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JACLシカゴ、新プロジェクトを始動
日系人強制収容の歴史を教室で啓発

• 全米日系市民協会(「JACL」)シカゴ支部が新プロジェクト「Our Story: The Japanese American Incarceration」(日系人強制収容)を発足させ、4月4日に同プロジェクトの始動レセプションと資金集めイベントがオールド・オーチャード内のマギアノスで開催された。
• JACLシカゴでは、日系一世と二世が被った強制収容は戦時における市民権のもろさを示す教訓であり、その教訓を踏まえて日系社会のみならず、すべての人々の人権と自由の擁護のために活動することがJACLの比類ない責任だとして同プログラムを立ち上げた。

• 同プログラムは学校の先生や生徒、一般市民に対し、日系人強制収容とそのインパクトについて理解してもらう機会を提供することを目的としている。強制収容が与えたインパクトは日系人や日系社会のみならず、米国憲法、民主主義の価値にまで広がることを学んでもらう。

• 日系人強制収容についての認識は米国一般社会に広がりつつあるものの、イリノイ州の公立校では必須学習項目に含まれておらず、生徒たちが学校で学ぶ機会は殆どない。不正行為の容疑もなく、裁判もなく、約12万人の日系人を家から追い出し、荒れた遠隔地のバラックに強制収容した1942年の米国政府の行為は、特定のグループがターゲットにされている今日の非常に重要な教訓となっている。

• 同プログラムの目標は、学校や図書館などの公共施設でプレゼンテーションを行うスピーカーを育てることから始まる。学校の先生達の関心を呼ぶためのパンフレットを作り、教室でのプレゼンテーションの機会を作って行く。JACLシカゴでは、元学校教員を含むOur Story委員会を立ち上げており、プログラムを進めて行く。

• JACLシカゴのプレジデントで同プロジェクト委員のリサ・ドイ氏は、日系収容を直に経験した二世たちが80代から90代に入りこの世を去って行く中で、三世、四世、新二世の我々がこのストーリーの拡散を担い、21世紀に進めていきたいと述べ、支援者に感謝の気持ちを表した。

• 同プロジェクトを率先したビル・ヨシノ氏(元JACL中西部のディレクター)によると、類似のプログラムは既にカリフォルニア、ミネソタ、アーカンソー、ワシントンの各州で実施されており、既に公立校の教室での学習が義務付けられている。だが、イリノイ州ではまだそこに至っていない。

• ヨシノ氏によると、Our Storyは日系人強制収容の起因から米国政府による謝罪と補償までをカバーする。
• 日本を出て太平洋を東に向かった一世たちは、ハワイのパイナップルやサトウキビ農場で契約労働者として働いた。その後、一部の一世達は更に東のアメリカ本土に向かい、カリフォルニア、オレゴン、ワシントン州などに落ち着いたが、耐え難い偏見や差別に直面することになった。だが、一世達は前進を続けた。
• 一世達は白人との結婚は許されず、白人の学校にも入れなかった。土地を所有したいと懸命に働いたが、外国人による土地所有は禁じられ、1924年には日本からの移民を禁じる排日移民法が施行された。一世は米国市民となることも許されなかった。

• それでも一世達は働き続け、農業で成功し生活の基盤を築いた。しかし、農業分野で大きな役割を占めるようになると、経済的妬みを受けるようになり、Native Sons of the Golden Westなどの白人団体から激しい対立を受けた。

• そして真珠湾攻撃が起き、日系人への嫌悪が一気に強まった。ルーズベルト大統領の大統領命令9066署名により、日系人廃絶、強制収容へとエスカレートすることになった。

• しかし、ストーリーはそこで終わらない。終戦から40年を経て、日系コミュニティは政府の不正行為を追求し、謝罪と補償を求める行動を起こした。一般に「Redress Movement」と呼ばれている。そして、1988年、レーガン大統領が市民自由法に署名し、米政府は公式に謝罪するとともに強制収容生存者一人当たり2万ドルの補償金支払いも認めた。

• ヨシノ氏は、これは驚くべきストーリーであり、だからこそJACLシカゴはプロジェクトに尽力していると話す。

• ヨシノ氏はアメリカユダヤ人委員会のプレジデントだったメイナード・ウィッシュナー氏の講演を聞く機会があった。ウィッシュナー氏はホロコーストを生き延びた人物であり、その時「America is the place where it is safe to be what you are. アメリカとは自分のままでいられる安全な場所だ」と述べたという。
• ウィッシュナー氏の言葉をいつも思い出すというヨシノ氏は「アメリカが最良の時期にある時、この言葉がアメリカを代表すると思うが、問題はいつもアメリカがベストの時期にあるわけではないという事だ」と語る。「国家保全のリスクという名目により、特定のグループがターゲットにされているのを見れば、日系人の経験がすべてだ。だからこそOur Storyをアメリカ一般社会に押し出すことが非常に重要だ」と語った。

• JACLは1929年に日系人が組織した全米組織で、アジア系の市民権運動団体としては米国で一番古い。JACLシカゴのウェブサイトはhttps://jaclchicago.org


JACLシカゴ支部による「Our Story: The Japanese American Incarceration」プロジェクトの
パンフレット




リサ・ドイ氏


ビル・ヨシノ氏


レセプション会場には支援者と、伊藤直樹在シカゴ総領事も出席した