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東北アップデート
邁進する石巻の水産加工事業や福島の声など


• 東日本大震災から7年を経た3月12日、東北復興の様子を知らせる「東北アップデート:前向きな将来建設のために行われたこと」がシカゴ・カルチャラル・センターのプレストン・ブラッドリー・ホールで開催された。
• 宮城県経済商工観光部の高砂義行部長が「宮城の復興とビジネス機会」について、末永海産の古藤野靖氏が「石巻水産加工業者のビジネス復活」について、椎木透子氏が福島の人々の声についてプレゼンテーションを行った。

【宮城の復興とビジネス機会】

• 宮城県では塩釜水産物仲卸市場が新たにオープンした。またシンクロトロン放射線施設が建設される。候補地は東北大学キャンパスとなっている。
• 宮城ではビジネス誘致を積極的に行っており、インセンティブを提供している。津波や原発事故の影響を受けた地域へ進出し、雇用創出をした会社には助成金が提供される。また、宮城に本社を移した企業には税優遇がある。その他、投資による固定資産に対する助成金や、情報・コミュニケーション技術に関する企業進出には助成金プログラムが提供される。
• 宮城でのビジネスコストは、東京、名古屋、大阪、福岡に比べてかなり低い。住居や商・工業地に掛かるコストは東京の約10%、オフィス賃貸料は東京の約55%、賃金は東京の約75%。
• 気になる放射線量も今年2月時点で0.06 uSv/hで、ニューヨーク州の0.046、パリの0.043、ベルリンの0.073と余り変わらない。宮城はロンドンの0.108、シンガポールの0.1、ソウルの0.117よりもむしろ低い。(各地は2018年1月に計測。パリのみが2017年10月値)
• 宮城を訪れるアメリカ人観光客は、台湾、中国に次いで3位。最低気温は華氏33度、最高気温は華氏78度とシカゴよりも快適に過ごせる。

【海外に進出する石巻の水産加工業】

• 古藤野靖氏によると、石巻は津波で70%が浸水し最も大きな被害を受けた場所の一つだった。石巻の水産加工業は震災以前から下降気味ではあったが、震災により国内の販路を失った。打開策を考えていた時にJETROから提案があり、2012年に香港で開催されたフードエキスポに参加した。それを機に石巻の水産加工業者5社が集まり「日高見の国グループ」を結成し輸出ビジネスに乗り出した。
• 最初は香港、台湾、タイ、ベトナムを視察し、業界関係者との名刺交換から始まった。商品開発をして海外のスーパーや百貨店に売り場を求めたが、値段が日本国内の2倍になり、なかなか売れなかった。スーパーに限って商品開発し、3年目には少しずつ実績が出て来た。取引前には必ずバイヤーに石巻を見てもらい、信頼関係を作った。
• 成功のカギは意外なところにあった。震災で牡蠣の殻をむく場所を失い、殻付きのままで売るしかなかった。たまたま殻付きの牡蠣を求めている香港の業者があり、今では毎月5万個の牡蠣を輸出している。
• 米国には2年半前から進出を始めた。ミツワで販売したり、ロサンジェルスの宮城県のイベントに参加するなど足掛かりを求めた。ニューヨークとシカゴで量的には少ないが少しずつ出荷しているという。
• 香港のレストランで宮城のフードフェアが2ヶ月に亘って開催された折には報道陣が100人程集まり、宮城の海産物が一般の人々に広がった。その時にはレストランのシェフと相談し、牡蠣の釜飯、アナゴの太巻き、ホタテのグラタンなどいろいろなメニューが創作された。

• 東北では津波で住めなくなった海岸沿いの土地が約600キロ続いている。石巻ではそこに森を作ろうと計画している。山から種を集め、3年をかけて苗木に育て、それから植樹するというもので、昨年9月に初めて植樹が行われた。
• 古藤野氏は「地元の人や外からやって来る人が一緒になって、手作りの森を作って、そこで次の世代が笑顔になって、本当の復興になる。本当の復興とは心が豊かになって、笑顔になることだと思っているので、森作りの活動を通して国際交流もできる場所になったらいいと思っています」と語った。

【福島で会った人々のストーリー】

• フォトグラフィーを学び、いくつかの賞を受賞し、その後フリーランスの写真家となった椎木透子氏は、東日本大震災後に「何かできないか」と義援金を集めて送った。また、ファンドレイジング・プロジェクトを立ち上げた。レターサイズの紙でドラゴンを作っていくという展示会で、ミシガンからフランスを回り、最終到着地を福島だと決めていた。
• 福島の子どもは外で遊べないから室内のイベントがぴったりだと思い、2013年に南相馬でドラゴンの展示会を開いたが、誰も来なかった。椎木氏は、子ども達が既に外で遊んでいる事を知らなかった。
• 一旦ミシガンに戻った椎木氏は、南相馬の教育委員会を通じて2500人の子ども達のアンケート調査を実施した。
• そこには、「困難はあるが一生懸命みんな働いている」、「放射能はあるが、我々は放射能ではない。放射能は感染しない。差別しないで欲しい」、「福島の人々の事を考えてくれるならば、こういう事が将来に起きないように、防ぐ方法を考えて欲しい」などの意見が書かれていた。
• 椎木氏は「直接福島の人々に会って話そう」と福島に向かった。そして外国の人に向けて福島の人々のことを発信しようと思った。
• 椎木氏のフィルムの中で、フード記者のはやし・ともひろ氏は「福島はネガティブなニュースが多いが、人々は悲劇・怒りではなく、普通に生活している。そういう福島を、普通の同じ人間、普通に生きている、そういう人々として愛して欲しい」と語っている。

• プレゼンテーション後に行われた日本酒紹介イベントで、古藤野氏は、牡蠣やホタテの加工品を紹介し、試食させてくれた。
• 尚、日本酒はTenzing Wine and Spirits、Joto Sake (Kobrand Wine and Spirits)、Vine Connectionsが提供した。
• 同イベントは、JETROシカゴ、在シカゴ総領事館、シカゴ日米協会、シカゴ日本商工会議所、シカゴ姉妹都市インターナショナル大阪姉妹都市委員会の協賛で開催された。


高砂義行


古藤野靖氏


末永海産で開発されたシーフード


宮城フードフェアが開催された香港のレストラン


椎木透子氏