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大統領命令9066を忘れないために
デイ・オブ・リメンブランス

―変だと感じたら声を上げることを恐れるな―
フレッド・コレマツ氏

• 約12万人の日系人強制収容を可能にした大統領命令9066を忘れまいとする行事「2019デイ・オブ・リメンブランス」が2月17日、シカゴ歴史博物館で開催された。
• 同イベントは、戦時下における市民権のもろさと、自由と権利を侵害から護るための「寝ずの番」の重要性を忘れないために毎年行われている。
• トランプ政権発足以来、権力乱用懸念や人種や宗教をターゲットにした抑圧懸念により緊張が高まる中、今年の大統領命記念行事は「Never Again is Now! 今こそ(日系人収容を)繰り返してはならない」をテーマに行われた。

• 特別ゲストとしてフレッド・コレマツ氏の長女であるカレン・コレマツ氏が講演した。
• フレッド・コレマツ氏は1919年にカリフォルニア州オークランドでバラ栽培を営む両親のもとに生まれた日系二世。
• 真珠湾攻撃後、にわかに日系人への嫌悪感が高まった。ルーズベルト大統領が大統領命令9066に署名したことにより、軍の指定地域から日系人を強制立ち退きさせる権限が米軍に与えられた。これにより日系人は短時間で財産を処分し、全米10か所の荒れ地に急普請されたバラックに強制収容されることになった。カレン氏によると、コレマツ氏は床屋で散髪を断られ、レストランでも食事の提供を拒否されたという。
• コレマツ氏は強制収容命令に従わないと決断し、二重まぶたに成形し、クライド・サラという名前に変え、ネバダか中西部に行こうとしたが、数週間内に逮捕された。カレン氏は、コレマツ氏は高校で米国憲法と市民権を学んでおり、9066によりこの様なことが起きるとは信じていなかったという。
• 逮捕されたコレマツ氏にアメリカ自由人権協会が面会し、日系アメリカ人抑留の合法性を確認するテストケースとして裁判を起こしても良いかと尋ねた。コレマツ氏はこれに同意し、米国史上でも有名な「コレマツ対アメリカ合衆国」と呼ばれる裁判となった。
• コレマツ氏は1942年9月の第一審で、軍令違反で有罪となり、5年間の保護観察下に置かれた。アメリカ自由人権協会は上訴したが、1943年に却下された。さらに同協会は連邦最高裁に持ち込んだが、日系人のスパイ活動の事実と戦時下での軍事上の必要性を理由に、有罪判決は覆らなかった。
• コレマツ氏はその後30年以上に亘って沈黙を続けた。コレマツ氏は子供達にもその話はしなかった。カレン氏も弟も、コレマツ氏の裁判については学校で知ることになったという。

• 1980年に当時のジミー・カーター大統領が「戦時における民間人の転住・抑留に関する委員会」を設置し、第二次世界大戦中の日系人の強制収容に関する調査を行うよう命じた。この時、調査員のアイコ・ヨシナガ氏や法史研究者のピーター・アイロンズ氏が採用され、ヨシナガ氏が埋もれていた書類箱を発見した。その中には「司法省の我々は最高裁に偽証している」という書類があった。また、9066の発令に重要な役割を果たしたジョン・デウィット司令官の最高裁あての書類の脚注に「海軍からの報告には、西海岸の日系人によるスパイ行為の証拠は何もない」と書かれていた。
• 同委員会は日系人強制収容を「人種差別や戦時下のヒステリアと政治指導者の職務不履行」によるものだと結論付けた。
• コレマツ氏はアイロンズ氏から書類発見の連絡を受け、再び米国政府と対決する決意をした。そして、1983年11月10日、1942年に初審が行われた同じ北カリフォルニア州連邦地裁で、マリリン・ホール・パテル判事がコレマツ氏の有罪判決を無効だと判決を出した。カレン氏によると、コレマツ氏は再審の日が来るのを、決してあきらめなかったという。
• これ以後、コレマツ氏は日系人強制収容に対する米政府からの謝罪と補償を求める運動を助け、人権擁護活動も積極的に行っていた。
• コレマツ氏は1998年1月に、クリントン大統領から大統領自由勲章を受章した。カレン氏はこの時の模様を、旅費もホテル代もすべて自費だったとエピソードを語った。
• コレマツ氏は2005年に86歳で没した。カリフォルニア州では2010年にコレマツ氏の誕生日である1月30日を「コレマツ氏の日」と制定した。フロリダ州でもコレマツ裁判を学ぶ生徒たちの声により「コレマツ氏の日」が制定された。

• 1983年の再審によりコレマツ氏の無罪は晴れた。カレン氏は「なぜ誰も、これ(市民権侵害)について話さなかったのか」と問いかけた。裁判沙汰になることを恥だと思わず、声を上げることによって人生を変えることができると語った。

• カレン氏は2009年、フレッド・T・コレマツ・インスティテュートを設立し、日系人収容や人権保護についての教育活動を続けている。
• トランプ大統領が就任一週間後の2007年1月27日に発令した大統領命令は米国内を震撼とさせた。性急に実行された大統領命はイスラム教徒が多く住む7か国からの入国を禁じるもので、イスラム教の名前を出さず、巧妙にイスラム教徒の入国を禁じるように書かれていた。これは日系人と明記することなく実施された9066を思わせるものだった。

• カレン・コレマツ氏は最後にフレッド・コレマツ氏の「何かおかしいと思ったら、正しい事のために立ち上がれ、そうでなければ彼らは何も聞こうとしない。声を上げることを恐れてはならない」という言葉を聴衆に伝えた




カレン・コレマツ氏


コレマツ・インスティテュートが提供する人権保護教材に関する教材


シカゴ歴史博物館で行われた「デイ・オブ・リメンブランス」