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鼓童シカゴ公演、文字通りのEvolution
寸分の狂いもないダイナミックな演奏を展開

• 佐渡ヶ島の太鼓グループ「鼓童」が2月28 日、シカゴ・シンフォニー・ホールで公演した。これは「One Earth Tour 2019: Evolution」の一環で、鼓童は北米30 都市を巡回中。2017 年ツアー「打男」以来、2年ぶりのシカゴ公演となった。

• 今回のEvolution は鼓童の35 周年を記念して2016 年に東京で公開されたもので、坂東玉三郎氏を2012 年に美術監督として迎えた鼓童の進化・発展を表すと共に、過去に蓄積された創作作品の洗練を示す構成となっている。

• Evolution は担ぎ太鼓で16 人のメンバーがステージを練り歩き、様々な隊列を見せる「Kei Kei」で始まった。これは住吉佑太さんの作曲によるもので、繊細な太鼓の音から徐々に熱気を高め、観客を引き込んだ。
• 舞台では300 ㎏もある大太鼓から小太鼓、ティンパニーや西洋打楽器も組み合わせ、鼓童の壮大な太鼓演奏が展開する。
• 鼓童の定番曲となっている「モノクローム」はシカゴ公演で毎回演奏されて来たが、一糸乱れぬ小太鼓の連打が波のように大きなうねりとなり、旋風のように会場を包んだ。振動するサウンドはまるで満天の星を振るい落とすようで、今までにない感動を呼び起こした。

• 第二部はコミックな、坂東玉三郎氏と坂本雅幸氏作の「カラー」で始まった。今回の公演には3人の女性奏者が含まれ、「明けの明星」(小田洋介氏作)では優雅かつスピーディなダンスと太鼓演奏でミステリアスなステージを見せてくれた。

• 住吉佑太さん作曲で篠笛のデュオをフィーチャーした「夕闇」、同じく佑太さん作曲で今回北米初公開となった「綾織」と続き、坂東玉三郎氏の創作、北米初公開の「螺旋」でクライマックスを迎えた。いろいろな太鼓や西洋打楽器を組み合わせた8組の太鼓セットを8人の奏者がそれぞれのパートを演奏するというアンサンブルで、寸分の狂いもないダイナミックな演奏を展開し、スタンディングオベーションを浴びた。未来に邁進する鼓童の、文字通りのEvolution だった。

• 佐渡ヶ島に本拠を置く鼓童は、1981 年にベルリン・フェスティバルでデビューを飾った。以来、5大陸、50 か国で6,000 回以上のコンサートを開いている。
• 住吉佑太さんは以前のインタビューで「二十数人が試験を受けて12 人がパス、2年目で7人がパス、更に3年目に準メンバーにパスしたのは4人のみ。現在、同期は僕ともう一人の2人だけです」と語ったことがある。それほど厳選されたメンバーから成る鼓童であるからこそ、あれほど質の高い演奏ができるのかも知れない。

• 鼓童の神谷唯氏によると、北米ツアーは2年に一度。「また帰って来るとしたら2 年後!シカゴの街にまた戻って来れたら嬉しいです」と語った。

住吉佑太さんインタビュー:
鼓童の音がぴったり合う秘訣とは?

 シカゴ公演後、佑太さんがEメールを通してインタビューに答えてくれた。佑太さんは2016年末に休暇を利用してシカゴを訪れ、ウィットニー・ヤング高校の日本文化祭で法悦太鼓とコラボレーションをしたことがあり、今も「佑太さん」を慕うファンは多い。

Q:一糸乱れぬ素晴らしい演奏でした。どの様に練習や準備をされているのですか?

佑太:作品自体(Evolution)は3年ほど前に作られたもので、日本国内ツアー、ヨーロッパツアー、そしてこのアメリカツアーと、3ツアー目になります。何度も人前で繰り返し演奏されていく中で、かなり洗練された作品になってきたなと実感しています。

「音を揃える」ためにはもちろん、たくさん練習することは前提ですが、音を出すまでのプロセスをとても大切にしています。

音楽的に言えば、一音の前の休符であったり、音と音との間であったりするわけですが、音が鳴っていないところをどれだけ合わせられるか、ということを常に意識しています。バチを振りかぶるその瞬間の息が揃わない限り、次に打つ音は揃いません。

 音は発音された瞬間に過去のものになって行きます。出た音を聴いてから合わそうと
するのでは、絶対に遅れてしまいます。ですので私たちは、舞台上では常に、みんながこれから「出そうとしている音」を聞く努力をしています。それは身体や楽器の調子によっても少しずつ変わります。そういった些細な変化に気付くためにも、日常生活の中から、お互いを気にかけあい、舞台に向かっています。

 曲によっては、演奏せずに舞台袖に控えているときも多々あります。そこでも皆、同じ気持ちでいます。曲がブレイクして無音になる瞬間は、袖の中で待機しているメンバーも、息を止めます。お互いを気に掛けて、その場の空気感を作っていく、それが鼓童の音がぴったり合う秘訣です。

Q:佑太さんは多くの曲を作曲され、鼓童のサウンド・メーカーと呼ばれています。どの様に作曲されるのですか?

佑太:作曲というのは、常々取り組んでいます。四六時中、新しい曲のアイディアとなるきっかけを探っています。

「曲を作ろう!」と思って机に向かっても、なかなかいい曲は書けません。ある意味、ひらめきの連続でないと、苦し紛れの曲になってしまいます。

本当にふとした瞬間に湧き上がってきた、新しい曲のかけらを大切にしまっておいて、いざ、作曲する!という時に、それらを繋ぎあわせたり、混ぜたりしながら曲を作っていきます。

 僕にとって、作曲は生活の一部です。日記を書くような気持ちで、自分の中に溜まったものをアウトプットしていく作業です。そのためにも、インプットすることを大事にしています。いろんなものを見て聴いて感じて、常に新鮮な気持ちで音楽に向かえるように、努力しています。

Q:どうもありがとうございました。

 
北米で初公開された、板東玉三郎氏創作の「螺旋」(写真:Takashi Okamoto


一糸乱れぬパフォーマンスで感動を呼ぶ鼓童の定番曲「モノクローム」(写真:Takashi Okamoto)


「明けの明星」(写真:Takashi Okamoto)


ドラムを演奏する住吉佑太さん(中) (写真:Takashi Okamoto)