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「補習校の想い出は家族の歴史」
シカゴ双葉会補習校卒業式

早春の透き通るような陽ざしに恵まれた3月3日、シカゴ双葉会日本語学校補習校の卒園式と卒業式が行われた。午前中に行われた幼稚部の卒園式では61人が卒園した。午後から行われた小学部・中学部・高等部の卒業式では、それぞれ45人、25人、10人が卒業した。

 卒業式会場となった同校体育館には卒業生の家族がブリーチャーいっぱいに座り、入場して来る卒業生を拍手で迎えた。
厳粛な雰囲気の中で南口研司校長から一人一人に卒業証書が授与され、生徒の表情は達成感に満ちていた。

卒業証書授与後、幼稚部から高等部まで13年間補習校に通い続けた伊藤健人さん、大石健さん、島本翼さん、森島陸さん、ラッツ詠梨アンジェラさん、ローガン山田ニコラスさんに双葉賞が贈られた。

 また、一日も休まずに通い続けた小学部のジェスキー恵都さん、奈良飛鳥さん、川端諒太郎さん、ジェスキー笑茉さん、森島陸さん、島本翼さんに皆勤賞が贈られた。

南口研二校長は式辞で「手袋を買いに」という本から、アヒルを盗もうとして人間に追いかけられた母狐と、手袋を買いにいって人間に優しくされた子狐について話した。

母狐は、人間を恐ろしいと思っている。一方、子狐はやさしいと思っている。これは一回だけの経験で人間を判断しているもの。何か盗もうとすれば、盗まれる人が怒るのは当然だが、いつも人間が怒っているわけではない。子狐は、お金を払ったので店の人は優しかったかも知れないが、いつも優しいとは限らない。

南口校長は「一回だけの経験で決めてはいけない、多くの人の経験を学ぶこと。そのためには本を読むこと、テレビや映画、インターネット、身近な所にいる大人の話、友人の話からいろいろな経験を学び、豊かな人生築いて行って欲しい」と卒業生にはなむけの言葉を贈った。

 南口校長は同卒業式を最後に、3年の任期を終えて帰国する。校長として今まで16回の卒業式をして来た南口校長に会場から大きな拍手が送られた。

来賓の伊藤直樹在シカゴ総領事は、13年間補習校に通って来た卒業生が6人、遠方から通学している生徒が43人おり、そのこと自体が双葉校の素晴らしさを物語っていると話した。

 また、ケガをしても懸命に努力することで金メダル二連覇を果たした羽生結弦選手から学ぶものがある事や、スピードスケートで金メダルを獲得した小平奈緒選手と、三連覇を期待されながら2位となった韓国のイ・サンファ選手との国境を越えた友情について話し、「補習校や現地校に通った皆さんは国境・国籍を超えた友情を育む機会があった。これからもその友人達との関係を大事にして欲しい。それがこれからの人生に必ず生きると思う」と卒業生を激励した。

 シカゴ双葉会の澤木信宏会長は運動会などの学校行事に参加して思うのは、生徒、先生、保護者、学校関係者が深い信頼で結びついている事だと話し、「そのような環境は外から与えられたものではなく、皆さんが積極的に働きかけて築き上げたものだ」と述べた。そして、小さなものを大切にするという英文を紹介し、「お弁当を作ったり宿題を見てくれる保護者の方々などの、一つ一つの身近なものが学校生活を支えている。大きな夢を持つことも非常に大切だが、『attention to the small things』を忘れないように」と卒業生を励ました。

 杉尾雅史PTA会長は「皆さんがこれまでシカゴで経験したことや培った友情は皆さんの大きな財産。様々な国籍や文化を持つ人と交流、そこから生まれる絆、これらは日本ではなかなか経験できない貴重なもの」と話し、これからの成長に必ず役に立つものだと卒業生に呼び掛けた。そして「新しい世界の扉を開き、勇気を持って羽ばたいていく卒業生に幸多かれと願う」とはなむけの言葉を贈った。

 在校生を代表し、紀川優太君(中2)は先輩と共に経験した学校行事の想い出を語り、今度は自分が先輩達のようになりたいと話した。また、現地校との両立の難しさや、補習校に行きたくないと思ったこともある半面、友情の大切さを実感したことなどを話し、父親がいつも元気づけてくれた「思い切りやって来い」という言葉を卒業生に贈りたいと述べた。そして「卒業生の皆さんは試練にぶつかっても補習校魂で乗り切って欲しい。自分のすべてを出し切って欲しい。そういった皆さんの意志を引き継いで行きます」と語った。

 答辞で島本翼君(高3)は、日米の文化を理解し、日英両語を不自由なく話すことができるが、その価値に気付いたのは最近の事だと話し、現地校が忙しくなり、現地校の友人達との関係が深まるにつれ、補習校をやめたいと悩み続けたと語った。
しかし、母の「止めてもいいよ」という言葉を聞いて、補習校で失うものの大きさに気付き、高校卒業までやり遂げようと決心した。

 高等部になるとクラスメートは激減したが、同じ悩みを持つ友達との距離がぐっと縮まった。島本君は「仲間がいたから続けられた。これからも出会った仲間を思い続けたい」と語る。
姉弟3人が補習校を卒業するまで23年間、父が補習校までドライブしてくれた距離は11万3,334マイル、母が作ってくれたお弁当は1,700個以上。島本君は先生、学校関係の人々、家族に感謝の気持ちを表し「補習校の想い出は、私達家族の歴史。素晴らしい13年間でした」と答辞を結んだ。

卒業式後、中学部を卒業したWさんのお母さんは、Wさんの姉も高等部3年生だったが大学進学のために昨年夏に帰国したと話し、「高3のクラスメートだったので、帰国しなければここにいたはずなので、余計に感動がありました。晴れ舞台の写真を娘に送ってあげようと思って」と語った。

 子ども達が補習校に通うのは、両親にとっても大変なようだ。早起きして送り出し、イベントやボランティアもあるので土曜日が潰れてしまう。しかし、日本語と英語を頑張ろうと、ご主人と協力し合っていると語った。

 小学部を卒業した犬伏健太君のお父さんは「小学校6年生になると現地校ではミドル・スクールになるので宿題の量がすごく多くなります。補習校はやはり日本語が話せる場所という事で、楽しみにしていました」と話す。

 3月末で家族で帰国するという犬伏氏は「現地校や補習校の友達が、将来の友達になってくれればいいと思います」と語った


卒業証書を南口研司校長より授与される卒業生


皆勤賞を受賞した卒業生


保護者に感謝の気持ちを込めて「旅立ちの日」を歌う卒業生


これからそれぞれの道に踏み出す高等部の卒業生