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第33回日本語弁論大会
日本語を学ぶ学生26人が熱弁振るう
ユーチューバー・スティーブも1993年の優勝者

• 第33回日本語弁論大会が3月23日、在シカゴ総領事館広報文化センターで開催され、日本語を学ぶ学生達26人が熱弁を振るった。今年は在シカゴ総領事館管轄10州のうちの7州から参加があり、過去最大の広がりを見せた。スピーチのトピックも様々で、学生生活や日本への留学体験、日本文化やアニメ、友情や動物愛護など、バラエティに富んだ弁論大会となった。

グランドプライス・スピーチ
「おしゃべりライアン」-自閉症は脳の機能の仕方が違うだけ
By ロバート・オルトさん

• 「弟のライアンを見ていると、自閉症は必ずしも能力がないということではなく、脳の機能の仕方が違うだけなのだということが良く分かります」。
• グランドプライズを受賞したロバート・オルトさん(カンザス・ステイト大学)のスピーチは「おしゃべりライアン」。自閉症の弟を持つオルトさんは、自閉症の人たちへの理解促進について発表した。
• ライアン君はどんな昔のことでも、その日が何曜日だったかすぐに思い出すことができる。複雑で難しいゲームも覚えてしまい、チェスや他のボードゲームは誰よりも多くの作戦を知っていて負け知らず。
• だが、恥ずかしい思いをすることもある。ある日レストランで、別人を同級生と思い込んだライアン君が親しそうに大声で話しかけた。一般的なマナーを学ぶのが難しいライアン君は、間違ったことを気にせず、恥ずかしいと思ってもいなかった。
• 自閉症の人には個人差があり、学習の過程が違うので教育は難しい。一番大切な時期に適切な教育を受けられないことは、自閉症の子供たちの将来にとって深刻な問題となる。一般の公立校では予算が足りず十分な支援ができないのが現状。素晴らしい支援をする学校もあるが、高額な学費がかかることが多く、すべての子供が行けるとは限らない。「ですから無料の公立学校を充実させることが大事なことだと思うのです」とオルトさんは訴える。
• 学校での支援は大事だが、私生活面でも事故が起きないように準備をしておかなければならない。旅行の予定を遅らせたり中止にしたり、犠牲を払わなければならないこともあった。「どんなに準備をしていても上手く行かないことがあるので、適応しなければいけません」とオルトさんは語る。
• オルトさんはライアン君との経験から多くを学んだ。特に、おかしな行動をする人がいても決してバカにしないこと。違う考え方をする人についても理解するように努力することが大事だと学んだ。また、適応力が強くなったことで、どこででも溶け込めるようになり、予期せぬ友情が生まれたこともあった。オルトさんは「自閉症のライアンとの生活は大変なことが多かったのですが、今は感謝しています。社会は自閉症の人のためにもっと変わるといいと思います」とスピーチを結んだ。

• 「今自分にできることは何だと思いますか?」という審査員の質問に、オルトさんは「教えるのが大変だとか、たくさんの人はあきらめてしまいます。一般の人々がもっと自閉症を理解したら、社会が自然に変わると思います。ですから私がもっと自閉症について話したり、教えたり、知ってもらえるようにできます」と堂々と答えた。

• オルトさんには、JALによる日本行きの往復航空券が贈られた。

姉妹都市大阪賞
「らしさの追求」By ルビー・グリリエーさん


• 姉妹都市大阪賞を受賞したルビー・グリリエーさん(デュポール大学)のスピーチは「『らしさ』の追求」。
• グリリエーさんは高校で日本語を勉強し始めた時、スーパー・ビーバーというバンドの「らしさ」という歌を聞き、自分らしさについて考えるようになった。
• 小学生の頃、乱暴だったグリリエーさんは男の子とばかりと遊んでいた。女の子の同級生から「ルビーちゃんは乱暴だから友達になりたくない」と言われ、その辛さから中学に入ると女の子のグループと一緒に行動するようになった。そして、いつも周りの人達と同じことをするようになった。一方心のどこかで、なぜそうしなければならないのかという思いがあった。
• 大学生になって日本に留学すると、ホームシックで辛くなった。日米の生活環境が余りに違い、みんなと同じようにしようとしても、できなかった。それならば、アメリカで全くしなかったことを日本でやってみようと決心した。
• 新しい食べ物に挑戦し、難しい授業を取り、積極的に男子や女子の友達を作った。周りに合わせることができなくなって、返って自分らしく行動することができ、日本で新し自分を発見した。
• 小学生の頃は乱暴だったが、今の自分は冷静で優しくなっている。この両方が繋がったと感じる。
• 「自分らしさとは、変わりたくても変えられない自分。それならば、自分を好きになることから始めたらどうですか」と聴衆に語りかけ、「私が日本で経験したように、自分らしく生きて行けば、そんな自分を好きになってくれる人達が集まって来ます」とグリリエーさんは語った。

• 日本へ行く前と帰国後の具体的な変化を審査員に尋ねられたグリリエーさんは、「今はもっと簡単に知らない人と話したり、自分で積極的に新しいことをしてみたいと感じることができました」と流暢な日本語で答えた。

