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Walk in U.S., Talk on Japan
大島正太郎元大使らが講演、日米関係から
着物文化まで

• 日本の様子を米国に直接伝える「Walk in U.S., Talk on Japan」プログラムの派遣団がシカゴを訪れ、10月2日に総領事公邸でプレゼンテーションが行われた。
• 派遣団は大島正太郎元大使を団長に、高橋美都子氏が日本女性の進出について、リック・リュウ氏が日本に住む外国人としての経験、佐藤理瑛氏が着物の伝統について語った。

大島正太郎氏講演

• 大島正太郎氏はサウジアラビア大使、韓国大使、在ジュネーブ国際機関日本政府代表部大使などを歴任し、特にWTOで議長を務めるなど貿易関係の交渉に尽力している。今回の訪問では、日米関係の概観について語った。

• 日米はこの70年以上に亘る同盟関係で、外交、防衛、ビジネス、文化面において協力しており、東アジア地域の安定と平和のコーナーストーンとなっている。
• 近年、日本政府はトランプ大統領を支持しており、北朝鮮の非核化、平和解決への合意について米国と緊密に協力し合っている。

• 経済においては、日本と米国の2カ国で世界のGDPの30%を占めており、革新技術で世界をリードし、開かれた経済機会を共有している。

• 日本は米国への有数の巨大投資国であり、全米で約100万の雇用を生み出している。中西部では2,400カ所へ投資し、オハイオからネブラスカまでの12州で26万8000の雇用創出に貢献している。

• 貿易赤字に偏向したトランプ政権の貿易議論については、貿易収支のみが全ての貿易図を反映しているわけではないことに注視すべきだと述べた。
• 昨今の製造業はグローバルにサプライチェーン網を張り巡らしており、価値連鎖を構築している。技術的に低い部分は途上国で製造し、技術的に高い部分の殆どが米国で生産されており、このために米国は世界中から輸入している。
• このために日本は米国を重要な投資先とみており、米国内の地元企業とサプライチェーン網を構築している。米国内の日系企業が製造した製品が米国から輸出され、米国輸出額のうち757億ドルを占めている。米国から輸出された日系企業の製品は、輸出先の国々で製品需要や雇用を生み出している。

• 米国側は日本からの輸入ばかりに気を取られているが、日本の投資が米国の輸出に大きく貢献しているという大きな絵を見るべきだと強調した。
• また、東ヨーロッパ市場で頻発している日本と米国の著作権に対する深刻な権侵害に言及し、だからこそ日本と米国の企業が他国と平等に競争できるように相互利益関係の構築が重要だと述べた。

• また、大島元大使は7月に合意したEUとの自由貿易協定と、米国が脱退したTPP11に触れ、世界は自由貿易へ向かっていることに言及し、米国のTPP再加入を促した。

• 最後に大島氏は、日米関係は外交と貿易だけではなく、友情関係だと述べ、「今日のイベントは、日米の人々が心と心の会話に従事し、友情を深める機会だ」と述べた。

大島正太郎インタビュー

• 講演後、大島元大使はシカゴ新報のインタビューに答え、次のように語った。

Q:WTO議長時代に、日本のホウレンソウ(報告・連絡・相談)や根回しを生かされたそうですね。

• 大島:交渉していると表でそれぞれ国の立場を発言しますが、それを収斂させるためには、それぞれの人達の考えと、どこまで譲歩できるのかを知らなきゃいけない。従って、みんなの立場をできるだけ聞きながら、交渉を表で引っ張って行くということです。
• もちろん本音は言わないですが、お互いに話を聞いていると、どこまで強く主張しているのか分かってきますから。そういったことを一生懸命やりましたね。
• みんなの話を聞いていれば何となくイメージが出て来ますね。

Q:トランプ政権の中国に対する関税について、世界への影響は?

• 大島:それは世界への影響と、そういう新しい形の貿易政策により世界の貿易体制にどの様に影響し、その結果世界がどうなるかという2つの事があると思います。
• 短期的には当然相手国の輸出を制限するわけですから、中国の経済成長が低くなると言えます。一旦関税上げれば、それに合わせて経済は動きますから、一時的な衝撃はなくなると思います。
• 問題はそれから先、世界経済がどうなって行くかというのは、今の段階では見通しはできないと言う事でしょう。

Q:1930年代、フーバー大統領の時に保護貿易策をとって、世界貿易額が大幅に縮小しました。今回も同じ事が起きますか?

• 大島:全然状況が違うと思いますね。昔は各国が自国の見方で関税を上げ下げしていました。
• 今はGATTからWTOとなって、すでに国際約束で関税の上限下限を決めています。
• それ以上の関税を非常事態の時に上げることはできますが、それ以外は上げられない。従ってそのルールに反するかどうかが問題になります。
• トランプ大統領が今やっておられることは、少なくともWTO上アメリカとしては正当だと言っている訳で、WTO法上、正当かどうかが問題になります。
• 従って、前回と違うことは、世界的にルールがあって、自分の好き勝手に関税を上げられないと言うことですね。上げている理由が正しいかどうかは法的な解釈の問題で、WTOに提訴することになりますが、基本的には各国が勝手なことはしないと言う事はルールができている訳ですね。

高橋美都子氏

• 高橋美都子(みつこ)氏は日本の男性中心社会での女性の戦いと近年の変化について語った。高橋氏はUPS日本法人に入社、2007年にMBAを取得し、インド、パリ、モスクワに在住、迂曲歪曲を経て2008年にボーイング日本法人の広報マネージャーとなる。2人の娘が独立した後、日本政府の女性進出政策によるインセンティブを利用し、2015年に海外進出支援コンサルティング会社「ハーバーツ」を起業した。
• 高橋氏は、お茶くみ、男性の指示を喜んで受け入れて来た女性達は変わりつつある。日本はまだ男性社会だが、女性の将来が明確に見える。日本女性は高い教育を受け、マルチ言語を話す能力を持ち、IT言語にも強い。「ここにいる皆さんも10年後には、日本女性が経営する企業と商談をしていることでしょう」と語った。

リック・リュウ氏

• リック・リュウ氏は台湾生まれのバンクーバー育ち。2011年に東京大学公共政策大学院に入学、卒業後は東京スター銀行に勤務している。同氏は外国人から見た日本について語った。
• 現在日本では250万人の外国人が日本企業で働いている。なぜ外国人が増えるのか、それは日本人がサポーティブであること、年齢層を超えた人々からのサポートがあること。リュウ氏は様々な経験を話し、今でも日本社会に完全に受け入れられるのはチャレンジでもあるが、日本人はサポーティブで外国人を歓迎していると語った。

佐藤理瑛氏

• 佐藤理瑛氏は慶応大学を卒業したばかり。在学中に交流プログラムで1年間、シドニーに在住した。今後はコンサルティング会社に就職が決まっている。
• 交流プログラムで文化交流機会を多く持った佐藤氏は、着物と日本文化について語った。
• 佐藤氏の着物は祖母が作ったもので、母が30年前に着ていたもの。着物は単なるコスチュームではなく、タイムカプセルのように世代から世代へと家族の記憶を伝えるものだと話し、「きものを着ると、1000年前の日本の歴史に繋がりを感じることができる。日本に行けばレンタル・ショップがあり、着物を着て観光見学をすることができる。ぜひ着物を着てみて欲しい。着物のマジカル・パワーを楽しんで頂きたい」と聴衆を日本へいざなった


大島正太郎元大使


高橋美都子氏


佐藤理瑛氏


リック・リュウ氏