日本語メインに戻る
アンダーソン・ガーデン・
サマー・フェスティバル

伝統職人やアーティストが魅力溢れる日本を紹介

• ロックフォードにあるアンダーソン・ガーデンで8月19日と20日の両日、Japanese Summer Festivalが開催された。今年は京石灯篭職人・斎田隆朗氏と竹垣職人・真下彰宏氏に加え、京焼「蘇嶐(そりゅう)」の涌波まどか氏が京都からやって来た。鹿児島からは陶器のボタンに繊細な絵付けをした薩摩焼の室田志保さんが参加し、実演した。
• また、来年50周年を迎える日本吟剣詩舞振興会のスーパーチームのメンバー12人が特別出演し、目の覚めるような吟剣詩舞や吟詠を披露した。

• サマー・フェスティバルは法悦太鼓の和太鼓演奏で始まった。和太鼓の響きの中で福島の書道家・千葉清藍氏が「日々是好日」と躍動感溢れる書を描いた。日本の神話を表現するスパサリによる神楽面の踊り、吟剣詩舞、武神館道場による実演、合気道実演、衣装も華やかに阿波踊りのパフォーマンス、シカゴ琴グループによる箏演奏などが次々に行われた。今年は子ども達に人気の飴細工師・寺澤政次さんがフェスティバルに戻って来た。

• ビジターズ・センターでは鷹使いのテーブル、薩摩焼の実演展示、鎧甲の試着、着物の販売、京焼「蘇嶐」の展示販売、生花の実演展示、千葉清藍氏の書道などが行われた。

• 数寄屋造りの迎賓館や茶室、大滝横の東屋では茶道の説明や茶の湯のサービスが行われた。迎賓館近くの広場では、京焼や竹垣作り、石材彫刻の実演が行われた。また庭園内では、ミッドウェスト・コスプレイ・グループのメンバーとの記念写真撮影なども行われた。

• 開会式でアンダーソン・ガーデンのデイビッド・アンダーソン氏が来場者を歓迎。ロックフォードのトム・マクナマラ市長は「アンダーソンガーデンはただ美しいというだけでなく、異文化を知りコミュニティが一つになる特別な場所だ」と述べ、日本庭園を造ったアンダーソン一家に謝意を表した。

• 伊藤直樹在シカゴ総領事は、「日本庭園は敬愛の表れであり、日本の自然美と共に存在していることを経験できる。アンダーソンガーデンの中で静寂と癒やしの力を感じるだろう」と話し、この様な場所でサマー・フェスティバルが開催されることを嬉しく思うと語った。

• シカゴ日本商工会議所の山本真理渉外委員長は、木々から池の鯉まで手入れの行き届いたアンダーソンガーデンは米国の宝石だと述べ、庭園スタッフに感謝の気持ちを伝えた。また、迎賓館の掛け軸に記されている「日々是好日」のように、フェスティバルで庭園の隅々まで楽しんで欲しいと語った。

• 茶道を指導している郡司紀美子イリノイ大学名誉教授は「39年前にジョン・アンダーソン氏とリンダ夫人が撒いた造園の種が今日の庭園になっている。一人一人が平和の種を撒けば、やがて花が咲き世界平和に一歩近づく」と述べ「フェスティバルを楽しみ、平和の種を植えよう」と呼び掛けた。

• アンダーソンガーデンの支援者でもあるキッコーマン・フーズの清水和生社長は「ここに一歩踏み込めば別世界であり、心配事も消えてしまう。庭園の景観に浸り音を聞き、人生を顧み、自然の安らぎに浸れば世界はもっと良くなるだろう」と述べ、「フェスティバルを楽しみ、耳新しい音楽を聴き、新し人に出会えば人生が豊かになるだろう。そうすれば皆さんがなぜ日本が好きなのか分かるかも知れない」と語った。

• デイヴィッド・アンダーソン氏はフェスティバル終了後に「いろいろな民族背景を持つ多くの人々が日本の伝統文化や芸能への理解を広げに来てくれて、大変嬉しく思っている」と話し、日本の各都市から、またシカゴ地区や米国内からアーティストや職人達がフェスティバルに来てくれたことを大変幸運に思うと語った。
• また、フェスティバルでファーストクラスのプログラムを提供できるのは、キッコーマン・フーズ、日本吟剣詩舞振興会、BMOハリス・バンク、ナイコール・ガスからの支援のお陰であり、アンダーソンガーデンが質の高いファーストクラスの文化プログラムを継続するためには、日本ビジネス・コミュニティのスポンサーシップが非常に重要だと語った。

京職人

• 京焼の涌波まどかさんは今年初めてフェスティバルに参加した。陶芸家の夫と共に清水寺近くに「蘇嶐窯」という工房を出している。
• 涌波さんは福岡県の出身で、父は小石原焼の14代目。陶器作りを始めたのは大学時代で、教員になるべく教育学部を選んだが、その傍ら陶芸を専攻していた。家を継ごうと思い、大学卒業後は京都府立陶工高等技術専門学校に学んだ。そこで夫の4代目涌波蘇嶐氏と知り合い結婚、青磁や香炉を主に製作する涌波家の伝統技術と小石原焼の技術を融合させ、新しい陶芸品を生み出している。
• アンダーソンガーデンで実演していたのは、陶器に点々の模様があるもの。この模様は小石原焼の「飛びかんな」の技法を使ったもので、涌波家の青磁にも取り入れて作品を作ることもあるという。夫婦のコラボレーションで新しい感覚の食器などにも展開している。昨年はパリ、台湾、イタリア、オランダを訪問し、蘇嶐窯の作品を紹介したという。ウェブサイトはhttp://soryu-gama.com