• グリリエーさんにはシカゴ姉妹都市インターナショナル大阪委員会より大阪への往復航空券と2週間のホームステイが贈られた。

チャレンジする過去の優勝者

• 出場者を歓迎した伊藤直樹在シカゴ総領事は、日本語弁論大会から更に飛躍する2人の受賞者について語った。
• 一人は昨年の弁論大会で、第2カテゴリーで1位となったジェシカ・ユーンさん。ユーンさんはそれ以後、カリフォルニアで開催された日本語弁論大会に出場し1位を獲得、副賞として10日間の日本滞在を贈呈された。さらにユーンさんは文化交流経験プログラムを通して愛媛県八幡浜で開催された日本語弁論大会に出場し、八幡浜市長賞を受賞した。

日本で人気のユーチューバー・スティーブ

• もう一人の受賞者は、日本で人気のユーチューバー、スティーブ・フェルドマン氏。1993年に開催された第7回日本語弁論大会でグランド・プライズを受賞した。最近、日本語を勉強した理由と26年前の日本語弁論大会の様子を話すビデオを公開している。フェルドマン氏は日本の養鶏場で2か月間働き、その間に日本語を上達させた。弁論大会にはゴム長に糞除けの大きな帽子という養鶏場のユニフォームで登場し、聴衆を驚かせたという。ビデオはhttps://www.youtube.com/watch?v=tGRBQZFQELMで視聴できる。

シカゴ新報1993年4月21日号に掲載されたユーチューバー、スティーブ・フェルドマン氏

• 伊藤総領事は「この弁論大会をもとに皆さんがどれ程飛躍できるか、ジェシカさんとスティーブさんが非常に良い例だ」と述べ、「今日の結果がどうあれ、皆さんが日本語でスピーチを書きここで発表できることに誇りを持っていい。日本語の勉強は至難の業だ」と出場者を激励した。

日本語を話す弁護士になったクロップさん

• 同弁論大会をもとに飛躍した人物が、審査員の中にもいた。現在増田舟井弁護士事務所に勤めるケントン・クノップ氏で2006年にグランド・プライズを受賞した。
• 高校で日本語の勉強を始めたクノップ氏はウィスコンシン大学マディソン校に在学中、名古屋にある南山大学に1年間留学、大学卒業後はJETプログラムで1年間北海道に滞在した。
• クノップさんは「日本語と日本文化の勉強は個人的にも仕事としても経験を満たすもので、少なくとも自信を付けてくれた」と話し、やる気が落ちて来たら「初心忘るべからず」という言葉を思い出すと良いとアドバイスを送った。

• 日本語弁論大会は第1カテゴリー(小中学生)、第2カテゴリー(高校生)、第3カテゴリー(大学生)の3つに分けて開催される。各々のスピーチの後には審査員から日本語で質問があり、スピーチ内容を本当に理解しているかどうかも試される。流暢な日本語で話すだけでなく、スピーチとしての質が総合的に評価される。
• 上記の賞に加え、1位、2位、3位、4位、シカゴ日米協会賞、シカゴ新報賞、JAL賞、イリノイ日本語教師協会賞、凡人社賞が贈られた。

他の受賞者

1位:
• シャーロット・リチャーズ「日本語との出会い」
• セイジ・ハム「牧草地の音楽」
• ユエジャン・ジャン「話そう」

2位:
• ジョセフ・オブライオン「おねえさんとかいへいたい」
• ケイティ・パーク「バンドはひとつのかぞく」
• コールマン・アダムス「ホームレス大学生」

3位:
• ジェームズ・レインキ「ぼくのホッケーのけいけん」
• ジリン・ゴー「アニメの哲学」
• ゲーション・ペブニック「W.エドワーズ・デミング」

4位:
• アラナブ・ピヤ「えをかく」
• コレッテ・スタントン「日本文化に出会って」
• ビクトリア・ブラック「水のように」

JASC賞:
• ブルック・ウォタシアック「私の犬、モカ」
• トリッシュ・レイ「キリンを守りましょう」
• エリック・リース「ラジオパーソナリティーの仕事から学んだこと」

シカゴ新報賞:
• アナ・パーキンソン「日本文化のアメリカへの影響」
• リーテン・シャオ「成長の証」

JAL賞:
• ウィリアム・ベミュデズ「日本に住んでみたい!」
• キエット・トラム「大学で学んだ教訓」
• サマー・スナイダー「伊藤園という飲料ブランド…」

IATJ 賞:
• イザベラ・ナッシュ(「バイバルスイミングの大切さ」
• ヒョンギュ・カン「携帯電話なしで過ごした生活」

凡人社賞:
• ブレナ・タナ―「自分のせい」
• ジョナサン・ロックライン「高校の留学


弁論大会出席者と関係者一同


グランド・プライズを受賞したロバート・オルトさん(中央)。
伊藤直樹在シカゴ総領事(左) 、JALシカゴ支店長・山田賢哉氏



姉妹都市大阪賞を受賞したルビー・グリリエーさん(左)と姉妹都市大阪委員会委員の
高橋玲子氏



各カテゴリー1位受賞者たち。左からユエジャン・ジャンさん、セイジ・ハムさん、
シャーロット・リチャーズさん。右端はJCCC渉外PR委員会副委員長の阿部俊哉氏



2位受賞者たち。左からコールマン・アダムスさん、ケイティ・パークさん、
ジョセフ・オブライオンさん。JCCC渉外PR委員会副委員長の阿部俊哉氏



3位を受賞した、ゲーション・ペブニックさん、 ジリン・ゴーさん、
ジェームズ・レインキさんと、阿部俊哉氏



シカゴ新報賞受賞のリーテン・シャオさん(左)とアナ・パーキンソンさん