日本語メインに戻る
ペットケアA to Z講演会 By 小西温子獣医師
ワクチンと病気、ペットフード、歯磨き、安楽死の選択も

• 小西温子(こにし・あつこ)獣医師による講演会「ペットケア A to Z」が9月2日、アーリントンハイツにあるCentral Park East Apartmentのクラブハウスで開催された。主催したのはシカゴ日本人会で、犬や猫をペットに持つ人達が参加した。

• 小西獣医師は神戸出身。高校卒業後オーストラリアに在住し、動物好きであったことから獣医師を目指した。オーストラリアで高校から行き直し、メルボルンで獣医の免許を取得。昨年夏にシカゴに移り、イリノイ州で獣医の免許を取得、現在はシカゴ市内にあるVCA Misener-Holley Animal Hospitalで動物たちの診察に当たっている。

• 講演会ではペットの病気とワクチン接種、ペットフード、安楽死の選択、歯磨きなどのペットケアなどの説明と質疑応答が行われた。

ワクチン

• 子犬や子猫をワクチン接種のために動物病院に連れて行くのは、1回目・生後6週間から8週間、2回目・生後10週間から12週間、3回目・14週間から16週間。この3回で子犬や子猫のワクチン摂取は完成する。ワクチンにはDAPR、犬伝染性気管気管支炎、犬インフルエンザ、ライム病、狂犬病などいろいろある。

狂犬病ワクチン

• 米国で絶対必要なのは狂犬病のワクチン。
• 狂犬病は人間にも猫にも感染し、感染すると対処法がない。例えば狂犬病の犬に足を噛まれると、ウィルスが神経を伝って上に上がって行き6ヶ月で脳に到達する。すると、だ液が出たり、声が変わったり、攻撃的な行動を取るようになる。

• 事例として小西氏が話したのは、狂犬病ワクチンの期限が切れた猫。飼い主がワクチンを打つために連れて来たが、打つ前に猫が飼い主を噛んでしまった。すると、法的な義務が発生する。
• 獣医師は州に報告義務があり、10日間検疫病棟で監視し、狂犬病にかかっていないかどうか確認しなければならない。その間の費用は飼い主持ちとなる。
• 小西氏は「何があっても狂犬病ワクチンの期限だけは逃さないように」と念を押した。

犬インフルエンザ

• 数年前からシカゴで流行っているのは、犬インフルエンザH3N2型。最近ではH3N8型がフロリダのグレイハウンド・レース犬の間で流行だし、シカゴにもそのウィルスが来るのではないかと言われている。
• 犬インフルエンザや犬伝染性気管気管支炎は命に関わる病気ではないが、空気感染するので移りやすい。また、犬を預ける時には必ずワクチン接種の有無を訊かれるので、摂取しておいた方が良い。動物病院では摂取の証明書を出してくれる。

去勢手術

• 猫は身体のサイズがそれ程変わらないので、去勢手術は生後4ヶ月から6ヶ月が目安。
• 犬は犬種によってサイズが異なるため、小型犬なら4ヶ月でも大丈夫だが、大型犬になると成長に時間がかかるため6ヶ月、7ヶ月とその時期は一概に言えない。
• 犬も猫も成長するのに性ホルモンが必要で、筋肉や骨の発達を助ける。このため去勢手術が早すぎると良くない。
• 一方、男性ホルモンや女性ホルモンが出て来てしまっている状態で去勢すると、ホルモンバランスが崩れやすくなる。
• 雌猫の場合は初潮が生後7ヶ月ぐらいで来るので、その後に去勢すると乳がんになるリスクが上がる。

ライム病ワクチン

• ライム病はバクテリアによって引き起こされ、ダニ、ノミなどを介して感染し、人間にも感染する。犬の場合は症状はそんなに重くないが、人間がかかってしまうと皮膚が赤くなったり、神経系の痙攣を起こしたりする。

• ダニの予防は「フロントライン」が有効だが、それに免疫を持つダニが出て来ている。冬が寒いシカゴでは春や夏だけ犬にフロントラインを使う飼い主が多いが、冬でもダニやノミが活動し、薬がない時に生き残りの方法を見つけてしまう。年間を通じて使うことを小西氏は奨める。
• シンプルガードという薬も出ており、これはかなりのダニの種類モーラしており、ノミ、蚊、ハエ、ショウジョウバエにも効くという。これはダニなどがペットを噛む前に殺してしまうと言う薬。