• 斎田隆朗氏は京都府亀岡市にある斎田石材店の五代目で、灯篭を始め、石造彫刻、石材施工、墓石など、石材一式を扱っている。今年は庭園内にある「ミュージシャンの石」と呼ばれる石に「奏」という一字を彫った。「音楽を演奏する『奏』であり、ものを伝えたり、詩を伝えたり、『奏』にはいろいろな意味がある」と斎田氏は語った。ウェブサイトはhttp://www.saidasekizai.com

• 真下彰宏氏は京都長岡京市で竹に囲まれて育った。京都伝統工芸専門学校で教えていた師匠の長岡銘竹に就職し、20年の経験を持つ。昨年は米国の竹を使ったが上手く割れなかったため、今年は日本の竹を持って来たのだという。竹垣の枠を巻く竹は2ミリ幅に割った竹を使うという細かい作業。「手には竹も刺さるし、ナタもね」と真下さんは笑って話す。長岡銘竹の作品には竹で作ったシンプルなボトルスタンドもある。ウェブサイトはhttp://nagaokameichku.com

吟詠・剣舞・詩舞とは

• 吟詠、剣舞、詩舞のいろいろな流派の人々が会員になっている日本吟剣詩舞振興会(公益財団法人)が来年50周年を迎える。同振興会の広渡英治事務局長によると、その記念行事として来年は海外公演を予定しており、今回はそのプレリュードだという。

• 同氏によると、吟詠とは詩に節を付けて詠うもので、合唱するのを合吟という。剣を持って舞うのが剣舞、扇を持って踊るのが詩舞と呼ばれる。全国組織の日本吟剣詩舞振興会の会員は約10万人。会員になっていない流派の人々を入れると、約20万人が吟詠、剣舞、詩舞に勤しんでいるという。

• 今回来た12人のスーパーチームのメンバーは、全国大会で優勝、または準優勝を獲得した精鋭達。パフォーマンスはただの趣味ではなく、厳しい練習を積んだ非常に洗練されたものだった。

• 日本吟剣詩舞振興会では毎年、日本武道館で2日間の大会を開いている。この様な活動を海外でも知ってもらおうと、50周年となる来年は飛行機をチャーターし、250人以上による海外公演を考えているという。

パフォーマー・インタビュー

• 入倉昭鳳(いりくら・しょうほう 本名=慶志郎)さんは東京在住の大学生。愛知県の実家が日本壮心流の家元で、父親が宗家。昭鳳さんは2、3歳の頃に剣詩舞を習い始めた。
• 剣詩舞の特徴は漢詩や和歌を3分位の踊りで表現するもの。「小さい頃は父親に厳しく教えられて、今は割と自由に踊らせてくれているんです」と語る。
• 日本壮心流は中部地区をカバーしており、かつては1000以上の弟子を抱えていた。入倉さんは「やはり最近少しずつ衰退している傾向があるみたいなので、こういった海外活動を機に、また盛り返せればなぁと思っています」と語った。

• 五月女凱昂(そうとめ・がいこう 本名=智仁)さんは、3歳の時から栃木県宇都宮市にある剣詩舞を神刀無念凱山流(しんとうむねんがいざんりゅう)に学んだ。祖父や母が趣味でやっていたのが切っ掛けだった。現在は東京に住み、剣詩舞を教える傍ら扇の販売をしている。
• 剣詩舞を始めて24年、「一つ一つ作品を作り上げるのは難しいが楽しい」と語った。

• 多田正千衣(ただ・まさちえ 本名=麻衣子)さんは、小学校入学と同時に詩舞を始めた。父親が大阪に本部がある正義流詩舞同好会の家元で、自分で「やる」と言うまでは詩舞をやらせなかったという。
• 「作品ごとに登場人物の心情などが違うのでどう表現するか、詩舞だと風景を表すことも多いので、その表現をどう自分で表現するのが難しい。いろいろなパターンがあるので、作品によって変えるのが難しいですね」と話す。今回は漢詩だけでなく、キャッツの音楽に合わせて舞った。
• 海外公演は父に連れられて何度か経験した。「今回は初めて父がいない公演で、いつもよりは緊張しています」と語った。

• 森田夏星(もりた・かせい 本名夏代)さんは、祖父母、父母が鹿児島で代々吟詠教室をやっており、3歳の時から吟詠を始めた。流派は宮崎にある吟道藤星流。宗家に習いに行ったり、宗家が鹿児島に教えに来たりしてくれるのだという。
• 森田さんは現在熊本在住。「声をキープするのは毎日練習することかとなと思っています。(海外では)言葉の壁を感じることもありますが、吟詠を声と表現力で伝えられたらなぁと思っています」と語った。


サマー・フェスティバル、開会式


デイヴィッド・アンダーソン氏


人気のキャンディマン


法悦太鼓の演奏と、千葉青藍氏の書(右)


京焼の涌波まどかさんと、ジョン&リンダ・アンダーソン夫妻


京灯籠の斎田隆朗氏


竹垣職人の 真下彰宏氏


剣舞パフォーマンス。前列は入倉昭鳳氏