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吟詠・剣舞・詩舞の魅力を披露
日本吟剣詩舞振興会50周年記念公演

• 日本吟剣詩舞振興会が50周年を記念し、シカゴで7月28日と29日の両日、ワークショップと記念公演を開催した。
• 吟剣詩舞とは、漢詩や和歌を詠う吟詠(ぎんえい)と、その吟詠にのせて舞う剣舞(けんぶ)、詩舞(しぶ)の総称で、日本伝統芸道の一つ。日本吟剣詩舞振興会では吟詠・剣舞・詩舞の普及振興を目的として、活動を展開している。

• 同振興会の広渡英治事務局長によると、全国組織の会員数は約10万人。会員になっていない流派の人々を加えると、約20万人が吟詠、剣舞、詩舞に勤しんでいるという。
• 今回の50周年記念シカゴ公演には、日本全国から61人のパフォーマーを含む総勢75人が参加した。

ワークショップ

• 28日のワークショップでは、同振興会のスーパーチーム・メンバーによる吟詠、剣舞、詩舞のパフォーマンスと説明が行われた。スーパーチームとは全国大会で優勝、または準優勝した精鋭達で、パフォーマンスは厳しい練習を積んで洗練されたものだった。

• まずは、「少年老いやすく 学成り難し・・・」という一節で知られる漢詩に吟詠独特の抑揚を付けて、観客も全員参加して詠った。腹部に力を入れて詠うやり方は、爽快感を感じるものだった。

• 続いて詩舞や剣舞で使う、扇の使い方の指導が行われた。参加者にも扇が手渡され、くるりと扇を回したり、ヒラヒラと舞うような扇の使い方を学んだ。

• 最後に、研ぎ澄まされた剣舞のパフォーマンスがあり、2人のパフォーマーによる居合いの指導が行われた。剣舞は居合いが基本になっており、参加者は刀の抜き方、刀の振り方、刀の収め方を学んだ。

50周年記念公演

• 日本吟剣詩舞振興会の50周年記念公演はシカゴ現代美術館の劇場で、司太鼓の協力で開催された。チケットは無料だったが予約が必要で、全席が予約済みとなっていた。このため、入場をあきらめた人も多かったようだが当日は空席もあり、あきらめた人には残念だった。
• 舞台は花見や富士など日本の情景を描く吟詠・詩舞・剣舞が鮮やかに繰り広げられた。後半は源平合戦、川中島の戦い、五稜郭の戦いなど、様々な侍同士の戦いのシーンが描き出された。吟詠・詩舞・剣舞で場面を描き出すパフォーマンスは、能や歌舞伎とは違うスピーディーなアクションがあり、緊迫感もあった。

• また、司太鼓の和太鼓演奏と共に剣舞や詩舞が披露され、藤間秀之丞師も衣装の早変わりを入れた藤間流日本舞踊を披露した。

• フィナーレでは60人を超えるパフォーマーが勢揃いし、今までの練習の成果を噛み締めるような、また、日本伝統文化を護る誇りに溢れるような表情が印象的だった。

• 公演後、日本吟剣詩舞振興会の菅原道雄会長は「若い方々に将来を託したいと言う事で、力を入れて育てている」と話す。
• 菅原会長によると、50年周年記念でいろいろな事業をやっているが、昨年アンダーソン日本庭園や総領事館広報文化センターでパフォーマンスを紹介し、その縁でシカゴ公演を開催することになったという。「総領事館、シカゴ日本商工会議所などの援助を頂いて、私どもも気兼ねなくお邪魔してこの1週間を楽しませて頂きました。ぜひともまた伺いたいと思っております」と語った。
• 日本吟剣詩舞振興会ではこの10年間、北京、エジプト、ブラジルなどで海外公演を行っている。

パフォーマー・インタビュー

• 振り袖姿が美しい吟詠の森田夏星(もりた・かせい)さんは、鹿児島で祖父母、両親と代々吟詠教室をやっており、3歳の時から吟詠を始めた。流派は宮崎にある吟道藤星流。
• 森田さんとデュオを詠った向山侑諒(むこうやま・ゆうりょう)さんは、先祖代々続く吟道清吟流の家に生まれ、2歳半から吟詠を始めた。シカゴ公演のために、月に1回どこかに集まり、練習を重ねてきたという。

• 素晴らしい詩舞を見せてくれた鈴木宏美さんは、名古屋市にあるがんセンター中央病院の看護師主任。詩舞の天辰神容流・正師範として鈴木悠容(すずき・ゆうよう)、日本舞踊内田流の名取として内田美鈴の名前を持つ。
• 鈴木さんは小さい頃にフェスティバルで剣舞を見て憧れ、約1年をかけて先生を探してもらった。ようやく行き着いたのが天辰神容流の杉浦先生で、7歳になる前から詩舞を習い始めた。以来約四半世紀、稽古を続けている。
• 「修行は厳しいと言うよりも、楽しい方が強いですね。小さい子どもから80歳、90歳の方まで一緒にお稽古させてもらうので、楽しいです」と語った。

• 早淵 鯉仙(はやぶち・りせん)さんと2人で見事な剣舞を見せてくれた増井鯉冠(ますい・りかん)さんは、早渕流剣詩舞道と荒木無人斎流居合道。伯父さんが早淵鯉將(はやぶち・りしょう)宗家であることから、幼稚園の時に剣舞を始めた。小学校に入って一度やめたが、中学生になって再度、剣舞と居合道を始めた。現在、大阪在住で、道場は神戸にあるという。

• 伯父の早淵鯉將さんは荒木無人斎流居合道の第十六代目で、若手パフォーマーの指導に当たっている。米国ではアリゾナ州フェニックス道場に弟子達を持つ。シカゴ公演後は一旦日本に帰り、イギリス、フランス、ポーランドへ指導に行くという。「もう(指導は)30年を超えていますから、それぞれの道場で指導者ができています。早渕流剣詩舞道は居合道が基になってできた剣舞です。日舞から出た剣舞もありますよ」と語った。

• 八代光晃子(やつしろ・こうこうし)さんは宮崎で吟詠を教えている。生徒は若い人から年配まで約100人。流派の「淡窓伝光霊流」では何千人もの生徒が吟詠を学んでいるという。
• 「吟詠の良いところは大きな声を出すと言う事。大きな声を出してストレスの発散になり、健康にいい。これが一番じゃないかと思っています。漢詩の意味は難しいですが、昔の著名な方が作られたので、情操教育にも役立つのではないかと思います」と語った。

• 和田彩楓(わだ・さいふう)さんは愛知県刈谷市で吟詠を教えている。吟詠は父の代からやっていると言う。吟詠剣詩舞・振付シリーズや吟詠集などのCDも共同出版している


鮮やかな詩舞の実演


ワークショップで吟詠の指導


ワークショップで剣舞の指導


剣舞を舞う早淵鯉將さん


増井鯉冠さん(左)と早淵 鯉仙さんの剣舞