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シカゴ双葉校に「壁下文庫」開設、1000冊の本寄贈で
一冊の本との出会いが運命を変えたと壁下新氏

• 壁下新氏(アーク・テクノリジーズとアルタック社・名誉会長)がシカゴ双葉会日本語学校の創立40周年に当たり、同校図書室に1,000冊(2万ドル相当)の本を寄贈した。同校では図書室に1,000冊を収納する書棚を設け「壁下文庫」と命名した。
• 双葉校では9月25日に壁下文庫のオープニング・セレモニーを開催し、壁下新・三智子夫妻、高月秀之双葉会会長、三谷哲郎JCCC事務局長、坂野忠全日校校長、島袋克補習校校長、小菅弘之事務局長、白上未知子司書、同校生徒代表ら約40人が出席し、記念品贈呈やテープカットが行われた。

• 全日校の文化委員会・委員長を務める中学部3年の田部璃歩さんが、新しい言葉や事柄、新しい考え方を毎日学んでおり、学習には図書室にある本が欠かせないと話し、「調べたり考える材料を集めたりする時に、必ず図書室を訪れます。寄付された本はこれから私達の知識を増やし、これからの成長に役立ってくれると思います。また、本は心の豊かにしてくれ、いろいろな事への興味が拡がり、視野を広げることで多様な考え方を受け入れられるようになります。これから壁下文庫を大切に活用し、本に親しんで参ります」と感謝の言葉を述べた。

• 壁下文庫には、パイロットでもある壁下氏を表す飛行機の風船がマスコットとしておかれている。また、「読書して大空にはばたけ!」というキャッチフレーズが掲げられている。1,000冊のうちの第一便が9月21日に届き、今後続々と納入される。これに加え壁下氏は、著書「空飛ぶ社長のアメリカンドリーム」10冊を寄贈した。

• 同図書室司書の白上未知子氏は、壁下氏の著書について「困難に直面した時に現状を分析して立ち向かう姿勢に感動しました。困難な事が次々に起き、まるで小説のようだ」と話し、「本は心の栄養、読書は力になる。読書は全ての勉強の基本でもあります。生涯に於ける読書の習慣は学校図書館で始まると考えています。双葉校の長い歴史に、新しいページが刻まれた、それが壁下文庫です」と語った。

• 挨拶に立った壁下氏は、人が生まれてから一生を終えるまでに宿命と運命という2つの命があり、宿命とは生徒達が両親の仕事でアメリカ生活を体験し、大勢の日本の同級生が経験できないことを経験していること。また、運命とは学校で習得したことを参考にして自分の人生を切り開いて展開させることだと話し、自らの飛行機との出会いと人生の発展について語った。

• 壁下氏は元々、出張時に飛行機に乗ることが苦手だった。だが、独立して起業しようとした時に、あるアメリカ人経営者からパイロットのライセンスを取れば「あなたの人生は変わる。パイロットはスキルじゃない、リスクマネージメントのバランスだ」とアドバイスされた。同時にパイロットに関する分厚い本を授けられた。
• 壁下氏は「その本を読めば、自分の将来のビジネスの不安がどういうものか理解できるのではないか」と読破し、単発機のライセンスを取得した。更に65歳の時に双発機のライセンスを取得し、78歳になるまで飛び続けた。
• 壁下氏は「私の運命はこの本に出会ったこと、嫌いなフライトを好きな事に変えてしまったこと、これが運命だと思う」と話し、「好きな事ではなくても、良いと思うこと、その結果が大き育つ可能性があることには嫌いでもチャレンジして下さい。そう言う心を持っていたら、思わぬ展開ができて来る」と生徒達を励ました。

• セレモニー後は体育館に移動し、全校生徒と共に記念写真撮影が行われた。終了後は生徒一人一人が壁下氏とハイタッチをして退出した。

• 壁下氏は後日、生徒達にお礼のメッセージを送った。終戦時小学5年生だった壁下氏は「皆さんやご両親には想像もつかないでしょうが・・・」と前置きし、全く食べものが無い時代に、アメリカがトウモロコシ、大豆、小麦粉、豚の脂身が入った缶詰を週に1回配ってくれた。それにサツマイモや雑草を混ぜて作った茶碗一杯の雑炊が夕食、朝食はアメリカが配給してくれたビスケット2枚、昼食は水を飲むだけの日々だったと説明し、「私はアメリカ人のお陰で命を保てた事を忘れずに感謝し、シカゴで恩返しをと心掛けて来ました。皆さんも感謝の心を持ってシカゴ生活を有意義に過ごし、読書にも励んで下さい」と語りかけた。


壁下新氏略歴

• 壁下氏は1934年、満州生まれ。1959年に明治大学を卒業後、商社の関谷産業に勤め、1967年に支店長としてシカゴに赴任した。12年後に帰国命令が来たのを機に退社、1980年にアークテクノロジーズの前身となる精密バネ会社と機械部品を扱うアルタック社を創立した。現在はイリノイ州に2工場とメキシコに1工場を持ち、約640人を雇用している。
• 壁下氏はイリノイ州やクック・カウンティからマイノリティ企業最優秀製造者として表彰され、その他多くの賞を自治体政府や団体から受賞している。
• 2010年には春の叙勲で、旭日双光章を受章した。
• 現在はアーク社とアルタック社の名誉会長となり、シカゴ日本商工会議所顧問を務め、公私ともに社会貢献を続けている


テープカットに臨む壁下新氏(中央)、高月秀之氏(左)、白上未知子氏


生徒達から感謝の花束を贈られた壁下氏。右は三智子夫人、左は白上未知子司書。後列左から小菅弘之事務局長、坂野忠全日校校長、島袋克補習校校長、中学部2年の伊賀敷瑛里さん


生徒達に語りかける壁下氏


生徒一人一人とハイタッチ