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2018アニメ・セントラル
コスプレイ、着物とロリータのコラボも

• アニメやマンガ、ポップ・カルチャーの祭典「アニメ・セントラル2018」が5月18日から20日までの3日間、ローズモントにあるドナルド・スティーブンス・コンベンション・センターとハイアット・リージェンシー・オヘアで開催された。1997年に始まったアニメ・セントラルは中西部最大、全米第3位にランクされるアニメ・コンベンションとなっている。

• 開催者の発表によると、2年目の1998年のコスプレイヤーは1,203人だったが、2016年には31,469人に膨れあがり、総入場者数は88,927人を数えた。昨年の参加者は弱冠少なめの30,122人、総入場者数は84,633人だった。

• アニメ・セントラルの魅力はコスプレイを楽しむだけでなく、日本のアニメやマンガキャラクターのクリエイターやアーティストと触れ合うことにもある。今年はイラストレーター、アニメーターの横田守氏、吉松孝博氏、磯光雄氏、園田健一氏や、Shuzilow.HA、野上武志などのマンガ作家、その他、声優やミュージシャンなど多くが招待された。

• シカゴ・コミュニティからは着物とロリータファッション紹介イベント、日本文化会館による合気道実演や日本文化紹介、司太鼓による和太鼓演奏、藤間流・秀舞会による日本舞踊などが行われた。


コスプレイの人々

• 見事な人魚のコスチュームに身を包んだジェニファー・カズンズさんはミシガン州デトロイトからやって来た。コスプレイを始めたのは3年前で、婚約者がアニメセントラルに誘ってくれたのが切っ掛けだった。人魚のコスチュームは2週間をかけて、手作りしたもの。
• 「(コスプレイは)私にとって驚きのエスケープです。ソーシャル・ワーカーなので多くの仕事やストレスがあります。だからコスプレイができるのが楽しみで、リラックスすることで心身のケアになります」と語った。

• 目が覚めるような水色のシンデレラのコスチュームを着ていたキミー・ケイさんはウィスコンシンからやって来た。コスチュームはオンラインでオーダーメイドし、プロフェッショナルにアレンジしたという。
• ケイさんがコスプレイを始めたのは3ヶ月前。コンベンションに参加するのは2回目だという。小さい頃からアニメやマンガが大好きだったケイさんはディズニーに就職、エンターテイナーとしていろいろなコスチュームを着て来園者歓迎した。
• 「子ども達の笑顔を見るのが大好きで、人々の顔がパッと輝くのを見るのはとても素晴らしい感じです」と語る。多くの人が「写真を撮らせて」と群がる中、ケイさんは「とてもエンジョイしています。コスプレイをこれからも続けようとエキサイトしています」と語った。

• とても手の込んだ完璧なロリータファッションに身を固めていたのはエミリアさん。アーティスト早紀蔵(さきぞう)のファンシーなデザインを参考に、自分でデザインしたもの。コスチューム作りに着手したのは去年の12月で、最後のカツラが完成したのは2日前だった。
• エミリアさんがコスプレイを始めたのは2011年の大学時代。最初はミシン1台でコスチューム作りを始めたが、今ではソーイング・ルームを持っている。
• エミリアさんはデンティスト、「歯医者です」と語る。「ジャパニーズ・カルチャー・センターのブースに行って、興味深いたくさんのイベントを見ました。今日はマスカレードに出るので行けませんが、将来は着物とロリータに参加したいです」と語った。

• テイラー・デヴィッチさん、チャーリー・スウェンジスキーさんらのグループはウィスコンシン州マディソンからやって来た。グループが集まって、少しずつコスプレイの準備をしているという。今年のテーマはビデオゲーム・フォートナイト。丸い芝垣はチキン・ワイヤーと園芸用品で形を作り、葉は一枚ずつ付けて行った。ずいぶん時間がかかったという。
• デヴィッチさんは12、13歳の頃からアニメを見始め、アニメの絵などを描き始めた。アニメセントラルには13年間通い続けている。「毎年もっとエキサイティングなものを作ろうと工夫しています。これが今年の新作です」と語った。

• シマノ・ヴァレンゼラさんはバイオリンを弾くキャラクター宮園かをりのコスプレイ。「私もバイオリンを弾くので、だからかをりが一番好きなキャラクターなんです」と語った。

