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キッコーマン・ウォルワース工場、
45周年を祝う
地元教育支援や水を護る環境支援も

• ウィスコンシン州ウォルワースにある醤油工場、キッコーマン・フーズ社が45周年を迎え、6月8日に記念式典が盛大に行われた。会場となったのは、同社近くにあるアビー・リゾート・イン。
• 同式典にはキッコーマン(株)の茂木友三郎・取締役名誉会長及び取締役会議長、スコット・ウォーカー・ウィスコンシン州知事、杉山普輔駐米大使、伊藤直樹在シカゴ総領事を始め、ウィスコンシン州の経済界、教育界などから約540人が出席した。

• キッコーマンは1957年にアメリカに進出し、アメリカ人の食卓の新しいシーズニングとして醤油のプロモーションを展開した。急拡大する米国内需要に応えるため、流通に於ける地の利、良質な大豆や小麦、きれいな水、勤勉な労働力が揃っているウィスコンシン州ウォルワースに海外初の工場建設を企画した。工場建設は海外生産におけるリスクを充分に検討した上で実行に移された。万難を乗り越え、1973年にキッコーマン・フーズの醤油工場が完成した。

• その後キッコーマンはカリフォルニア州、オランダ、シンガポール、台湾、中国に工場を建設しており、現在は100カ国以上で醤油製品を販売している。2017年度の販売総額の60%、営業利益の70%が海外ビジネスによって生み出されている。

• 記念式典に先だって行われた記者会見で、茂木友三郎氏は「45周年を記念して総額60万ドルの奨学金を将来を担う学生達のために提供する」と発表した。同奨学金はウォルワース工場周辺にある6つの高校に分配される。キッコーマンは良き企業市民として若者達の教育強化に献身しており、同奨学金はこれから職業訓練専門学校や大学に進む高校生シニアに授与される。

• キッコーマンは既に数百万ドルをウィスコンシン大学や地元のインスティテューションに寄付しており、40周年記念の折には水の質を護るために100万ドルを同大学やラボラトリーに寄付した。

• 挨拶に立った茂木友三郎氏は「45年間に亘って地元コミュニティがキッコーマンを強く支えてくれた。我々はウィスコンシン州や多くの人々とパートナーシップを持つ事ができたことを大変喜ばしく思う。また、高等教育を追求する地元コミュニティの学生達を支援できることを非常に嬉しく思う」と述べた。

• 茂木氏はまた、「米国や日本の著名な専門家の出席を頂き、45周年祝賀の一環として、『第6回ウィスコンシン・U.S.・日本-経済開発会議』のスポンサーとなる事を栄誉に思う。100カ国以上でビジネス展開するキッコーマンの成功にとって、グローバル経済問題はクリティカルだ」と語った。

• スコット・ウォーカー・WI州知事はキッコーマン・フーズ45周年を祝うと共に、今年50周年を迎える日米州知事会や中西部会の会長を務める茂木氏に対し、「茂木氏の強力なリーダーシップと、キッコーマンがウィスコンシンや中西部、日本に与えるポジティブなインパクトに感謝したい」と述べた。

• ウォーカー州知事はウォルワース近くにあるデラヴァンで育ち、子どもの頃にクワイヤー・グループの一員としてキッコーマン・フーズのイベントで歌ったことがある。
• ウォーカー州知事は「1970年代の初め頃、ウォルワース・カウンティの住人の多くは農家だった。第二次世界大戦からそれほど時も経っておらず、住民の抵抗や誤解があったかも知れない。しかし、40周年記念の時に上映されたビデオの中に従業員の人々のインタビューがあり、キッコーマンが如何に地元の人々に受け入れられているか良く分かった。キッコーマンは一般従業員だけでなく幹部も地元から雇用し、地元の家族を支えてくれた」と語った。

• ウォーカー氏は60万ドルの奨学金のインパクトについて「注目に値するものだ」と述べ、ウォルワース近辺では1970年代から80年代にかけて、各家庭の子ども達が初めて大学に入るような状況だったと語った。また、ファックスコンのウィスコンシン州進出について、信頼を築き経済関係を作ったキッコーマンが、日本企業や海外企業進出の良い例になるだろうと語った。

• 更にウォーカー氏は40周年記念の時に寄付された水の質を護るための100万ドルについて、その恩恵は地元のみに留まらず、ウィスコンシン大学ミルウォーキー校内に「フレッシュ・ウォーター・サイエンス」が設置され、多くの仕事が成されており、ミルウォーキーにあるグローバル・ウォーター・センターを通じて世界に情報が発信されていると述べた。また、水使用を最小限に抑えて水資源を維持する研究も行われていると語った。

