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第32回日本語弁論大会
日本語学習を通して様々な経験を発表

• 第32回日本語弁論大会が3月25日、在シカゴ総領事館広報文化センターで開催され、日本語を学ぶ学生達30人が様々なトピックについて熱弁を振るった。

• 挨拶に立った伊藤直樹・在シカゴ総領事は「今日の弁論者は、米国での日本語教育の希望を表している」と語りかけ、日米は協力な同盟国であり、両国の人々は貿易や投資ビジネス、ポップカルチャーなどで繋がっている。皆さんの今日の日本語学習努力は将来に報われる。シカゴ大学近代日本文学のマイケル・ボーダッシュ教授は、初期の日本語弁論大会の優勝者だった」と話し、弁論者を励ました。
• 伊藤総領事によると、昨年の米国での日本語学習者数は約17万人で、その数は増加し続けている。一方、日本語教師が不足しており、総領事館はシカゴ市長室やシカゴ市教育委員会と共に日本語教師増加に努めているという。今年8月には5人の日本語教師がシカゴ市や他州に日本からやって来る見込みだという。

• グランド・プライズを受賞したローレン・シンガーさん(ウィスコンシン大学ミルウォーキー校)のスピーチは「日本の原住民と危機言語」。

• -日本にはアイヌ語や沖縄語という危機言語がある。危機言語とはその言葉を話す人が少なくなる言語のことで、将来的に話せる人がいなくなるかも知れない。
• アメリカではヨーロッパ人が来てから原住民の人々が自分達の言語を失い始めた。原住民の子ども達は英語の学校に通い、自分達の言語を話せば罰せられた。家族と話せなくなれば昔話、歌、考え方を失ってしまう。こうなると自分の文化について分からなくなる可能性が高くなる。
• 残念ながら日本でも同じ事が行われた。沖縄語を話せる人は40万人残っているが少なくなっている。アイヌ語を母語として話せる人は10人しかいない。
• 自分の言語が消えそうになったら、助けたいと思うことでしょう。私もそう思う。危機言語が消えないうちに北海道や沖縄に行って、救う活動を手伝いたいと思っている。そのために海を越えて日本に行く必要はない。
• 中西部にも危機言語がたくさんある。世界のすべての人々の話し方や生き方は素晴らしいと思いませんか? 世界のすべての人々が危機言語を救うことに力を入れたら、言語や文化は死ななくてもいいと信じている。-

• シンガーさんには、JALによる日本行きの往復航空券が贈られた。

• 受賞後にインタビューに答えたシンガーさんは「まだ航空チケットの詳細を見ていませんが、北海道か沖縄に行くことができて嬉しいです」と語った。
• 大学で言語学を専攻しているシンガーさんは「個人的に言語が好きなんです。言語学を使って人々を助けることができたらと本当に思っています」と語った。

• 大阪姉妹都市賞を受賞したカリサ・ソさん(オークトン・コミュニティ大学)のスピーチは「母の努力」。

• -家族は母、父、兄と私。小さい頃から母は朝から晩まで12時間仕事をしていた。中学の頃には、家にお金が無いことに何となく気が付いていた。家族で旅行に行くこともなく、ピアノやバイオリンなどの習い事もできない、そんな生活を不満に思っていた。
• 高校生になったある日、母にどんな仕事に就きたいか訊ねられた。アニメの声優になりたいと答えると、母に「非現実的な事を考えるよりも楽に食べていける仕事に就きなさい」と言われ、以来母と余り話しをしない生活が続いた。
• 母が貧しい家で育ったことは知っていた。しかし、自分の夢を理解してくれない母、貧乏な家庭に生まれたことを恨んだ。
• 大学生になったある日、母が手首を痛め一ヶ月の休養が必要だと医師に言われたが、「家族のために働き続けるしかない」と母が父に話しているのを聞いた。父は無職だった。
• 母に手首のことを聞いてみると、母は「大学でたくさん勉強して、いい仕事について、幸せになってね」と悲しい顔をして言った。
• 母の言葉を聞いて胸が潰れそうになった。母の努力のお陰で今の自分がある。小さくても過ごしやすい家がある、親切でステキな母がいる。
• 自分に何が無いかを考えるよりも、何があるかを考えるべきだった。これからは自分が恵まれていること、家族、友達など多くのことを大切にしたい。将来辛いことがあっても、母の期待に応えるように前向きに乗り越えて幸せになりたい。-

• ソさんにはシカゴ姉妹都市インターナショナル大阪委員会より大阪への往復航空券と2週間のホームステイが贈られた。

• 受賞後にインタビューに答えたソさんは、「(自宅に戻ったらお母さんに)日本へ行くのよ!と言います。母が『賞をもらってくるんですよ』と言っていたので、もらいましたよ!と言えます」と語った。

• 日本語弁論大会は第1カテゴリー(小中学生)、第2カテゴリー(高校生)、第3カテゴリー(大学生)の3つに分けて開催される。各々のスピーチの後には審査員から日本語で質問があり、スピーチ内容を本当に理解しているかどうかも試される。流暢な日本語で話すだけでなく、スピーチとしての質が総合的に評価される。
• 上記の賞に加え、1位、2位、3位、4位、シカゴ日米協会賞、シカゴ新報賞、JAL賞、イリノイ日本語教師協会賞、凡人社賞が贈られた。

• 日本語弁論大会は、日本語を勉強する学生達がその勉強を通してどの様な体験をしているか、日本をどの様に見ているかを直に聞くことができる機会でもある。出場する弁論者に関係の無い一般の人でも自由に発表を聞くことができる。来年はぜひご参加下さい。


30人がチャレンジした第32回日本語弁論大会


グランド・プライズを受賞したローレン・シンガーさん(中)、伊藤直樹総領事(左)、山田賢也JAL支店長


大阪姉妹都市賞を受賞したカリサ・ソさん(左)と名嘉君代シカゴ姉妹都市国際・大阪委員会会長


シカゴ新報賞を受賞したスティーブン・キャーネルさん(左)と、マリサ・ワーニックさん(中)