日本語メインに戻る
シカゴ日本人会「本マグロ解体ショー」
川村氏のマグロ談で頭の栄養も


• シカゴ日本人会の「本マグロ解体ショー:刺身、手巻き寿司試食会」が11月19日、シャンバーグ・STP・テニスクラブのラウンジで開催された。
• マグロはボストンでSakanaya Bostonを営む川村善行氏が準備したもので、その他にもいろいろな刺身の盛り合わせが提供され、文字通り刺身三昧のひと時だった。

• 刺身もさることながら解体の手を休めることなく繰り出される川村氏のマグロ談が出席者を何倍も楽しませた。

解体ショーは頭付き

• ボストンで川村氏が扱うのは主に自然マグロだが、解体に使われた120ポンドのマグロはメキシコのジャバで水揚げされた養殖マグロ。なぜか?

• 理由は頭の有無。養殖マグロには頭が付いているが、自然マグロは頭が落としてある。頭付きのマグロを扱っているのはメキシコのジャバとトルコだけだという。

• マグロは平安時代から食べていた記録が古事記にあるが、長い間好んでは食べられなかった。それは赤身で血の色をしているから。
• その色からマグロは「死日(しび)」と呼ばれていた。縁起が悪いことから、マグロも成長と共に名前が変わるが、ブリ、ボラ、スズキのように出世魚に入らない。
• 頭の無いマグロで解体ショーをやると、「死日」なのに首なしでは縁起が悪い。この理由で川村氏は頭付きのマグロにこだわっているのだという。

• 養殖マグロは悪いのか?
• 養殖マグロは良い。養殖場でダイバーが水に潜って一匹ずつモリを刺し、即座に神経を殺して水揚げするから、良い状態でマグロが上がってくる。赤身にも脂がのっているのが養殖の良いところだという。

マグロの種類と特徴

• マグロは大別して太平洋マグロ、大西洋マグロ、ミナミマグロに分かれる。ミナミマグロは脂がたっぷりのっている。クロマグロ100ポンドに対して、ミナミマグロは50ポンドで同量の脂の含有量があるという。

• 太平洋クロマグロと大西洋クロマグロを見分けるコツは、胸の辺りにあるこぶし大の穴。太平洋マグロには穴があるが、大西洋マグロにはこの穴がない。この特徴は天然も養殖も変わらないという。

• 太平洋マグロはうま味成分が強く、トロは白、赤身は赤と分かれているのが特徴。
• 一方、大西洋クロマグロはメラニン色素が強く、全体が赤い色をしている。だが、白くないのに脂はのっている。釣り上げたばかりの時は黒い色をしているが、その後冷やし込むと色が落ち着いて来るのだという。

• 脂ののり具合は尾を切り落としたところで見る。これでマグロのグレードが決まるという。

養殖マグロ

• 近大マグロは孵化させた稚魚から育てる完全養殖で、合法的に米国に輸入できる。大半は約30センチのヨコワまで育て、養殖業者に出荷されている。成魚まで育った近大マグロは、色変わりが早いという。
• ヨコワを5、6年かけて約200キロに養殖したマグロは半畜養と呼ばれ、米国への輸入は禁止されている。
• 完全養殖は和歌山を中心に瀬戸内海や沖縄でも行われている。この養殖マグロは色変わりが遅く、最近では米国にも輸入されるようになったという。
• 米国で消費されるマグロの約90%は養殖マグロで、スペインやマルタ島の養殖マグロが入って来ているのだという。

マグロの取り引き

• ミナミマグロの解禁は5月1日。ボストンの本マグロは6月1日。天然マグロは脂がたっぷりとのっていて、アメリカ人にも日本人にも人気。だから川村氏は天然マグロを主に扱っているのだという。
• 漁獲高が制限一杯になると、協会から漁師に連絡されて漁は終わりになる。ボストンは10月19日に終了した。カナダはまだ漁が続いており、天然マグロが捕れているという。

• 延縄船でマグロ漁をすると、数日間の操業中に針にかかったマグロがサメにかじられていることがある。シャークバイトと呼ばれるこの様なマグロは良いものが多く、アメリカの業者は買わないが、日本人には人気だという。

マグロ・男のロマン

• 2013年1月に一本釣りで上がった222キロの1番マグロが1億5,500万円で落札された。落札者はすしざんまい・チェーンの木村清社長。この価格は関係者に感謝の気持ちを表す御祝儀相場だった。この時の2番マグロは延縄船で捕れた245キロのマグロで400万円で競り落とされた。これは良いマグロだった。
• 1億5,500万円のマグロは残念ながら「ちょっと焼けていた」と川村氏は話す。焼けていたとは、1本づりの時にマグロが暴れるため、身が少しドライになる事だという。

• マグロの一本釣りがテレビで取材され、2000年を越えた頃から初売りに高値が付くようになった。それまでは1,045万円が最高額だったが、2,000万円、3,000万円、5,000万円と上がって行った。遂に1億5,500万円が出て、市場で少し問題になったという。
• 今では300万円から400万円、それプラス100万円位の祝儀が通常の相場になったという。

最後にマグロの食べ方

• 最後に川村氏は、「海のダイヤと言われる大トロですが、経験上、大トロから食べると3切れから5切れで満腹してしまう。赤身から食べて下さい」とアドバイスを送った。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

川村善行氏
• Sakanaya Bostonの店主。1998年に早稲田大学大学院教育学部を卒業。在学中にスーパーの魚売り場などで働く。MBA取得のために渡米、ボストンを選んだのは魚のことがあったからだと話す。魚を扱う仕事だが、魚を食べるのは嫌いだと語った。


マグロはボストンでSakanaya Bostonを営む川村善行氏


マグロの刺身を楽しむシカゴ日本人会のメンバー