フィラリア

• フィラリアは蚊を媒体にして感染し、心臓に負担をかける病気。インターセプタープラスなどの予防薬が出ている。蚊が刺す前に蚊を殺してしまう薬と合わせて使用するのが有効だという。小西氏は毎年の血液検査を奨めている。

ネコの場合

• 猫のベーシックなワクチンはFVRCPワクチン。
• 猫は呼吸器官の病気になりやすく、くしゃみを始めたり赤い目になったりする。これは猫のヘルペス・ウィルスに感染している場合が多い。これは人間には移らないが、一度かかると顔の中にある神経の中に住み着いて取り除くことができない。引っ越しや来客など、何かストレスがあると症状が出てくる。

• 人間のヘルペスも口の周りに発疹が出てくることがある。これも口の中の神経に住んでいるので、ストレスが溜まると出てくる。一度感染すると取り除く方法がないが、命に関わることは殆どない。

• 猫のストレスを緩和するために、幸福感を促進するスプレーがある。
• 良く吠える犬用のスプレーでアダプティブという製品もある。また、幸福感を促進する首輪も有効な場合がある。

猫の白血病

• 猫の場合、白血病テストを受けておいた方が良い。人間には移らないが、猫同士がじゃれ合った時などに猫のだ液や体液により他の猫に感染する。一般にフレンドリー・キャット・ディジーズと呼ばれている。
• 一度感染すると免疫システムに障害を及ぼすことがあり、飼育方法や病気治療の際に対処方法が変わってくるので、小西氏は早めのテストを奨めている。

ペットフード

• パッケージに惑わされず、研究室を持っている会社や、栄養素の配合などきちんと管理している会社のペットフードを選ぶ。メーカーのウェブサイトなどで調べてみる。
• 獣医師が奨めるのはHill痴, Royal Canin, Purina。これらの会社は問題があった時にはきちんと対応してくれる場合が多く、生産バッチ毎のばらつきがないか調べることができるという。

• 関節炎、下痢などペットの症状に合わせて無料でレシピを提供しているウェブサイトがある。
https://secure.balanceit.com
• また、有料だが症状に合わせてレシピをアレンジしてくれるテネシー大学の栄養センターがある。
https://vetmed.tennessee.edu/VMC/SMALLANIMALHOSPITAL/Nutrition/Pages/default.aspx

ペットケア

歯磨き

• 犬や猫は自分で歯を磨けない。だが、バクテリアが一杯いる歯石が付いて、歯肉を刺激し、歯肉が腫れて歯周病が生まれてくる。

• 人間用の歯磨きは絶対に使わないこと。キシルトールが入っているので、動物には良くない。

• ペットの歯磨ペーストは美味しいように作られている。歯磨きをする時は、顔の前から磨こうとすると怖がるので、後ろから抱きしめる感じで、自分の身体を壁として使う。

• 猫の場合だと、空腹時に口の周りに歯磨きペーストを付けて徐々に慣らして行く。歯磨きペーストになれたら歯ブラシ、または指に付けるブラシなどに歯磨きペーストをつけて、猫の歯に付いているものを落とす。難しい場合には要らなくなったストッキングやガーゼなどに水漬けツナ缶の汁を付け、猫の口の周り拭き、猫がなめている間に歯を磨いてあげる。猫が嫌がらないようにするのがカギ。

• 歯が痛いのは人間でも辛い。動物も同じで行動パターンが変わってくる。小西氏は年に1回のレントゲン、スケーリング、クリーニングを奨めている。

耳の掃除

• 耳に毛が生えている犬、耳が垂れ下がっている犬は耳の病気に感染し易い。耳の掃除も重要となる。
• 耳を掃除する薬は、「内容物が分からないまま使わないで。ステロイド剤が入っているものがあるから」と小西氏は注意する。
• 耳に液体を入れられるのは人間でも不愉快。だから散歩の後など犬が疲れた時にやるのが一番。ボトルから直接液体を耳に入れず、コットンなどに含ませておき、動いている犬が止まった瞬間に絞って耳に垂らす。20回ほど揉むと汚れが浮き上がってくるので、その汚れを拭き取るだけ。

安楽死

• 安楽死はネガティブな感情を持つことが多いが、治療の一つとしての選択肢だという。
• ペットが痩せて餌も食べなくなり、普通の生活が楽しめなくなった時は、ガンのケースが多いという。病気で苦しむペットに先の光がなく、治療にも限界がある時、「安楽死が治療法の一つになる」と小西氏は語る。
• 飼い主が安楽死を選択した場合はペットを麻酔で眠らせ、その間に苦しむことなく旅立たせるように細心のケアを提供しているという


小西温子獣医師