• 杉山普輔駐米大使は7日に行われた安倍晋三首相とトランプ大統領との会談のため、7日の夕方まで安倍首相に同行しており、「北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長との会談について、両首脳の考えは完全に一致している」と述べた。
• また杉山大使は、安倍・トランプ両首脳は日本の米投資についても話したと述べ、茂木友三郎氏を「日本の対米投資のパイオニア」だと称賛した。
• 今年3月末に着任した杉山大使は「これから各州を回り日本企業がどれ位米国経済に利益をもたらすか、また(日本の対米投資が)日本企業にどれ位利益をもたらすか、見て回るのを楽しみにしている」と語った。


第6回ウィスコンシン・U.S.・日本
-経済開発会議

• 第6回ウィスコンシン-U.S.-ジャパン経済開発会議は、復活して来た経済成長をどの様に維持するかをテーマに「成長維持のための経済眺望、U.S.、ウィスコンシン、ジャパン」と題して開催された。同経済開発会議は、キッコーマン・フーズ、ウィスコンシン経済開発局、ウィスコンシン大学ミルウォーキー校の共催によるもの。

• パネリストはウィスコンシン大学ミルウォーキー校のチャンセラー、マーク・モン氏、スコット・ウォーカー州知事、ウィスコンシン経済開発公社のCEOマーク・ホーガン氏、堺屋太一氏、ロックウェル・オートメーション社のマイク・ラスコウィッツ氏、福井俊彦・元日銀総裁、米国商工会議所プレジデントのニール・ブラッドレー氏、ニューヨークにあるジャパン・ソサエティのプレジデント櫻井本篤氏。

• マーク・モン氏は、「古い戦略はもう既に成功をもたらさない。新しい経済環境では革新的にでなければ取り残される」という茂木氏の言葉を引用し、世界の変化は加速されており、働く人々はそれに迅速に適応しなければならない。そのためには創造力に富む人材教育が必要であり、物事を「なぜか?」と考える人でなければ問題解決できないと語った。
• 世界変化の激流に対処するためには英知、適応力、学習力が必須であり、その50%から60%は職業訓練によって働く人々を教育することができると語った。
• ウィスコンシン大学ミルウォーキー校のMBAコースでは、キッコーマンが採り入れている革新的・長期的思考、適応力の推進、グローバル思考、問題解決、起業家精神を生徒に教えている。すでに184,000人が同校を卒業し、その殆どがウィスコンシンの労働力になっているという。
• モン氏は「教育が経済繁栄に非常に大きなインパクト与えることは分かっている。キッコーマンなど、多くの企業とパートナーシップを持つ事が大事だ」と語った。

• マーク・ホーガン氏は、国際企業の経済開発努力のコーナーストーンは2つの領域にあると述べた。
• ウィスコンシン経済開発局では主に中小企業の貿易活動プログラムに力を入れている。貿易パートナーのトップ5は日本企業。
• ウィスコンシンの長期に亘る日本との相互利益貿易関係は、貿易戦略によって売り上げ増加を目指す地元企業に大きな利点を提供している。

• ウィスコンシンからの海外直接投資、外国からの直接投資の受け入れをセットアップしている。
• ロックウェル・オートメーションやハレー・デイヴィッドソンなどの企業が日本に投資している。一方、直接投資した海外企業は州内で成長・繁栄している。日系企業のコマツや富士フイルムが投資しているのは労働力の質を認識しているからであり、同じ理由でファックスコンもウィスコンシンに進出しようとしている。

• ホーガン氏は「キッコーマンがウィスコンシンを選んだのも労働力の質であり、地元との生涯関係を構築している。45年に亘り数千人を雇用し、その家族をサポートし、家族の夢を叶えさせ、州の生活の質を向上させている。これからもウィスコンシンは日本との仕事にコミットし、前向きな考え方によるリーダーシップが持続的な経済成長を生み出すことを念頭に、新しいビジネス機会を作っていく」と語った。

• ウォーカー州知事は10年前を振り返った。当時の十代の若者達は、大学を卒業しても就職先がないと恐れていた。最悪の不景気に見舞われていたウィスコンシンでの合い言葉は「Job, Job, Job!」だった。当時の失業率は9.3%、現在は2.8%と記録的な改善を見せ、合い言葉は「Workforce, Workforce, Workforce!」となっている。
• 人材募集件数が就職希望者数を上回っているが、雇用者側の要求と、就職希望者のスキルが上手く合致しない実情もある。

