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「高級化を心配するよりも、今の問題に取り組もう」

オバマ前大統領が2月27日、マコーミック・プレイスで開催されたオバマ大統領博物館(Obama Presidential Center)建設についての最終公開会合で演説した。

オバマ大統領博物館は一般にサウスサイドと呼ばれるシカゴ市南部、産業科学博物館の南側に建設される。アフリカ系住民が多く住む地域だが、歓迎の声ばかりではない。

 博物館が建ち一帯が美しい公園になれば、地域の高級化が進み、住宅の査定額が上がり、不動産税が上がり、元々住んでいる住民が住めなくなるとして、不動産税の凍結や住民に雇用を提供するように、地元団体がオバマ基金に対して契約書締結を求めている。オバマ基金としては、地元支援は続けるが契約書を交わすことは出来ないとしている。

住民以外からも懸念は出ている。シカゴ市は博物館周辺の道路整備のために1億7,500万ドルを捻出する。博物館建設費の5億ドルはオバマ基金からプライベートで支払われるが、周辺道路整備のために税金を投入するのかという声も上がっている。

オバマ氏は約2,000人の聴衆に親しく話しかけ、「妻に出会ったのもシカゴ、子ども達が生まれたのもシカゴ、初めて議員に選ばれたのもシカゴ、大統領に当選したのもシカゴだ」と述べ、一気に聴衆との間に共感を創り出した。

オバマ氏は「サウスサイドが開発され過ぎて困っている、経済活動が活発過ぎて問題だ、大勢のリンカーン・パークの住民達がサウスサイドに引っ越して来て困る、そんな話は聞いたことがない」と笑いを誘い、「高級化が起きるには孫の代までかかる。今心配すべきことは、ガタガタになっている道路の縁石、散らかっているゴミ、荒れて板を打ち付けてある空き家だ」と述べ、今の問題から取り組もうと呼び掛けた。

 また、「『あのタワーの形が嫌い、公園が良くない、植木が気に入らない』と言う人があるだろうが、ともかく将来を担う若者達のために、全体的に考えて建設しよう。博物館ができれば店も建つし仕事も増える」と呼び掛けた。更に「ノースサイドの公園には活気に満ちていろいろなプログラムがある。サウスサイドの公園もそうあるべきだ」と述べ、大統領博物館のキャンパスで提供する職業訓練プログラムや学習プログラムなどについて語った。

 オバマ氏の演説後には5つの会場に分かれて公開セッションが行われ、ミュージアムの内容、道路封鎖などの交通事情、経済効果などについて意見交換された。公開セッションはこれが最後となり、最終計画書がシカゴ市に提出される。

オバマ基金では年間76万人が博物館を訪れると予想している。建設時には5,000の雇用が生まれ、2,500の恒久的な雇用が生まれると予測し、開館後10年で31億ドルの経済効果があると述べている。博物館建設にはアフリカ系の建設業者を優先的に採用するとしている。また、オバマ基金では300万ドルを寄付し、建設工事中に子ども達の遊び場が奪われないように建設現場から離れたところに芝地を造ると発表した。

オバマ博物館キャンパス内には、タワー部分がミュージアム、その他図書館、アスレティック・センター、フォーラム・ビル、プラザ、駐車場施設が建設される。開館予定は2021年。


「地域の高級化を心配するよりも、今の問題に取り組もう」と呼び掛けるオバマ氏


オバマ大統領博物館完成予想図


熱気に満ちた会場