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AIとは、ディープラーニングとは何だろう?
セミナー「最新AIと製造業における
AIの活用の最新動向」

• AI(人工知能)って、ディープラーニングって何だろう。良く耳にするが、どんな風に利用できるのか良く分からない。こんな疑問に答えてくれるセミナー「最新AIと製造業におけるAIの活用の最新動向」が1月24日、シカゴ日本商工会議所(JCCC)の主催によりアーリントンハイツの図書館で開催された。
• 同セミナーではNEC Corporation of Americaの中川正彦氏が「データ分析プロセスの自動化」について、NEC Enterprise Communication Technologiesの谷本次郎氏が「AIによる検査検品の自動化」について、AIとは何か、AIの歴史や最新トレンド、製造現場に導入されているAI技術などについて講演した。

【データ分析プロセスの自動化】

• 中川氏はビジネス界のAI活用への取り組みやAIのデータ解析のプロセスや自動化について語った。
• AI (Artificial Intelligence:人工知能) は、グーグルマップで行き先などをインプットすればルートや所要時間が表示されるなど、すでに身近なところで使われている。AIが利用される時には、①何を検索したいかという課題、②入手できるデータ、③データ間の繋がり(例えば道路状況や天候などの個別データの繋がり)が必要となる。

AI利用の動向

• AIをどの様に利用するかというデータ・サイエンスがある。
• ビジネス界では、例えば店舗の店長が天候や周辺のイベント開催などを考慮して商品を発注する場合、過去の売り上げ記録や経験によって発注量を決めているとすれば、データを集めてAIを利用すれば誰もが発注することができる。

• AI利用によって、一世を風靡したレンタルビデオのブロックバスターに代わり、Netflixが消費者の嗜好に合うコンテンツの映画を製作し配信するという改革も起きている。
• 中川氏は「AIをどう使ってビジネスに生かすかが、非常にクリティカルなものになって行く」と話す。

• ウォルマートは昨年、2000人を超えるデータ・サイエンティストやAI関係技術者を採用すると発表しており、既存のAI技術者を含めて3000人態勢でAIをビジネスに生かす。競合よりもいち早くプロモーションを打ち、競合他社への勝利を目指す。

• AIをビジネスに生かすまでのプロセスには人手と時間がかかるため、より多くのデータ・サイエンティストを持つ企業がAIにより多くの施策を受けるというパワーゲームになっている。しかし、一般企業では何千人ものAI関係者の雇用は難しい。中川氏は「いつまでもこれが続くとは思わない」と語る。

AI利用のプロセスと自動化

• プロセスには前記の通り「何をやるか」の課題があり、①データ収集、②データを機械が読める形にするデータ加工、③データの特徴を認識できるようにする特徴量設計があり、ここまでに数ヶ月を要する。それから今業界で求められているデータ・サイエンティストが関わる④の機械学習(マシンラーニング)に入るが、それまでにAIを利用する企業の業務内容の熟知が必須であり、各々のプロセスには各々の専門家が必要になる。更にデータ可視化から運用まで数週間を要し、人手と時間がかかる。

• この①から④を自動化したのがdotDataというNECのユニークな技術で、AIが得意とするデータの総当たりにより一番良い結果が出そうなモデルを出すことができる。それをデータ・サイエンティストがチューイングを繰り返し精度を上げていく。この自動化により数ヶ月を数日に短縮することができる。

• dotDataのインパクトは、導き出される結果に明確な根拠が示されること。AIで導き出される結果には「ホワイトボックス」と「ブラックボックス」があり、前者には根拠が示されるが、後者にはなく、例えば「それはリスクが高い」という結果だけになる。そこに「なぜリスクが高いか」という根拠があればリアクションをとることができる。
• NECではこの様な技術を含めたAI利用についてのコンサルティングを提供していると中川氏は語った。

【AIによる検査検品の自動化】

• 谷本氏は実際に製造現場で使われているAI、機械学習、ディープラーニングなどについて分かり易く説明した。

AI:人工知能とは何か

• 諸説があるが、NECではAIを「人間の知的活動をコンピュータ化した技術」と定義している。
• 人間の知的活動は、①見て、②考えて、③行動するという3要素から構成されており、谷本氏の講演は②の部分。
• 企業でのAI導入には4つの軸がある。
• 運営業務を変革し効率化する。たとえば伝票処理の自動化などがある。
• 製品やサービス改革に利用する。
• 顧客との関係改善。
• 従業員へのメリットとしての労働環境の改善。