• これに対処するための策略は
• 教育と訓練の提供。6年生になるまでに将来何になりたいか考えてもらい、7年生からそれに応じたコースを提供する。

• 例えば退役軍人や受刑者など労働市場外にいる人達にスキルを学んでもらい、働けるようにする。
• 教育によって雇用者の要求を満たし、労働市場外の人達に職業訓練をうける機会を提供することで、労働力の総合力を上げることになる。
• 堺屋太一氏は、日本の人口減少問題を取り上げた。人口減少が続けば経済も縮小する。しかし、東京には若者が集まり繁栄が続いている。このために、日本の指導者は人口減少問題に実感を持っていない。
• 人口減少、経済縮小を回避する道は2つ。出生率を上げるか、移民受け入れしかない。過去の移民が日本文化に同化している事実を踏まえ、「移民を入れても崩れないという日本文化に自信を持ち、移民政策を速やかに実行すべきだ」と堺屋は主張する。タイムリミットは2040年。それまでに日本の倫理観や美意識を根本的に改める必要があり、数年のうちに着手しなければならない。堺屋氏は「残された時間はあと数年だ」と警鐘を鳴らした。

• ロックウェル・オートメーションは80カ国にビジネス展開し、従業員数は22,000人、売り上げは60億ドル。
• 製造業はGDPへの貢献が1位か2位を占める重要な産業であり、生産効率を上げる観点からもオートメーション化は避けられない。また、サプライチェーン化が進み、オートメーション化はより複雑化しているとマイク・ラスコウィッツ氏は語る。

• オートメーションによる製造過程の副産物としてデーター収集が行われ、このデータ収集により遠隔操作や複数機械の操作も可能になる。例えば一人のオペレーターがWIにある機械と日本にある機械を同時に操作することも可能となる。
• オートメーションによる製造が人の仕事を奪ってしまうと懸念する人がいるが、カギとなるメッセージは、革新的な工場でも必要とするのは「人」であること。
• オートメーションが必要とするスキルはどんどん新しくなり、働く人は学習能力と適応能力が求められる。

• 福井俊彦氏は世界経済・日本経済の変遷について語った。資本主義から生まれた産業革命で世界経済は大きく成長したが、先進国では既に成熟期に入っており、新しいパラダイムが求められているという。
• 福井氏は世界の経済眺望の一つとして、日本・中国・韓国の経済統合を挙げた。この3国を合わせると、3年後には米国を上回る規模となる。こうなれば、アジアは世界秩序の構築に大きな役割を持つことになる。3国の間には歴史問題があり容易ではないが、3国は新しいグローバル経済の発展と世界秩序構築への貢献をよく考えるべきだと語った。

• 米国商工会議所のニール・ブラッドレー氏は、米経済の成長率は次の四半期で4.5%に伸びると予想されており、経済成長を維持する基本は人と生産性だと述べた。

• 生産効率を上げるには、教育、スキル開発、競争力の拡大など多くの道があるが、競争力は自由貿易が全て。しかし、自由貿易は現政権によって攻撃を受けている。TPP12からも米国は脱退した。
• 現政権は貿易赤字に焦点を当てているが、貿易赤字が海外直接投資によって相殺されることは、経済学を学んだ人なら誰でも分かると指摘する。TPP復帰についてはワシントンDCの政策担当者らに説明を続けているという。
• 鉄鋼・アルミについての関税は、最終的に米国製造業を縮小させるとの見方を示した。

• 人について、米国は2つの事で利益を得ているという。
• 一つはベビーブーマーが労働力に入ったことだが、毎日1万人のベビーブーマーが退職の年齢に達しているのが問題となっている。こらは2029年まで続くと見られ、米国の労働力が低下する。これを回避するために、米国では退職時期を遅らせるなどの対策を採っていく。

• もう一つは労働市場外の人々を使うこと。米国ではフード・スタンプ制度があるが、職業訓練を提供することによって自力で食べていけるようにする。これによって、やり甲斐を感じてもらうことができる。
• 米国は歴史的に移民の貢献からベネフィットを受けている。現政権は移民を労働市場から引き出そうとしているので政策的なチャレンジがあるが、職業訓練を提供することによって、働きたい人を適材適所に配置することができる。また、急速に変化する雇用者側の要求に対処するために、働く人の生涯教育の在り方を考えることも重要だと語った


約540人が出席した、キッコーマン・フーズ45周年記念夕食会


乾杯の音頭を取る茂木友三郎・取締役名誉会長及び取締役会議長


地元の6高校へ60万ドルの寄付を発表後、スコット・ウォーカー・ウィスコンシン州知事と握手を交わす
茂木友三郎・取締役名誉会長及び取締役会議長


経済開発会議のもよう。From left: Motoatsu Sakurai, Mike Laszkiewicz, Taichi Sakaiya, M.C. Mike Miller, Scott Walker, Toshihiko Fukui, and Neil Bradley.


アビー・リゾート外庭で、夕食会前に挨拶を交わす出席者