着物とロリータ・ ファッション

• 今年3月に日本文化会館で初めてコラボレーションの会を開いた日本の着物グループ「シカゴ和風倶楽部」とロリータ・ファッション・グループが、アニメ・セントラルに繰り出した。
• 和風倶楽部のメンバーは着物の種類やTPOを解説、ロリータ・グループはスウィート、クラシック、ゴシックなどのロリータやデコを紹介、多くのサポーターが会場に集まった。
• 残念ながら前のグループのイベントが長引いたために会場使用時間が限られ、ロリータ・グループの説明途中でショーの中断を余儀なくされた。不愉快な出来事だったが、みんなが慰め合い、元気づけ合って、記念写真に収まった。

特別ゲスト、イラスト レーター・アニメーター

• イラストレーター横田守氏と吉松孝博氏のセミナー、Q&Aセッション、記者会見などが連日行われた。
• 横田氏は日本のアニメーター、キャラクターデザイナー、イラストレーター、原画家、プロデューサー、総監修、作画監督、また起業家として幅広く活躍している。吉松氏はアニメーター、キャラクターデザイナー・作画監督として活躍している。二人とも多くの作品を手がけ、実績を残している。

• セミナー会場にはイラストレーターを目指すファンが集まり、イラストを描く2人の手元を見守った。
• キャラクター開発について吉松氏は、「理論はシンプル。○、□、△が基本で、その組み合わせでキャラクターができて行く。○は優しい感じ、□は気むずかしい感じ、△は良い人から悪い人まである。目がたれると優しそうな人、髪が逆立つと熱血漢、髪が下りていると冷静な人。いろいろな要素を組み合わせることでキャラクターの深みが出る」と説明した。

• 横田氏は更に「キャラクターは7.5頭身。頭と同じ長さが、胸、腰の辺りに来るようなバランスとなる。目と目の感覚は、両目の間に目が一つ入るぐらい。この基本からオリジナルティを出す。自分の目鼻の位置を良く把握すれば絵が上達する。想像力も大事だが、実際にあるものから発展させる。うまくなろうと思えば、指導書などの本に書いてある文章を良く理解すること。プロのイラストを真似ても上手くならない。好きな作家を真似ると、その方面のイラストしか描けなくなり、バリエーションがなくなる」などのアドバイスを送った。

イラストレーター・ インタビュー

 記者会見では、プロとしての道、影響を受けた人々、仕事の仕方、日本のアニメ・マンガ動向などについて多くを語ってくれた。フィリピンのアーティストでイラストレーターのロズーリーさんも同席した。

Q:イラストレーターになった経緯や家族のサポートは?

横田:幼少の時に借金があったので、それを返すために中華料理のコックをしていました。それで貯めたお金でアニメの専門学校に入りましたが、2年間の学校を半年で辞めて、イラストの会社に入りました。学校の友達がアニメーターとして業界に入って来る頃には、もう自分の絵がアニメ作品の原画になっていました。母からは「勝手にしろ」と言われたのでこの業界にずっといて、イラスト、アニメーション、ゲームなどの仕事をしています。

吉松:子どもの頃から絵を描くのが好きで、漫画家になりたいと思っていました。同時にアニメーションも好きで、学生時代は仲間同士でアニメーションを作っていました。その中にもの凄くマンガが上手いヤツがいて、勝てないと思ったので僕はアニメの道に進みました。

 同時に、イラストの仕事もたくさんやることになりました。
この仕事については、母が理解してくれました。最近知ったことですが、父は反対して夫婦喧嘩になったそうです。母が、「あなたは子育てに何も協力していないのに、今更なにを」と父をやり込めたそうです。

Q:プロフェッショナルになるために、すべきことは?

