日本語メインに戻る
藤間流日本舞踊「秀舞会」第42周年リサイタル
古典で伝統を守り、生演奏と踊りでライブ感を

• 藤間流日本舞踊「秀舞会」の第42周年リサイタルが10月27日、ノースサイド・カレッジ・プレップ高校のオーディトリアムで開催された。
• 第一部は、長い歴史の中で引き継がれてきた日本舞踊本来の形を崩さないためにも、古典の薫り高い踊りで構成された。第二部では、三味線や笛太鼓の生演奏と共に踊る日本舞踊で構成されていた。

• 第一部は会主・藤間秀之丞師と池内エレンさんによる、清元「四君子」で幕が上がった。これは中国や日本の絵画で蘭、竹、梅、菊を指す称で、4つの美しい花が高潔な君子に似ていることから「四君子」と呼ばれている。この歌は明治中期に二代目清元梅吉が槍倉徳之助から得た歌詞に曲を付けたもので、4つの名花を称えて振りを付けたもの。
• 続いて藤間淑之丞師による長唄「廓八景」が披露された。これは江戸の楼閣・吉原の行事や風物を近江八景になぞらえて唄うもので、ご祝儀曲として品格のある一曲。
• 続いてオーストラリアから賛助出演に駆け付けた藤間由利之さんが常磐津「手習子」を、アバタンジェロ秋光さんが長唄「春の調べ」を舞った。手習子は寺子屋帰りの少女が蝶々と戯れながら花の咲き乱れる道を歩く、可憐な姿を現すもの。また、春の調べは春の野辺の長閑さを大らかに表現するもので、第一部では江戸時代を彷彿させる日本舞踊の伝統を惜しみなく披露してくれた。

• 司太鼓の勇壮な和太鼓演奏後は小休止。その間に舞台では第二部の準備が進められた。

• 第二部は豊明三味線社中による三味線演奏「越後獅子」で始まった。続いて三味線演奏に合わせて「牡蛎鍋」をアバタンジェロ秋光さんが、「さくら」を池内エレンさんが、「奴さん」を藤間秀之丞師が踊った。「さくら」では池内さんの赤い着物が一瞬で緑色に変わる、鮮やかな着物の引き抜きが披露された。
• また、藤間郁之丞さんが男らしい出で立ちで「助六」を踊った。これは、吉原にいる恋人の花魁「揚巻」に会いに来た助六が、夜桜を愛でながら気風の良さを見せる踊り。これは歌舞伎でも有名な一曲だが、リサイタルではお座敷風にアレンジした「助六」の形式美をたっぷりと見せてくれた。
• 続いて青木美弓さんが長唄「阿蘭陀遊女」を美しく舞った。これは、オランダ人などが滞在する出島に、長崎の遊郭から派遣された遊女の物語。遊女としての悲しい運命の中にも客との間に恋が芽生えるが、オランダに帰ってしまった恋人を慕う遊女が、出島の沖を行くオランダ船をを見送り、悲しみに耐えながら踊るというストーリー。

• そして千秋楽は、藤間秀之丞師による「甲斐残影」。天下統一を夢見て生涯に70回の戦に明け暮れ、京への上洛半ばで倒れた武田信玄の物語で、生涯を戦火の中で過ごし夢果たさず倒れた信玄の無念さを偲ぶもの。
• 「甲斐残影」は秀之丞師の恩師・藤間秀齋師の娘で家を継いでいる藤間秀扇師の指導を受けたもので、秀扇師の息子の藤間琇瀧師が振り付けたもの。秀之丞師はリサイタル前に秀扇師を東京に訪ね、3日間で踊り上げてシカゴに戻った。秀之丞師の踊りは力強くスピード感があり、従来の華やかな衣装で踊る女性の物語とは全く違う、勇壮な踊りを見せてくれた。

• リサイタルを終えた秀之丞師は「三味線の豊秋三寿路師匠、演出を引き受けてくれたタツ青木氏を始め、秀舞会を支援して下さるコミュニティの皆さまに深くお礼を申し上げたい」と述べ、「お客さんの多い少ないには関係なく、見て下さる方々がいらっしゃれば、踊りも衣装もちゃんとしたものを見て頂き、喜んで頂きたい」と語った。

• 毎年オーストラリアから賛助出演している藤間由利之さんは「1年に1回、ここで踊らせて頂くのが1年の目標です。皆さんに支えられてここまで来ましたから、秀之丞もありがたく思っています。秀之丞は『自分だけの力ではできなかった』と昨日も話していました。来年も伺いますので、よろしくお願い致します」と語った


「甲斐残影」を舞う藤間秀之丞師


豊秋三味線社中


池内エレンさん



アバタンジェロ秋光さん


青木美弓さん