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日本の物作りは
どう生かされているのか?

パネルディスカッション:
デザインと物作り

• マーケティング会社ローニン・グループのボブ・クマキ社長をモデレーターに、5人のパネリストによる物作りについてのディスカッションが4月25日に在シカゴ総領事館広報文化センターで行われた。これば米日カウンシルとJET同窓会シカゴが共催したもの。
• パネリストはスタイル&デザイン・スタジオのディレクター、スティーブン・フィッシャー氏;ショコラティンのオーナー和田理恵子氏;建築家のアンナ・ニノユ氏;TOTO USAの地域セールスマネージャー、マイク・ハリガン氏;TOTO USAのイースト&カナダ営業部の山村徹社長。

• Q:ユニバーサルなグッド・デザインはあるのか?
• あるとすればそれはどんな意味があるのか

• 高級品デザイナーのスティーブン・フィッシャー氏は、今日のグローバル社会にユニバーサル・グッド・デザインはあると言う。しかし、地域差異は考慮すべきだと話す。

• マイク・ハリガン氏は、ユニバーサル・デザインがユニバーサルな人間にとって良いデザインであることがTOTOにとって重要なことだと話す。
• また、山村徹社長は、日本とヨーロッパのデザインの違いについて、TOTOはユーザーの快適さや製品の機能を最優先に追求するが、ヨーロッパでは見た目の美しさや豪華さが優先されると語った。

• アンナ・ニノユ氏は、ミース・ファン・デル・ローエの哲学は「デザインはスペース」という事だが、興味深いことにユニバーサル・スペースは日本の簡素さや「間」の取り方に合致すると語った。

• Q:チョコレートのデザインは人、文化、デザイナーが関係するのか?

• 和田理恵子氏は、ヨーロッパでもアメリカでもない、自分自身のイメージから独自のチョコレートを創作した。日本で生まれ育った和田氏は、山椒や抹茶など日本の食材も使い、日本のコンセプトをチョコレートに表現している。また、味が悪ければ人々がチョコレートを楽しむことはできない。味が一番大切なエレメントだと和田氏は語った。

• Q:日本のコンセプトを加味したユニバーサル・デザインを、どの様にして異文化社会に入れていくのか? ユニバーサル・デザインは誰もが楽しめるものなのか?

• TOTOのハリガン氏は「我々はこの40年間、まさにウォッシュレットなどの製品と共に(米国の)文化を変えよとしている」と話す。「製品を一つの文化からもう一つの文化に広げるのはエキサイティングなチャレンジで、人々の心を違う文化に開くことになる」と語った。

• Q:どの様に文化をデザインに表現するのか?

• 世界の国々の企業と仕事をしているフィッシャー氏は、今日の、特にファッション分野では繊細さを感じるという。デザインはある文化と関係していて、その文化に対する尊敬の念があるという。また、グローバル化した国々にはより良いデザインに引き上げる機会があるという。良いデザインの製品には誰でも接近でき、美に対する意識もユニバーサルになっているという。

• Q:物作りは単にものを作るだけでなく、職人の精神や技が込められている。その様な精神と技をどの様に製品に生かしているのか?  また、職人技は高級品にも日用品にも使えるのか?

• フィッシャー氏は職人技はこの約20年間に製品製造産業に世界的に広がっているという。アメリカでは製品が高水準になってきており、より多くの製作者達が詳細に注意するようになって来たと話す。

• 山村社長は、TOTOの最終製品は機械で作るが、製品は瀬戸物であるため、モールドで作った製品の原型は最終製品になるまでのプロセス中に15%から20%小さくなる。そのモールドには職人の経験と知識が生きていると語った。

• Q:1960年代、かつて日本の製品は「安物」のイメージだった。それを乗り越えたのは、製品の質、デザイン、それとも消費者を理解したからか?

• TOTOのハリガン氏は「それは私がまさに経験したことだ」と述べ、自らの経験を語った。
• ハリガン氏が16年前に同社で働き始めた頃、日系企業であることや、日本の製品を販売することにいくらか神経質になっていた。しかし、半年から1年の間に、品質という意味に気が付いた。
• 1992年に連邦法が変わり、一回に流す水の量が3.5ガロンから1.6ガロンに規制された。この時に1.6ガロンに対応できる技術を持っているのはTOTOのみで、テクノロジー面からすると、TOTOは水保存の最先端を行っていたとハリガン氏は語った。

• Q:デザインをする時は自らのピュアデザインなのか、既にあるものを利用するのか?

• ニノユ氏は建築家として、顧客が何を期待しているか訊ねることから始める。ユーザーが必要とする建築物の機能とスペース、使用法が主要なカギとなる。住居であれば日々の生活パターン、家の中での動き、商業ビルであれば使用目的など、ユーザーを知ることから始める。また、建築場所の環境なども考慮してデザインする。

• ショコラティンの和田シェフは、顧客からの意見を求めるよりも、新しい味や食材や形を提案することが重要だと話す。その上でサンプルを提供して意見を求める。インパクトを与えるには挑戦と忍耐力が必要になる。
• 例えばカレーパウダー入りのチョコレートサンプルを多くの人に食べてもらった。カレー好きの日本人でも、ちょっと躊躇しそうだ。1年目、アメリカ人はノーの連発だった。2年目は少し良くなった。そして3年目は多くのアメリカ人が買うようになった。和田氏は「私はマーケットでテストする機会があり、結果を得ることができる。そして、トレンドを作ることができる」と話す。
• 和田氏はいろいろな形と味のチョコレートを1つの箱に入れ、ヴィジュアル的にも楽しめるように工夫している。また新しい味を提供しながらショコラティンへの興味を喚起していると語った。


Panelists from left: Anna Ninoyu, Rieko Wada, Mike Harrigan, Steven Fischer, Toru Yamamura, and Bob Kumaki