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日本食の魅力とは何だろう?
パネルディスカッション・酒テイスティング

 シカゴ・グルメを前に、フリーイベント「日本食に関するパネル・ディスカッション及び酒テイスティング」が9月22日、在シカゴ総領事館広報文化センターで開催された。
これは東京観光財団、在シカゴ総領事館、ジェトロ・シカゴ、JAL、トラベル・マッシヴが共催したもので、会場には九州の日本酒を世界に紹介する小林酒造、兵庫県の日本酒を促進するたなか屋、シカゴの日本酒取り扱い業者ヴァイン・コネクションズやTENZINGがブースを出した。
伊藤直樹総領事は挨拶で、日米友好を祝う在シカゴ総領事館設立120周年記念イベントの一環であり、日本料理や日本酒の情熱を分かち合いたいと述べた。
また、「和食」が無形文化遺産として登録されて以来日本政府は日本食と飲料を世界的に促進しており、日本酒の輸出は毎年10%の伸びを見せていると語った。
さらに牛肉先物で有名なシカゴに触れ「日本酒とステーキの組み合わせはどうだろうか。ステーキの街シカゴを、ステーキと酒の街にしよう」と呼び掛けた。

パネル・ディスカッション

 パネルディスカッションはシカゴの「食のレポーター」として知られるスティーブ・ドリンスキー氏がモデレーターを務め、スラーピング・タートルのオーナーシェフでシカゴ・グルメ立ち上げにも貢献した柳橋隆氏、シカゴトリビューンの食に関する記者ルイザ・チュー氏、江戸懐石近茶流嗣家の柳原柳原尚之氏、亀八レストランのオーナー、シャロン・パラゾリ氏、サントリー・ウィスキーのガードナー・ダン氏の5人がパネラーを務めた。
モデレーターのドリンスキー氏は映画「二郎は鮨の夢を見る」を見て、「日本の食文化や伝統は実際に行かなければ分からない」と訪日を決めた。以後何度も日本を訪れている。デパ地下と呼ばれる百貨店地下では、日本人の食への情熱に強烈な印象を受けたという。
この様な経験を持つドリンスキー氏は「日本料理がなぜアメリカ人を惹き付けるのか、なぜ興味を喚起するのか」とパネリストに問いかけた。
柳橋氏は「その理由はシンプル」だと言う。鮨二郎を見ればかっこ良く、引きつけられる。重労働だが、あんな風になりたいと思う。それがアメリカ人に魅力的に思えるだろうと話す。

 チュー氏は、「料理のシンプルさと言う事は食材、それとシェフの技術への敬意。日本料理はこれらのことが非常に影響していると思う。アジア系以外のアメリカ人に日本料理を楽しませるのはデリカシー」だと語った。

●アジア系以外のアメリカ人に「日本料理を食べに行こう」と奮い立たせるためのアプローチは?

 チュー氏は、出汁の取り方をヴィジュアルに見せると、一般の日本食への関心を高めるという。

 ダン氏は「寿司シェフが魚を切ったりしている姿を見ると、格好良く見える。まるで茶道を見ているようだ。そういった儀式のようなシェフの動きがアメリカ人には魅力的に見える。これは重要な要素」だと語った。

●カリフォルニア巻きやスパイシーツナロールはヒュージョンで、日本では出さない。もしシカゴの日本レストランで客に求められたら提供するのか?
パラゾリ氏は「ノーとは言わない」と話す。日本でもカリフォルニア巻きを出す店が出て来ていると聞いているという。
パラゾリ氏の母が亀八レストランを開いたのは1967年で、当時生魚を食べるアメリカ人はいなかった。亀八はセカンドシティの筋向かいにあり、ロサンジェルスで既に刺身や寿司を食べたことのある映画スター達がやって来た。時が経つに連れいろいろな人々が寿司を食べてみるようになり、今日の寿司人気に繋がっている。「実際に、私達が何を作って出すか、それはお客様がドライバーなんですよ」と語った。

●日本料理のファンを増やすには?

 パラゾリ氏は「教育ですね」という。亀八ではサーバーに料理を勧めるように教育している。最近トビウオの刺身を新しく出したが、サーバーが説明するとお客様は喜んで試してみようとしてくれるのだという。

 東京で料理教室を持ち、アメリカでも教えている柳原氏は、最初は出汁の取り方を教えると、魚臭いという生徒が多かったという。しかし、日本料理が広まってきた今日、出汁を美味しいというようになり、「やはり教育でしょう」と語る。「日本料理は寿司や天ぷらだけではありませんから、今や次のステップに来ていると思います」と語った。

●日本料理で言う「うま味」はどう伝えるのか?

 柳原氏は、うま味は日本料理の重要な要素で、出汁と、味噌や醤油のように発酵させた調味料にもうま味があるという。
また、日本料理はオイルを使わずにうま味を出すためにカロリーが低い。それもアメリカ人が日本料理を学ぼうとする理由の一つだろうと語った。

●日本酒に合う料理は? 酒はどんな風に飲まれているのか?

 ダン氏は「その前に、我々は酒の名前をどう発音するのか分からない。前に飲んだ酒のタイプやメーカーを思い出すのは非常に難し。これがバリアになって酒をオーダーしたり店で買ったするのを躊躇させている」と話す。

 柳橋氏はサーバーを教育し、甘口辛口など取り扱う総ての酒の説明ができるようにしているという。「だからお客様が躊躇することはない。次のステップは、レストランだけでなく、家でも日本酒を飲んでもらうのがチャレンジとなる」と語った。

 亀八でもサーバーを教育し酒を勧められるようにしており、ワインのようにより受け入れられるようになっているという。

 しかし、日本酒の理解の難しさは、日本人や日系人のレストラン以外の所にありそうだ。

 ダン氏は「少し前まで日本のウィスキーのことは誰も知らなかった。我々がやったのはバーテンダーや店のスタッフなどのゲートキーパーにサントリーウィスキーを良く理解してもらうこと。彼らは影響力を持っている」と話す。
「もう一つは、ボトルを客の前に置いて見せること。そうすれば酒店でも見分けられる。サントリーは覚えやすいロゴを使っている。だが『北海道サムライ酒』とボトルに書いてあっても思い出せないだろう」と指摘した。

●ステーキと酒の組み合わせは? 酒と日本料理以外との組み合わせは?
柳原氏は、日本酒は精米量の違いにより、大別して本醸造と吟醸の2タイプがあると説明する。本醸造は味が濃く香りが少ないが燗を付けると香りが立つ。吟醸は香りが高く味わいはライト。「日本酒は他のアルコール飲料に比べると味がライトで、どんな料理にも合い、料理の合間に口をリフレッシュするのに良い」と語った。

 チュー氏は最近のカクテル人気に触れ、日本酒はカクテルを作るのに合うという。また柳橋氏も「日本酒のマルガリータ」などのアイディアを出した。

 ダン氏は「日本酒がもっと飲まれるように教育するためには、まず消費者の注意を引き心を掴むこと。そして、飲みたい、買いたいと思ってもらうこと。これには日本の豊富な伝統的ストーリーを語り聞かせて消費者の心を掴むこと。これを皆さんに勧めたい」とアドバイスした。

From left: moderater Steve Dolnsky, Takashi Yagihashi, Louisa Chu, Naoyuki Yanagihara, Sharon Perazzoli, and Gardner Dunn


Sake presentation by Kobayashi Shuzo


Kuradashi sake provided by Tanaka-Ya


Sake presentation by Tenzing


Sake presentation by Vine Connections