• 製造工場で使われているAIには、工程を流れて来た製品を写真に撮り、ソフトウェアがそれを見て欠陥品を判別するような技術がある。

AIの課題

• AIの課題の一つはデータ・サイエンティストなどAI能力者の争奪戦だが、彼らでなくてもAIの活用を可能にすることをNECは目指しているという。
• データが多ければ多いほどAIの精度が向上するが、良品・不良品などを識別させる「ラベリング」に人手と時間がかかる。このため、クラウド・ソーシングやラベリング専用会社も出て来ているが、「スモールデータ」でのAI利用もできる。

AIの中の機械学習とは

• 機械学習とは、サンプルデータを入力して解析を行い、モデル(有用な規則、ルール、基礎表現、判断基準)を生成する技術を言う。検査検品の場合では、欠陥の画像を入力して覚えさせ、欠陥を判断するものを作る。これをモデルという。
• 機械学習は4つに分類され、ラベリングをした「教師あり学習」、ラベリングなしでデータの構造や法則を見出すために用いられる「教師なし学習」、「半教師あり学習」というハイブリッド、現状を観測・認識し、取るべき行動を決定する問題に用いられる「強化学習」がある。

ディープラーニング(深層学習)とは

• 機械学習の課題として、特徴量の生成・選択の難しさがある。例えば赤いリンゴ、トマト、イチゴをどの様に特徴付けて識別させるか、色・形・手触りの他に各々の品種の違いもある。この難しさを解決したのがディープラーニング。
• 赤ちゃんは母親の目や鼻の形などの特徴を見つけて母親を認識する。これがヒントになって深層学習ができたのだという。

• ディープラーニングは、人間の脳の中で起きている情報伝達網に似たモデルをソフトウェアで実現したもので、ニューラルネットワークと呼ばれる。入力したデータの重要度に応じて重みをかけ、正しい結果が出るように重みの調節を何度も繰り返す。

• ニューラルネットによる機械学習で、入力と出力の中間層が深層になったものをディープ・ニューラルネットと言い、それを使った機械学習をディープラーニングという。
• ディープラーニング発達の3要素は、データをどの様に繋いでどの様な処理をすれば速く学習を終え、結果を出せるかという新しいアルゴリズムの発明、そのアルゴリズムによる大量データ解析の試行錯誤環境が整ったこと、そしてデータ処理の環境を使用時間で支払う安価な計算資源が利用できるようになったこと。

• ディープラーニングのインパクトは、特徴の抽出を高速で自動的にできるようになったことで、人が検知しなかった領域にも結果が出るようになった。

深層学習とAI利用の急伸

• グーグルが実施している画像判別コンテストがある。100万枚を超える画像からネコ、イヌ、ブドウ、飛行機などを識別するもので、人間でも疲れて来ると間違うことがありエラー率は5.1%。
• ディープラーニングが発明された2012年、発明者グループにより一挙にエラー率が下がった。以来いろいろなグループで研究が加速し、2015年にはマイクロソフトが人間のエラー率を下回る数字を出した。NECも2015年にRAPID機械学習というディープラーニングのソフトウェアを初めて出した。

NECの取り組み

• NECではAI技術ブランド「NEC the WISE」という名前で展開している。人を置き換えるのではなく、人と寄り添ってより良い社会を作っていこうというヴィジョンの元にAIを提供していると谷本氏は話す。

• 谷本氏はその中で、RAPIDという機械学習機能の中のOneClassを使った、スモールデータでも上手く作動する検査検品のデモンストレーションを紹介した。OneClassを使えば欠陥品のサンプルが少なくても、正常画像だけでも学習により異常を検出できるというもので、大量のデータを集める必要がない。また、欠陥品がなかなか出ないという工場でもAIプロジェクトを進めることができる。
• デモンストレーションでは市販のワッシャーを使い、12枚の元データ画像とサンプルを回転させ方向を変えた36枚のデータにより、へこみとキズのある欠陥品を正常品から識別して見せた。

講師プロフィール

中川 正彦氏:NECで日本国内のIT基盤システム開発に従事、通信事業者向けのグローバルアカウント営業を経て、現在はNEC Corporation Americaシリコンバレーオフィスに在席。顔認証を用いたCustomer Experience Solution とdotDataのデータ解析自動化プロジェクトの事業開発を担当。

谷本 次郎氏 :NECで企業向けソフトウェア開発、大手携帯キャリアの映像配信システム開発、クラウドサービスビジネスに従事。現在はNEC Enterprise Communication Technologiesに在席し、AIのビジネス開発を担当。AI・機械学習、映像・画像処理、クラウドサービスの設計開発が専門領域。


中川正彦氏(左)と谷本次郎氏