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「南部アワード」高校生の科学学習を触発

シカゴ日米協会が
イリノイ科学オリンピアードの協力で表彰


• シカゴ日米協会がイリノイ・サイエンス・オリンピアード(ISO)の協力を得て実施している「南部アワード」の関係者を集めた「南部アワード昼食会」が11月26日、アーリントンハイツにあるコンフォート・インで開催された。
• 南部アワードは、2008年に「自発的対称性の破れ」の発見によりノーベル物理賞を受賞した南部陽一郎氏の賛同を得て、2012年に発足した。その目的は、イリノイ州の高校生に科学の勉強と学ぶ楽しさを奨励するもので、シカゴ日米協会とそのメンバー企業9社が南部コミッティを組織し運営している。
• メンバー企業はI.T.A.社、コマツ・アメリカ社、メイジ・コーポレーション、三菱エレクトリック・オートメーション社、モーレックス社、日本車輌マニュファクチャリング社、新日鉄住金USA社、岡谷USA社、オムロン社。(正式社名は英語面を参照)

• シカゴ日米協会のエグゼクティブ・ディレクター馬場光國氏によると、南部氏がノーベル賞受賞後、同協会で数回の講演をしてくれた。その後何かできないかと会員企業と話し合い、南部氏の名前に合致する、イリノイ州高校生の科学学習の奨励に決めたという。以後、科学関係の組織を探し、ISOに出会い、その協力を得て2012年に「南部アワード」を設立した。

• 南部アワード設立時に同協会のプレジデントだったエド・グラント氏は「ここに集まってくれたグループが南部アワードの成功と継続のカギとなる人々だ」と述べ、「南部氏の名前を冠した賞があることを誇りに思う。南部コミッティとISOの努力とサポートに感謝したい」と述べた。

南部アワード

• 南部アワードは、全国組織であるサイエンス・オリンピアードに参加する高校生チームのうち、イリノイ州から参加する2つの優秀チームに贈られる。
• 選考は、各々のコミッティメンバーがサイエンス・オリンピアードの23のカテゴリーの中からベスト3チームを投票し、最高得点を取得したチームが南部アワード受賞チームとなる。

• エントリーチームはAAとAグループに分かれており、南部アワードは各々のグループから1チームに授与される。過去3年間に受賞した高校は受賞できない決まりになっており、第2位の高校チームが受賞する。(グループはISOが分けているもので、AAは競争力の高い高校、Aはそれ程高くない高校。これは、競争力の高くない学校でも高順位に入ることが出来るように、科学の学習を州全体の学校に奨励するために配慮したもの。)

• 受賞チームの高校には2,000ドルの奨学金と盾が贈られる。15人のチームメンバーとコーチには各々、立派なメダル、南部氏からの手紙、南部氏の略歴が贈られる。また、優勝チームの代表者がシカゴ日米協会の年次晩餐会に招待され、受賞式が行われる。

サイエンス・オリンピアード

• サイエンス・オリンピアード(科学のオリンピック大会)は高校生(一部中学生も含む)15人が1チームとなり、生物、化学、物理学など23項目の中から一つを選び互いの知識や創造性を競うもので、1984年から全米で行われるようになった。

• 大会は毎年9月に始まり、招待者大会(invitational competition)、リージョナル大会、州大会と進み、各州からトップ2チームが全米大会に出場する。最初の招待者大会は地元の高校や大学が主催者となって開く非公式大会で、参加チームの練習の場となる。

• 昼食会にはISOからアスラー・アヘリン氏(サイエンス・オリンピアード・リージョナル・ディレクター、州大会・全国大会のスーパーバイザー、高校チームのコーチ)、ジョン・フィグウィス氏、カール・ガリソン氏らが出席し、アヘリン氏が詳細な説明を行った。

• アヘリン氏は、生徒らがチームを組むことによってチームの一員であることを理解し、チームの協力により成功することではなく、達成する事を学んでいるのだという。生徒らはチームで何を構築するのかを決め、研究し、今まで知ることのなかった世界に踏み込んでいく。チームは同学年の生徒ばかりではなく、異なる学年の生徒が集まっている。これは普通の学校生活にはない環境だという。

• ISOの最初のディレクターとなったフィグウィス氏はサイエンス・オリンピアードの有益性について語った。生徒らは夜でも学校に集まり、チームで作った物を動かす練習をしている。その様子を見ていると「あ!分かった」という瞬間がいくつもあるという。また、コンペティションの時でも、他の学校の生徒が何かがなくて困っていると、競争相手であっても自分の物を使えと助け合っている姿が良く見られるという。

• 招待者大会をイリノイで組織したガリソン氏は、生徒達が土曜日の朝の5時45分までにサイエンスをするために集まってくる。これには驚かされると語った。

• アヘリン氏によると、今年の州大会は4月にイリノイ大学シャンペーン校で行われ、23項目各々の中から勝ち抜いた50チームが集まった。州大会になると、かなりレベルが上がっているという。各々50チームから2チームだけが全米大会に出場することができる。

• アヘリン氏は「サイエンス・オリンピアードは科学者の未来にインパクトを与えるだけでなく、将来の科学者の協力、チーム・ビルダー達にインパクトを与えているんです」と述べ、昨年の生徒の作品を紹介した。
• 一つはマス・トラック・ビークルで、物を押して3メートル進み、またスタートラインの後ろまで戻るというもの。残念ながら戻る距離が2センチ足りず、失敗となった。
• このチームはトラックからヘリコプター作りに移った。非常に軽い材料を使い、2つのプロペラを輪ゴムで回転させ浮遊させるというもの。練習中は上手く行ったが、生徒らはその後のチューンアップでヘリコプターを壊してしまった。
• 生徒らは翌日の大会までに修理し、ヘリコプターは2分40秒の間、空中を浮遊した。これは期待を大きく上回る成果で、イリノイ州で2位となった。

• アヘリン氏は「これがサイエンス・オリンピアードのプログラムそのものです。生徒達が技術を磨いて、互いに知り合って、やればできる事を知り、失敗から学んで大会の直前でもリスクを恐れない。まさに生徒達が経験する(科学の)旅の味わいですね」と語った。

• アヘリン氏は、シカゴ日米会が南部アワードを通じて生徒に与えてくれた勉学への励ましに感謝の意を表し、同協会と南部アワード・コミッティのメンバー企業に感謝の盾を贈った


前列右よりアスラー・アヘリン氏、佐合俊治氏、川合敏生氏、岸岡慎一郎氏、エイミー・マーディアン氏、ケビン・バラテック氏、バーブ・フィグウィス氏。後列右より馬場光國氏、ジョン・フィグウィス氏、エドワード・グラント氏、石塚孝志氏、関野孝志氏、カール・ガリソン氏。


南部陽一郎氏の顔写真をデザインしたメダル


アヘリン氏の生徒チームが作ったヘリコプター。空中を2分40秒間浮遊した。