から80代。生徒達は勉強することによって自信をつけているのだという。

障害者支援

• レスリー・クックさんは障害者開発について発表した。クックさんは自閉症者のための施設ジャイアント・ステップスで第二次サービスのディレクターを務めている。
• クックさんは大阪市長室を訪れ、多くのディスカッションを行った。クックさんが特に気付いた点は、身体的障害者と感情面での障害者各々への支援の必要性。もう一つは認識障害者への支援の必要性。米国では身体・精神両方への支援が行われているが、大阪市では体育面での支援が主となっている。
• クックさんはエルム大阪サポート・センターを視察した。そこでは自閉症についての教育と擁護を行っている。クックさんによると、自閉症分野ではどの様なニーズに応えるかの情報収集中で、実際のサービスはまだこれからだという。擁護者達は「社会的な烙印」を打開しようと努力しており、そうなれば自閉症者を持つ家庭の人々も支援を求めやすくなると語った。

• 大阪と米国の類似点は、熱心な支援運動。支援者らはニーズの高い分野にサービスを提供しようと、その道を探っているという。また、介護士の教育も求められている。
• 相違点は教育サービス全体と、多様なニーズとプログラムへの対応。金銭上の支援も違っている。大阪市では市政府に金銭的支援を求めるのに対して、イリノイ州では支援団体からの寄付や助成金で運営の道を探している。
• クックさんは交流プログラムから学んだとことして、支援への情熱、サービスやプログラムについての提携やより包括的なプログラムの必要性、コミュニティや家族のサポートの欠如に対する挑戦、障害者のための雇用創出の必要性をあげた。

精神障害者支援

• ジョナス・ギンスバーグ氏は、コミュニティで運営されている精神疾患や障害を持つ人達やその家族のを支援する「地域生活支援センター すいすい」を視察した。ギンスバーグ氏はアジア系福祉施設でクリニカル・マネージャーを務めている。
• 開設に当たってすいすいは地元民の強い反対に遭ったが、1999年に開設した。クライアントは在日韓国人と日本人。プログラムは個々のカウンセリング、精神障害当事者がスタッフとなっているピア・グループによるサポート、入浴などの衛生面での支援などがある。また、障害者家族の相談にも応じている。すいすいでは精神障害当事者をピアスタッフとして雇用しており、ピア・グループによるサポートが印象的だったとギンスバーグ氏は語った。
• 視察を終えたギンスバーグ氏は疎外感との戦いはどこも同じだと語る。擁護者の役割は、クライアントの人達同士、またその人達のコミュニティと一体感を持てるようにサポートすることだという。
• またギンスバーグ氏は「日本の弱さを見、反対や社会的偏見にも拘わらずサービスを提供する人々の勇気を見た」と語った。

• 尚、同発表会はシカゴ姉妹都市インターナショナル、在シカゴ総領事館の主催、ジョイス・チェルバーグ氏の協力によって開催された

Akane Kumagai, Case Management Services Coordinator at the Ruth M. Rothstein CORE Center

Leslie Cook, Director of Secondary Services at Giant Steps

Jonas Ginsburg, a clinical manager at Asian Human Services