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第3回継承日本語弁論大会で20人が熱弁

• 「コンビニまで数十キロ、見渡す限り田んぼばかり、WiFiも届かない所で素晴らしい経験をさせてもらった」。

• 1月27日に開催された継承弁論大会でグランドプライズを受賞した大谷祥之君(シカゴ双葉会補習校)のスピーチは「感謝」。昨年夏にカケハシプロジェクトで訪日し栃木県でホームステイした大谷君は、ホストファミリーの後藤さんとの出会いを語った。
• 温かくもてなしてくれた後藤さんは、若い頃のイタリア出張の写真を見せ、イタリア語を話せない後藤さんをホストファミリーが親切に迎えてくれたことや、言葉の壁を感じることなく充実した日々を過ごすことができたことを話してくれた。
• また、後藤さんは「ありがとう」と言う時は「どうもありがとう」と言えば本当の感謝の気持ちが伝わる。「さようなら」の代わりに「行って来ます」と言えばまた会える、これだけは覚えて帰って欲しいと助言してくれた。後藤さんは言うだけでなく、栃木を離れる大谷君を見送りに来てくれ「大人になって戻って来たら一緒に呑もう」と一合枡を土産に持たせてくれた。
• 大谷君は「後藤さんは思いやる心があれば誰とでも仲良くなれることを教えてくれた。いつか私もホームステイのホストになり、国境も越える関係を作り上げたい。架け橋になりたい。いつか後藤さんの話を、イタリアから繋がった話を、ゲストにしたい」と語った。
• 大谷君には全日空より日本への往復航空券が贈られた。

• インタビューに答えた大谷君は「緊張しましたが、いっぱい練習した成果が出たと思います。後藤さんがいなかったらこのエッセイもなかったので、まずは後藤さんに感謝の気持ちで一杯です。すぐに家に帰って、後藤さんに連絡したいと思います」と語った。
• 大谷君のお母さんは「初回の大会に出させて頂いたので、忙しいからもういいんじゃないかと言ってたんですけど、(グランドプライズ)を頂いて、頑張って良かったなぁと思います」と語った。

今年で3回目となる継承日本語弁論大会は、在シカゴ総領事館広報文化センターで開催され、20人が堂々とスピーチした。これは日本語を継承する子ども達や学生達の発表の場として創設されたもので、在シカゴ総領事館、シカゴ日本商工会議所、シカゴ日米協会、シカゴ姉妹都市インターナショナル大阪委員会が共催している。

• 継承弁論大会は小・中学生を対象にした第一カテゴリーと、高校・大学生を対象にした第二カテゴリーに分けて行われた。各々のスピーチの後には審査委員長から日本語で質問があり、その答えも評価の対象となる。継承弁論大会では、日米2つの文化の中で育つ出場者の様々な体験が発表された。

• 挨拶に立った伊藤直樹在シカゴ総領事は「継承弁論大会への出場申込者数が昨年の2倍近くの50人になり、大きく発展している。また、今日の大会にはミネソタとウィスコンシン州から4人の出場者が来ており、中西部全州からの参加を望みたい」と述べ、参加者を歓迎した。
• また、伊藤総領事は中西部の日本人数が過去10年で40%増加し、その子ども達に日本語学習を続けて欲しいと述べ、日本語学習機会を提供している各地の補習校や日英二カ国語教育を提供している地元の学校に感謝の気持ちを表した。
• 更に伊藤総領事は、継承弁論大会やいろいろなプログラムを通して、2カ国語を学ぶ強みや2つの文化を持つ継承学習者への支援を続けたいと述べ、「将来は日米2カ国の本当の架け橋になって欲しい」と出場者に呼び掛けた。

受賞者のスピーチ

• 第二カテゴリーで1位を獲得したライアン・ロジャーズさん(ミネソタ大学)のスピーチは「僕の両親」。
• ロジャーズさんの母は日本人でイギリスに2年間留学した経験を持ち、日本に仕事で来ていた父と知り合い結婚した。ロジャーズさんが3歳、弟が1歳の時に父が米国から台湾に転勤となり、台湾に4年間住んだ。その次は日本に転勤という矢先に、父が交通事故で急死した。
• 母は息子達が大人になるまで、父が育ったように育てたいとミネソタに戻り、住む家から子ども達の学校、夫の死後の書類、自分の仕事など全てを一人でこなした。
• それから12年が経ち、大学生になったロジャーズさんは自ら日本語を学び始めた。母はバイリンガルに育てたかったが、忙しくてとてもできなかったことを知っていた。また、父のように日本で仕事をしてみたい、父が日本で何を見て、どの様に働いていたのかを知りたいと思った。
• ロジャーズさんはこの4月から日本に留学することに決めた。その前に日本にある米国企業でインターンの機会を得て、既に日本で働いている。今、父が生きていたら、自分をどう思うだろうかと考えることがある。
• 父は米国、日本、台湾の国際社会で多文化を尊重することの大事さを教えてくれた。また、怖がらずにいろいろな事にチャレンジすることの大切さを教えてくれた。ロジャーズさんは「私もいつか、父のように子どもの世界を広げてあげられるような父親になりたい。母が英語を学んで世界が広がったように、父が日本や台湾で仕事をしてたくさんの人々と知り合ったように、いろいろな事に挑戦したい」と語った。

