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補習校生徒がカケハシ・プロジェクトに初参加
日米間に貢献してギャップを埋めたい

• 対日理解促進交流プログラム「カケハシ・プロジェクト」により7月24日から31日まで米国高校生96人が訪日し、シカゴ双葉会日本語学校補習校高等部の生徒19人が初めて同プログラムに参加した。
• 同参加者96人はA、B、C、D、の4グループから構成され、A、B、Cグループは米国高校の生徒達。Dグループが補習校生徒で、米国人として米国のパスポート所持者が参加の対象となった。
• プロジェクトでは外務省訪問、東京都内視察後、栃木県または北海道を訪問し、学校交流、日本文化体験、ホームステイなどを行った。

• 補習校の生徒は少なくとも片親が日本人で、殆どが親と共に日本へ行った経験を持つ。だが、「カケハシ・プロジェクト」への参加はそれとは違い、多面的な日本文化、社会、日本人への理解を直接深め、生徒の将来に大きなインパクトを与える経験となった。

• 補習校生徒達のカケハシ・プロジェクト印象記には;互いを尊重する文化、社会のルールを大事にする文化に理解を深め、日本に対する見方が変わった;日本の歴史が現在の日本に大きく貢献していることを学んだ。またリサイクル・システムが良く組織されていることを知った;プロジェクトでなければ会えない人に会い、行けない所に行くことができた;各人がお金を入れるおみくじの料金箱やどもにでもある自動販売機など、日本は信頼の社会であることを知った;日本という国の豊かさに感動した。いろいろ詰まっている玉手箱のような国だと気づいた;思いやる心があれば、どんな人とも仲良くなれることを学んだなど、多くの出会いと学びが記されていた。

• 8月18日には補習校生徒によるカケハシ・プロジェクト参加報告会があり、直接生徒達の意見を聞くことができた。全員が目を輝かせて話したのは栃木県でのホームステイだった。生徒達は3人から4人のグループに分かれ、農家などの家庭にホームステイした。そこは自然に囲まれ、WIFIが届かない所だった。
• ホームステイ先の人々は非常に親切で、浴衣を着せて祭りに連れて行き、神輿を担がせてくれたり、自家栽培の野菜で美味しい料理を作ってくれたり、陶芸や綿からの糸作りなど、様々な経験をさせてくれた。

• 大谷祥之君は後藤さん宅にホームステイした。初めは話すことが見つからず黙っていたが、1日、2日と経つうちに緊張が解け、親切な後藤さんと楽しく過ごした。海外から来る人達にホームステイを提供している後藤さんの話を聞くうちに「親切で思いやる心があればどんな人種・年齢・性別の人とも仲良くなれることを学んだ」と語った。

• ウォルター・りえ菜さんは「ホームステイ先の人が凄く優しくて、とても心が落ち着いて、今まで溜まっていたストレスが取れました。お別れの時に涙が出てしまって。お別れするのが凄く寂しくて」と語った。

• 生徒達は寝ている時でもスマートフォンを話さないヘビー・ユーザー。WIFIが届かない所で、どんな生活を送ったのか。

• 脇方ジュリアさんは「ケイタイがなくても、いろんな人と話したり、いろんな経験をしました。スマートフォンを持っていたら、そればかり見ていたと思います」と語る。
• 高橋愛理寿さんも「WIFIがないと何をしたらいいか分からなかったけど、ホストファミリーといっぱい話したりして楽しかったです」と語った。

• アレン啓太君は80歳前後の夫婦の家に泊まった。「ご夫婦は元気いっぱいに生きていて、とても印象に残りました。ずっとケイタイばかり触っているので、WIFI無しでできる事を考えるようになり、将棋を打ったりテレビを見たり、いつもしていないことができて、新しい経験でした」と語った。

• 高祖武男君は鴨農家に泊まった。朝6時に起きて、田んぼからビニールハウスに鴨を移動させる作業を手伝った。
• 同じく鴨農家に泊まった武本健君は「WIFIがなかったので、早く寝てぐっすり眠って、早く起きれました。移動が続いていたのでホームステイで休めました」と話し、その家でラーメンを麺から作り、鴨で出汁を取ってラーメンを作ってくれたと楽しい想い出の一つを語った。

佐野高校生徒とディベート

• 生徒達は佐野高校の生徒達と共に「動物園を廃止すべきかどうか」、「愛かお金か」の2つの議題で討論した。これは机を三角に並べ、反対派、肯定派、審判の3つのグループに分かれて行われる。自分の意見とは無関係に各々のグループの立場で討論するもの。

• 島袋克校長によると、ディベートはいわゆる言葉の戦いで、各々の立場から論を立てて行くことによって話す力を訓練するもの。佐野高校は英語教育に力を入れている学校として知られ、語学を学ぶためにディベートを採り入れているという。ディベートを通じて友達になった生徒達もいた。