横田:自分で作品を描いているだけじゃなくて、雑誌に投稿したり、イラストを使う会社に営業に行ったりしていろんな人に見てもらう事です。今だったらネットもあります。

 一番まずいのは、ずーっと待っている人です。イラストの仕事はいろいろあるで、需要は必ずあると思うんです。絵の好みは人それぞれなので、まず自分の作品のポートフォーリオを持って、いろんな人に見てもらう。それができなかったらプロにはなれません。

吉松:自分のセールスポイントが大事だと思いますね。自分の特徴がより多くの人に受けるというか、認めてもらえるように、自分の特徴を早く見つけてそれを売り込むのが大事ですね。

ロズーリー:私はオンラインに投稿することから始めました。主にアニメの女の子達を描いています。オンラインでコンタクトを続けていると、誰かがポートフォーリオを見てみたいと思うものです。ネットがなければ、今私はここにいないかも知れません。

Q:影響を受けた人や作品は?

吉松:ルパン三世です。子どもの頃に見て衝撃を受けました。テレビで予告編を見て、カッコいいのが始まるぞと、テレビの前に釘付けになりました。それが僕の原点ですね。

横田:あしたのジョーだと思いますね。僕が小さい頃にあしたのジョーの映画のプロモーションがテレビで流れていました。一番衝撃的だったのは、あしたのジョー2ですね。こういう仕事を、こういうのを描きたいと思っていました。僕は男臭いハードな作品が好きなので。

Q:アメリカやヨーロッパの視聴者が、横田さんや吉松さんの仕事にどのような影響を与えていると思いますか?

吉松:僕たちが実際に海外の観客に向けて作品作りに意識を向けることはあまりないんです。日本のユーザーに向けて作っている作品がたまたま海外の人に凄く楽しんで頂けるという状況が一番いいのではないかと思っています。

横田:吉松さんの話を補足するとすると、クライアントからのオーダーに従ってキャラクターを作ってアニメーションの作画をしているので、海外向けにあれこれと考えるのはプロデューサーや監督の仕事なんです。一旦決まったら、打ち合わせをして、私達はどの世界のお客さんでも、見る人が喜んでくれるように全力を尽くすという感じです。

 吉松さんが仕事をしていた「スーパーナチュラル」というドラマのキャラクター・デザインなどは海外に向けてやっていた仕事なので、影を強めに付たらどうだろうかと、という事はありました。

 イラストの仕事に関してですが、僕はアメリカやフランス、ドイツなど、いろいろなコンベンションに出ています。海外の人だからこういうのが好きに違いないと、アメリカン・コミック風の影が強い作品をサンプルに持って行くと、結構みんな無反応で、日本の可愛いのを描いてくれと言われるので、僕らに求められているのは、そういう風なものではないのかなぁと思います。


Q:日本のマンガとアニメのトレンドは?

横田:最近僕の好きな作品がヒットしています。嬉しいのはゴールデン・カムイですね。日本で表現規制が激しくなってきて、そこの所をかいくぐって描いているタブーに近い作品が増えてきたんですよ。そこでも良質なものができて来るんですが、マンガというもの自体が多様化し過ぎて、政治色が強いもの、社会風刺なものなど、前に比べたらいろいろなものが出て来ています。何がトレンドかと言えば、お客さんの喜ぶものがトレンドみたいになって来て、何がトレンドだろうなぁという感じになっています。

 思い出しました!ゲイマンガが増えましたね。同性愛を扱うマンガ。男性だけでなく、女性のマンガも。要するに、柔らかい感じの同性愛です。アニメで「ゆるゆり」というのがありますが、それは学生時代の淡い同性愛を描いたもので、劇場では同級生というのがありますね。今テレビで実写ですけど、「オッサンズラブ」という、オッサン同士が恋愛するのがあったり、まぁそんなのが多いですかね。

 ネットマンガが増えたので、紙で出版するよりは規制を緩くした作品が、ホラー作品でも残虐性が凄いものとか、日本の裏社会のジャパニーズ・マフィア、ジャパニーズ・マフィアにくっついている組織に属さないアウトロー、本当にひどいヤツらの話を延々と描いているマンガ、そういうのをやはり見ている人が多いと、ネット配信の会社の人間から聞きました。

Q:ありがとうございました


注目を集めるシンデレラのコスチュームで参加したキミー・ケイさん(中央)


ジェニファー・カズンズさん


完璧ロリータのエミリアさん


テイラー・デヴィッチさんら


宮園かをりのコスプレイ、シマノ・ヴァレンゼラさん


日本の着物グループ「シカゴ和風倶楽部」とロリータ・ファッション・グループのコラボレーション


横田守氏


吉松孝博氏