• 受賞後にインタビューに答えたロジャーズさんは「大学だけで日本語の勉強が始まったから学ぶことがたくさんあって、一日で全部習うのはちょっと難しいから、言葉と文法だけ学んで、そこからもっと話せるようになりたいと思っています。母と話す時は知らない言葉がたくさんあるのでやはり英語ですが、留学から帰って来たら日本語で話せると思います。父の想い出は少ないけど、強くていい人だったと思います」と語った。
• ロジャーズさんのお母さんは「よく頑張ったね、と言って上げたいです。高校生まで日本語を話さなかったので、やる気を出してくれたのが経験に繋がったんだと思います。補習校の皆さんの素晴らしいスピーチを聞いて、もっとやる気が出たんじゃないかと思います。私が怒っている日本語しかたぶん知らないと思うので、留学から戻ったらもっと中身がある話ができるかなと思っています」と語った。
• 高校生まで反抗期が激しかったロジャーズさんだが、今は想像もつかないほど穏やかだと大学のカワカミ先生は話す。
• お母さんは「反抗期は凄かったです。喧嘩が多かったので、離れて良かった。良い関係が築けました。だからこう言うスピーチを聞くと、(自分の育て方が)間違ってなかったかなぁと思うこともあるので、ありがたいです。私も頑張ってきて良かったなぁと思います」と語った。

• 第一カテゴリーで1位を受賞したタイラ・シノハラ君(ジェイン・アダムス・ジュニア・ハイスクール)のスピーチは「ともかく笑え!」
• 落語が大好きだと言うシノハラ君は、「風が吹いて教科書がパタッと閉まって、僕は思わず『しまった!』と言いました」と小咄を一つ。
• 笑うといろいろいいことがあるんですと言うシノハラ君は、NK細胞とB細胞が活性されて病気になりにくくなる。エンドルフィン、ドーパミン、セロトニンというホルモンが分泌され、幸福感ややる気が出て、ストレスが抑制されると笑いがもたらす効果を売り込んだ。
• 笑顔は伝染して周りの人も笑顔になり、みんなのストレスが解消するとと言うシノハラ君は、最後に自作の落語を披露。「お父さん野菜の切り方5つ言える?」「ああ言えるさ。千切り、みじん切り、輪切り、いちょう切り、たんざく切り、まだまだ言えるぞ!」「わあすごい」「じゃお前は何か料理の仕方で5つ言えるか?」「焼き方なら言えるかも知れない。串焼き、鉄板焼き、炭火焼き」「おっ、渋いな、他には?」「目玉焼きに卵焼き!」と熱演し、台所に立つほのぼのとした父子の姿を描き出し笑いを誘った。

1位のロジャースさんとシノハラ君には米州住友商事より100ドルの商品券と、北米パナソニック社よりオーディオ・ヘッドセットが贈られた。

2位は第1カテゴリーのイブキ・タカハシ君(デューリー小学校)の「日本語の方言・江戸言葉」と第2カテゴリーの愛理寿・タカハシ―ブレィディさん(双葉会補習校)の「絶望の向こうにあるもの」。2人には米国日本通運より80ドルの商品券と、三菱エレクトリック・オートメーションより緊急持ち出しバックパックが贈られた。

3位は第1カテゴリーのハルネ・ナガヤさん(デューリー小学校)の「素晴らしい習慣」と第2カテゴリーのジュリア・ワキカタさん(双葉会補習校)の「サヨナラおじいちゃん」。2人には阪急阪神エクスプレスより50ドルの商品券と、ヤマゼン社よりスピーカーが贈られた。

4位
• ユリナ・タケダさん(デューリー小学校)「名前の由来」
• アンソニー・ミラーさん(ウィスコンシン大学ミルウォーキー校)「僕が海賊王になったきっかけ」

ANA賞
• タマキ・シノハラさん(デューリー小学校)「私のびっくり感動やまさか」

JASC賞
• サワ・イシヅカさん(デューリー小学校)「続けることの大切さ」
• ヒナ・カドノさん(双葉会補習校)「獅子舞が築いた親子の絆」

シカゴ新報賞
• タバサ・スコットさん(双葉会補習校)「「いただきます」は英語で何と言うのか?」
• カイラ・アオヤギさん(双葉会補習校)「アメリカ生まれ、アメリカ育ち」

IATJ 賞
• アレック・オオサトさん(双葉会補習校)「勝つためのレシピ」
• ミュウ・ヴィスコンさん(双葉会補習校)「見つけた私のチムドンドン」

JIC賞
• ゼン・ナガオさん(ミルウォーキー・土曜会補習校)「ぼくとまんざい」
• ダイチ・クリタさん(双葉会補習校)「諦めないこと」
• リエナ・ウォルターさん(双葉会補習校)「おもてなしの心」
• リイチロウ・フジキさん(双葉会補習校)「ジャズ


記念写真に納まる出場者全員と関係者一同


グランド・プライズを受賞した大谷祥之君(中央)。左は伊藤直樹在シカゴ総領事、
右は全日空シカゴ支店の清見佳秀氏



第1カテゴリー1位のタイラ・シノハラ君(中央)と第2カテゴリー1位の
ライアン・ロジャーズさん(左)。右は津田和明JCCC会頭


第二位の愛理寿・高橋・ブレイディさん(左)、イブキ・タカハシさん(中)、
神作竜JCCC渉外PR委員長



第三位のジュリア・ワキカタさん(左)、ハルネ・ナガヤさん(C)、神作竜氏


シカゴ新報賞を受賞したカイラ・アオヤギさん(左)とタバサ・スコットさん(中央)。
右は浦山美子・シカゴ新報社長