Chicago Shimpo
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第11回若手研究者発表会(1)
意外と知らないアルミの世界

• アルミニウムはゼロ戦にも使われていた! 抗体ってこんな風に働くのか! こんな興味をそそる第11若手研究者発表会が4月24日、在シカゴ総領事館の広報文化センターで開催された。
• 同発表会は、シカゴで研究している人達が互いに助け合おうと「Japanese Researchers Crossing in Chicago」を創設し、各々の研究内容も発表し合おうと始まった。専門家の集まりだが、各々の発表は専門外の人達を対象に行われるので素人にも分かり易い。一般の人達の参加も歓迎している。

今回の発表は:
● 「アルミニウム産業の歴史と現状」by船塚達也氏、Visiting Ph.D. Student at Northwestern University。
● 「抗体の働くしくみ」by 浅野裕太氏、Ph.D. Student at University of Chicago
● 「日本、音楽、そして若者文化-1960年代のうたごえ運動におけるフォークソングの影響」by 李俊熙氏、Ph.D. Student at University of Chicago

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アルミニウム産業の歴史と現状

• 発表者の船塚達也氏はアルミ産業が発達している富山県の隣、石川県の出身で、現在はノースウェスタン大学の博士課程でアルミニウム合金を用いたマイクロ加工の研究を行っている。

アルミニウムの歴史

• アルミニウムは生産されてから100年程しか経っていない新しい金属で、1900年代半ばから後半にかけて非常に多く生産された。この間に第二次世界大戦があり、アルミは軍事産業の貴重な金属として注目され、生産が活発化された。
• 戦後は軍事産業で開発された製造技術を元に、様々な製品に使われている。1990年前半にはアルミの生産場所が先進国から新興国に移り、製造量が急上昇することになった。果たしてアルミが注目を集めるのはなぜか?

アルミニウムの特徴

• 軽い。比重は鉄の3分の1。自動車や飛行機などの軽量化を可能にしている。
• 錆びにくい。
• 加工し易い。
• 導電性が良い。(胴の60%だが、比重が胴の3分の1なので、同じ重さの胴と比べると約2倍の電気を通す)。日本の導電線には殆どアルミが使われている。
• 無害無臭。食品や医薬品の包装、医療機器に利用されている。
• リサイクル性が高い。

• アルミの欠点は柔らかいこと。曲げる時に必要な力(せん断力)は鉄の3分の1しかない。 

アルミ合金

• アルミに他の金属を混ぜて合金にすることによって、軽さを維持したまま強度を上げることができる。混ぜる金属元素は多くても約5%、その他の添加物を合わせても10%未満であり、合金にしても比重は変わらない。また、合金にすることによって、耐食性、加工性などを上げることができる。

• アルミ合金には大別して7つのグループがある。
• 1000系:純粋のアルミニウムで、鍋やアルミフォイルなどに使われる。
• 2000系:胴を添加したアルミで、ジュラルミンと呼ばれる。航空部材や産業ロボットのアームの部品などに使われる。
• 3000系:マンガンを添加。アルミ缶、アルミ製の屋根などに使われる。
• 4000系:ケイ素を添加。アルミ製の壁、自動車のエンジンシリンダー内のブロッカーなどに使われる。
• 5000系:マグネシウムを添加。強度が高くなり、アルミホイールや船舶の船体などに使われる。
• 6000系:マグネシウムとケイ素を添加。アルミサッシやガードレールなどに使われる。
• 7000系:亜鉛とマグネシウムを添加した非常に硬い金属。ジュラルミンを越えた超超ジュラルミンと言われる。ロードバイクの支柱、航空部材、スキーのストックなど強度を要する材料に使われている。

• アルミ合金の中で最高強度を持つ7000系は、小回りがきく強い戦闘機を作るために日本の科学者が発明したもの。これを使って作られたのが、旋回性能に優れたゼロ戦だった。
• ゼロ戦の機体は後に分析され、米国や他国でも使われた。B29や他の戦闘機にも使われるようになった。


船塚達也氏の研究

• 富山県のアルミニウム産業の生産量は日本の4割を占め、アルミの高い加工技術を持つ。ここにマイクロ加工技術を導入できないかと、今注目を集めているという。

• アルミ合金の加工には、機械加工と塑性加工の2種類がある。前者は削り取って目標の形を作るもので、精度は高いがコストも高い。後者は叩いたり曲げたりして目標の形を作るもので、精度は落ちるがコストが安く大量生産に向いている。
• 船塚氏の研究は、塑性加工にマイクロ加工技術を取り入れ、精度が高いものを低コストで大量生産できるようにしようというもの。

• 塑性加工の一種に押出加工がある。型にはめて押し出す「ところてん」のイメージ。形さえ決まればどんな形にも成形できる。
• 例えば直径2ミリ弱の釘のようなものを作る場合、材料を型に入れパンチで押すと、材料が型とパンチの僅かな隙間からはみ出して、釘の頭の所にカップができる。このカップができないようにするには、どうすれば良いのか。①熱処理、②工具の形を変える、③摩擦を減らす、この様な対処方法を研究している。

• 船塚氏は「いろいろな加工条件で加工することによって、アルミニウムのマイクロ押出加工技術の確立を目指している。マイクロ加工の産業革命ができたらなぁと思います」と語った。


Tatsuya Funazuka, a visiting Ph.D. student at Northwestern University


The usage of Almin