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座禅入門ワークショップ:
姿勢、呼吸を整え心を鎮める

 座禅入門ワークショップがシカゴ市内ベルモントにある日本文化会館で開催された。2月9日にはロン・シラーク氏による指導が、2月21 日には修道士リック・ゲンドウ・テスタ氏による指導が行われ、シカゴ新報記者も初めて座禅を体験した。両氏は臨済宗の座禅方式をとっているが、禅修行の手段であり、その宗教的なものではない。禅の修行は我々の存在について問いかけることが心髄であり、意識して探査することによりその答えを求めるものだという。

シラーク氏の指導

シラーク氏は家でも定期的に座禅ができるようにと、基本的は姿勢(調身)、呼吸(調息)、心(調心)の3つを整えることについて説明した。

・姿勢
差布団の上にあぐらをかき、クッションを当てて痛みや無理な力がかからないように、ゆったりと座るようにする。差布団の上に骨盤が乗るようにし、背筋を伸ばし顎を引き、頭長が天井に引っ張られるような感じに姿勢と整える。あぐらをかいた脛は平行になる。
肩の力を抜き自然に下げる。右手は軽く握り、その手を左手で包むようにしてヘソの辺りに置く。前後左右に体を揺らし、バランス良く泊まるところ、自然なところに体を落ち着かせる。

・呼吸
基本的な方法として、息を吸う・吐くを一つに数え、10まで数えたら1に戻り、これをゆっくりと繰り返す。息を吸う時は、ヘソから2.5センチ位下の所に空気を吸い込むようにする。

・心
心の中にはいつも何らかの考えが次から次へと浮かんでは消えている。それらは今ここに存在しない過去の喜怒哀楽や未来のことであるが、座禅によって、今、この時を意識し、自分の体の存在を感じ、体と心をリラックスさせる。座禅をする時は目を開けたまま、6から8フィート(1.8mから2.5 m)ぐらい先の床に目を落とす。目を開けたままにするのは、今あるものをすべて意識に受け入れるため。

エアコンの音、階下の話し声、道路の騒音などが聞こえてくるが、その一つ一つに注目する必要はなく、反応する必要もない。今の出来事に背を向けるのではなく、何もしないという選択肢があることに気が付くことになる。「言動を起こす前に他人の言動を見て判断することによって、自分の言動が違ってくる。我々はいつも何かが起きていることに気付いているが、それについてどの様に感じるか、それは我々の判断だという選択がある。それに気づき始めよう」とシラーク氏は語った。

 また、シラーク氏は「次々にいろいろな事が心に浮かんでくるのは自然なことであり心配はいらない。座禅の姿勢と呼吸に焦点を当てていれば、心が整ってくる」と語った。

座禅の後、シラーク氏の指導でインテグラル・ストレッチのワークショップが行われた。これは一連のストレッチ運動を通して心と体の覚醒を刺激するもので、より深い呼吸と爽快感を体験した。

記者の体験

講師の話を聞き、座禅を見学するだけだと思っていた記者はスカートを着用していた。座禅に入れてもらえることになり、あぐらをかくわけにもいかず正座を余儀なくされることになった。

床に目を落として静かに座っていると、「あれもこれもしておかなければ…」といつも心に渦巻いている自分だが、その場では他にすることもなく、目に入るものをぼんやりと見ていた。

背筋を伸ばして深い呼吸をしているうちに、手の重みを感じなくなった。そのうちに足の土踏まずの上に臀部の角が乗っているのを感じるだけで、体の重みは感じなくなった。日常生活の焦りは全く心に浮かばず、臀部の角が乗っている土踏まずの心地良さと、体重を感じない不思議さに心を奪われていた。

20 分ほどの座禅が終わると、足に痛みは全くなく、痺れてもいなかった。非常に心地良い体験だった。

修道士リック・ゲンドウ・テスタ氏の指導

 「呼吸はメディテーションに完全に関係しており、呼吸は体を意識することや神経のシステムに影響している」というテスタ氏は、まず吸う・吐くの呼吸を数を数えながらゆっくりと繰り返させた。 

次に肩幅に足を開いて立ち、右手の平を左手の平の上に置き、肩、腕、手首の力を抜き、下腹の辺りで手を振るように指導した。自分のリズムで手を振り、振っていることを感じなくなるまで数分振り続ける。右手と左手を入れ替えて、もう一度繰り返す。

この体操により、体から緊張を取り除き、肚(はら)を意識し、心を鎮める。

 更に、ゆっくりとソフトに息をしながら呼吸を意識する。椅子に浅く腰掛け、静かに呼吸を整える。これによりスローダウンすることを学ぶ。

サーキュラー・ブリージング

 サーキュラー・ブリージングにより、血流により多くの酸素を取り込む事ができる。

 鼻からゆっくりと息を吸い、腹部に優しく息を入れる。口から柔らかく息を吐く。海の波の音を思いながら、これを数分繰り返す。顎を上げて、胸に空気を入れる。首を左側に下げ、肩も下げる。右側も同じように繰り返す。

 次に少し腰を落とし、骨盤の中に背骨がある感覚を感じ取る。肩を前から後ろに回しながら息を吸い、肩を落としながら息を吐く。肩甲骨が背骨に向かって引っ張られる感覚をつかむ。これを5回から10 回繰り返す。

 この様な呼吸法により、体がどのように心に影響しているか、また、心がどのように体に影響しているか感じることができる。これにより心を開き快い気持ちを強める。

呼吸のパターン4-4-6-2

・1、2、3、4とゆっくりと数えながら、鼻から息を吸う。
・息を止めて4つ数える。
・ゆっくりと6つ数えながら息を吐く。
・吐き終わったら息を止めて2つ数える。

 このパターンを5分から10分間繰り返す。椅子に浅く腰掛けてこのパターンを繰り返しても良い。

講師プロフィール

ロン・シラーク氏
合気道を始め、それから禅メディテーションに入り23 年以上の経験を持つ。インテグラル・ボディウォークの有資格プラクティショナー、レベル2TRE 有資格プラクティショナー、有資格マッサージ・セラピスト(IL)、合気道5段、合気道有資格インストラクターで合気道米国同盟の審査委員会メンバー、イリノイ大学シカゴ校メカニカル・エンジニアリング・サイエンスで学士号取得。

リック・ゲンドウ・テスタ氏
日本文化会館創始者で合気道師範だった豊田ふみお氏に合気道を習い、臨済宗のプリーストでもあった豊田氏の影響を受け、禅の修行に入る。これにより、より良い人生路を歩くことになったという。現在も修道士としてシアトルにある長母寺で春夏秋冬に行われる修行を続け、和尚になることを目指している。

 テスタ氏はロードアイランドにある正心館道場長、合気道4段、合気道米国連盟イースタン地域ディレクター。合気道ユース指導の非営利組織を創設し、複数の若者向けプログラムを実施。インテグラル・ボディウォークの有資格プラクチショナー


座戦の後、インテグラル・ストレッチを指導するロン・シラーク氏


ロン・シラーク氏


「手首を動かしてリラックス」と指導するリック・ゲンドウ・テスタ氏


リック・ゲンドウ・テスタ氏