• 動物園廃止については動物に与えるストレス、虐待の可能性、動物が来園者に与える危害などが反対派から出され、肯定派からは動物園のある町への収入、動物を見る機会提供、病気の研究などが挙がった。

• 「愛かお金か」ではもっと多様な意見が出た。お金がなければ食べ物や家も買えず、生きられない。だが、愛情がなければ幸せもなく家族もできず、子どももできず、社会が不安定になる。愛情があれば一緒に力を合わせて生きられるが、お金だけだったら寂しい。
• さらにディベートは「結婚は愛の象徴ではなく、LGBTの人達が結婚できなくても愛するから一緒にいるということで、愛はお金でバウンドされていない」という所までディベートが発展した。

• 引率した金谷紀代子先生は「あの時、本当に活発に意見交換してくれて、みんなの顔が生き生きしていた」と語った。

日本とアメリカのズレ

• 補習校の生徒達は日本文化も知っているが、アメリカ文化の中で育ち、アメリカ人としての認識を持つ。初めて外務省を訪れた生徒達は、ドレス・コードの意味の違いに戸惑った。また、アメリカ人でありながら日本人として扱われるのにも違和感を持った。半数近くの生徒が、アメリカと日本の感覚のズレを印象記に記載していた。

• カケハシ・プロジェクトで高校生の訪日を受け入れているのはJICEという 一般財団法人・日本国際協力センターで外務省の事業を委託している団体。

• 補習校の生徒を引率した金谷先生によると、JICEからジャケット、襟付きシャツ、ネクタイをスーツケースに入れておくようにとドレス・コードについての連絡があったという。
• しかし、当時日本は摂氏40度を超える猛暑だった。日本からシカゴに戻って来た人々から、ともかく熱中症にかからないようにするのが第一ではないかと生情報が入ってきた。そのため、金谷先生はJICEのドレスコードに関する連絡内容を「若干緩めた。そこは私の責任」だと話す。

• 生徒達によると、アメリカでビジネス・カジュアルと言えば襟付きのシャツを着ていれば良いが、日本ではジャケットとネクタイ着用が要求された。外務省などの役所を訪問するまで、そのズレが良く分からなかったという。
• アメリカの高校から来たABCグループの生徒達はジャケットを着ている生徒もいたが、そうでない生徒もいた。ABCD4グループともJICEから服装について注意を受けたが、日本人の顔つきをしている補習校生徒への風当たりは強かった。

• また、佐野高校を訪問する時もカジュアルで良いと言われていたが、佐野高校の生徒に会う前に長ズボンに着替えるようにJICEの人に指示された。一方、アメリカの高校から来たABCのグループは半ズボンのままで、着替えるように指示されなかった。
• この様な処遇の違いがなぜ起きるのか、補習校の生徒達は疑問を感じ、将来は日本とアメリカのズレを無くすために貢献したいと印象記に書いている生徒達もあった。

• 生徒の意見を聞いた金谷先生は「日本人というのは服でもって相手に敬意を表す、これが文化であるならば、私達は多様な文化に出会い多様な文化を認めてきたアメリカに住む日系人として、日本文化をリスペクトすべきではないか」と語った。

訪日の印象と将来

• 生徒達は日本人の優しさ、田舎でのホームステイの楽しさ、日米文化の違い、多様な面を持つ日本など、一時帰省とは全く違う日本での経験を語り、将来は日本語と英語をもっと勉強し、ボランティアや仕事で日米の間で貢献したい、オリンピックで通訳をしたい、日本のことをアメリカに住む人に伝えたい、日本へ留学したい、などの気持ちが一段と強まったとそれぞれに話した。
• (個々のインタビューはシカゴ新報ウェブサイトhttp://chicagoshimpo.comでご覧下さい。)

• 生徒達の報告を聞いた島袋校長は「皆さんとてもいい経験をしてくれた」と話し「やはり皆さんの最大の武器はバイリンガル、バイカルチャーであるということ。それは簡単な事じゃないが、皆さんの大きな財産だと思う。これからそれを生かして、架け橋人材になって欲しい」と生徒を激励した。

• 金谷先生は、生徒の言葉に「感謝」という言葉が多かったと話し「お世話になった人に直接恩返しするのもよし、日本のことを知らない人達に、日本の良さを伝えることで間接的に恩返をしをする『恩送り』をするのもいいでしょう。得がたい経験を与えて下さった外務省、在シカゴ総領事館、JICEの方々、本当にありがとうございます。JICEの方々にはVIPの扱いで本当に良くして頂きました」と語った。


栃木県庁で記念撮影



佐野高校とのディベート


佐野高校とのディベート後、交流プログラムを楽しむ補習校生徒


ホストファミリーが用意してくれた浴衣を着て祭りに出かける補習校生徒達



帰途につく生徒を見送りに来てくれたホストファミリーのお父さんとお母さん



地元レストランで料理を楽しむ生徒達