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日本風情たっぷり“銀座ホリデー”

• お寺の境内に色とりどりの出店が並び、故郷の夏祭りを彷彿させる「銀座ホリデー」が8月10日から12日までの3日間、シカゴ市北部にある中西部仏教会で開催された。銀座ホリデーはファンドレイジングを兼ね、地元の人達に日系コミュニティや日本文化を知ってもらおうと始まった。名物の照り焼きチキンの香ばしい匂いが人々を誘い、呼び込みに言葉はいらなかった。今年で63周年を迎えた銀座ホリデーはすっかりシカゴ市の人気イベントの一つとなっている。今年も好天に恵まれ、大勢の来客で賑わった。

• 出店には日本の風合い溢れる骨董品、陶芸品、瀬戸物、掛け軸、折り紙アート、鯉アート、Tシャツなどが並んだ。今年はクジラ・ジャパニーズ・アーツ・アンド・クラフト・コミュニティが着物地で作った色とりどりの装飾品やバッグ、草履などのブースを出した。また、オハイオ・キモノも着物や帯、入手が難しい絽の襦袢などを出していた。  ステージでは柔道、合気道、民謡踊り、和太鼓、剣道、合気道、琴演奏、ハワイアン音楽とダンスなどが終日行われた。

• フードコートでは、照り焼きチキン、冷やしうどん、寿司、焼きトウモロコシ、スパムむすび、枝豆、アイスコーン、冷たい生ビールなどが販売され、来客は銀座ホリデーならではの食と祭りの雰囲気を満喫した。

• 銀座ホリデーの楽しみの一つは、日本伝統技職人と話をして、直に作品を買うことができること。今年は大分県の竹工芸師の三代目・毛利雄造さん、浅草の染絵てぬぐい「ふじ屋」の三代目・川上正洋さん、北海道の指圧師・鎌田洋子さん、技職人のまとめ役で大分の陶芸家・木下英二さんがやって来た。

• 毛利雄造さんは竹で編んだいろいろなデザインのバッグ、アクセサリ-、箸などの作品を並べていた。かつては父の健一氏が銀座ホリデーに来ていたが、今年は父から一人前としての許しが出て、雄造さんが初めてシカゴにやって来た。  毛利さんは25歳になるまで東京で会社員として働いていた。「小さい時から現場を見ていましたし、物を作るのが好きでした。やはり恵まれた環境にいたんだなと感じて今の仕事を選びました。大分の実家に帰って5年目です」と語る。

• 父について本格的に修行に入った難しさは「デザイン」襦袢を部屋着にした着物ファッションだと毛利さんはいう。大分には竹がたくさんあり、丸い竹を割って皮の部分だけを使う。だから、材料として使えるのは竹の1割程度。  「材料を取る修行は数をこなせば習得できます。デザインは感性が難しい。シカゴに来ていろいろな物を見て、それを持ち帰ってデザインに起こす、そういう事が大事かなと思います」と毛利さんは語る。

• 初めての銀座ホリデーで「興味を示してくれるお客さんが多いです。日本よりもお客さんが目をキラキラさせて、『So beautiful』と言ってくれて、こちらも楽しくなります」と目を細める。 今後の抱負として毛利氏は「父はもちろん尊敬していますが、今回(シカゴで)凄くいい勉強になっていますから、少し父親とは違う感性でものを作りたいと思っています」と語った。  毛利家は大分や東京に「竹巧彩」という店を出しており、百貨店でも展示販売している。参考ウェブサイトはhttps://www.chikukousai.com。 

・ 染絵てぬぐいの「ふじ屋」は観光客が多く訪れる浅草に店を構える。川上正洋さんは「外国のお客様が凄く多いですね。ゆかたをお召しになって歩かれるのが流行っているみたいで、すごく増えています」と話し、てぬぐいの売れ筋について「暑いので、雪の柄や水色系など涼しい雰囲気の柄が良く出ていますね。相手にどう見えるかというのも凄く大切ですね」と語った。

• 指圧の鎌田洋子さんは3年前に銀座ホリデーに初参加し、大人気だった。今年も朝から夜まで予約で一杯だった。  最後の客のマッサージを終えた鎌田さんは「すごい楽しくて。皆さんにとても良く受け入れて頂いて。(指は)大丈夫です。逆に皆さんが来て下さることの方が嬉しいので。今年もシカゴに来れて本当に幸せです」と満面の笑顔で語った。

• 木下英二さんは16年ほど銀座ホリデーに来ており、馴染み客が多い。大型作品は初日に売れてしまうのだという。今年も素敵な陶芸作品が並んでいた。  銀座ホリデーの縁で、木下さん、市松人形の藤村光環さん、染絵てぬぐいの川上千尋さん、木彫刻の横谷光明さんの4人が、昨年11月に行われたデトロイト美術館の日本館のオープニング式典に招聘され、羽織袴で出席した。

• かつて経営に行き詰まったデトロイト美術館は所蔵作品を売りに出した。作品離散を惜しむ声に応えて日系企業が寄付をし、同美術館は一作品も失うことなく、民間経営の美術館として再建された。その縁で同美術館内に日本館が設置されることになった。  オープニング式典に続く日本文化紹介イベントには2日間で7,500人が訪れ、直前に行われたモネ展の来館者4,000人を大きく上回った。

• 木下さんの作品は展示物がなくなるほど売れてしまい、陶芸のワークショップを開いた。ワークショップに参加すれば最高2単位までを取得できるという地元大学の計らいもあり、多くの学生や来館者が訪れた。  川上さんはデトロイトの景色をてぬぐいに染めて持参し、講演で見せるてぬぐいがなくなるほど売れてしまった。川上さんと市松人形の藤村さんは館内大ホールやミシガン州立大学で何度も講演した。  木彫刻の横谷さんは両面に日本伝統彫刻を施し岩顔料で色付けした、日本では見られないような鏡のフレームを展示し、脚光を浴びた。その他、和菓子製作者や和紙製造者が伝統芸術を披露した。  デトロイト美術館招聘の切っ掛けを作った木下さんは「銀座で通訳ボランティアをしている人達が車でオープニングに来てくれた」と、銀座ホリデーとの絆の温かさを語った


今年初めて銀座ホリデーに参加し、ブースを訪れた客と会話を楽しむ竹工芸師の毛利雄造さん


竹やヤマブドウの蔓で編んだバッグなど


舞台では日暮れまで終日パフォーマンスが行われた


食欲をそそる銀座ホリデー名物照り焼きチキン