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若手音楽家・芸術家紹介、
日本伝統文化で日米交流促進
新シカゴ日米会
20年の活動歴史を閉じる

• 日本伝統文化紹介や、世に出て行く若手音楽家や芸術家を支援して来た新シカゴ日米会(NCJAA)が20年余りの活動に幕を下ろすことになり、5月10日にアーリントンハイツにあるダブルツリーホテルで「クロージング・セレモニー」が行われた。

• 新シカゴ日米会は菅野昭子氏や斉藤実氏が率先し、主に日本で生まれ育ち戦後に米国に来た日系人グループにより1998年に創設された。同グループは日本伝統文化に造詣が深く、菅野氏が箏演奏家でもあったことから、アメリカ人の箏奏者や津軽三味線奏者、日本人ソプラノ歌手、バイオリニスト、ピアニストなどを巻き込みながら日米交流を促進して来た。
• また、初代プレジデントを務めた斉藤実氏は日本の古美術を扱う古物商であったことからシカゴ美術館との繋がりも深く、芸術面でも日米交流を促進した。
• 斉藤氏に代わってプレジデントとなった菅野氏は、春と秋のコンサートを通して若手音楽家の掘り起こしや紹介活動に邁進する傍ら着物クラブにも着手し、アフタヌーン・ティなどの場を作っては日本女性に着物を着る楽しさを伝えていた。また、アメリカ人女性にも着物の魅力を紹介していた。

• 時が経つに連れ、50代だったメンバーは70代に、60代だったメンバーは80代になって来る。若手の活力の必要性を感じた菅野氏は、2011年に現プレジデントの片山理恵氏にリーダーシップを託した。
• フラメンコ・ダンサーでもある片山氏は、メンバーの期待に応え、新しい人脈を新シカゴ日米会にもたらした。新年会や春と秋のコンサートには日米両側から新しい音楽家や芸術家を紹介して来た。
• だが、この20年で世の中は加速度的に変化し、猛スピードでデジタル化が進んだ。そして、若い世代の行動トレンドも変わった。
• 片山氏は新シカゴ日米会の存続が難しくなった理由の一つを「メンバーの高齢化に伴いメンバー数が減って行く一方で、若い世代の人達はこのような会に縛られることを嫌い、NCJAAのイベントには興味を持って来てくれるが会員になることには興味がなく、フェイスブックやフライヤーで宣伝しても会員数の増加には繋がらなかった」と話す。

• また、二つ目の理由として、NCJAAは非営利団体だったが、片山氏が加入する以前から必要書類が保存されておらず、非営利団体としての更新ができなかった。専門家の意見も聞いた上で苦渋の決断となったという。

• 片山氏は「存続の利点を考えると、大きく変革を起こさない限り明るい展望が見えてこなかったので、これまでサポートして下さった方々にお礼をして、一度きれいにクローズした方が良いと言う結論に至った」と語った。
• だが、「新シカゴ日米会としての活動は終えるが、若手音楽家や芸術家の支援は形を変えて継続して行きたい」と片山氏は話す。これから求められている活動をリサーチし、効率的な支援手段を考えたいと語った。

• 片山氏は新シカゴ日米会の約21年の活動史を映像で見せ、メンバーや支援してくれた人々に深い感謝の気持ちを表した。

• 伊藤直樹在シカゴ総領事は「この閉会式はビター&スィートなモーメント」だと話した。ビターとは、日本と日系コミュニティにとって大切な資源だった新シカゴ日米会が幕を閉じること。スィートとは多くの日米交流イベントを成し遂げ、長く温めて来た人々の繋がりを今後も継続して行くこと。
• 伊藤総領事は「新シカゴ日米会は日本祭りや総領事館の行事などに長く協力してくれ、まさに令和が意味する美しいハーモニーに、音楽や芸術、日本文化や人との繋がりを通していち早く貢献してくれたと、その活動を称賛した。
• 新シカゴ日米会のイベントで長く日米両語で司会役を務めて来たダナ・ガーリック氏も、司会役を務めることになった経緯やいくつかの想い出を、ガーリック氏特有のウィッティなトークで語った。
• 若手芸術家紹介を一つの活動理念にして来た新シカゴ日米会らしく、閉会式には新しい若手芸術家、シカゴで唯一の日本人コメディアンとして活躍する柳川朔さんを紹介した。柳川氏は単独でシカゴに乗り込み、セカンドシティやクラブなどで英語によるウィッティなコメディで頭角を現している。閉会式でもコメディのさわりを演じてくれた。柳川氏のインタビューは6月10日号に掲載予定。

• 閉会式ではスペシャル・ゲスト・パフォーマンスとして、2011年に新シカゴ日米会が紹介した若手音楽家、チェリストの玉木光さんと箏奏者の木村怜香能さん、今や「Duo Yumeno」で知られる2人が、チェロと箏の素晴らしい演奏を聞かせてくれた。
• 演奏曲は、片山氏に敬意を表し、片山氏の好きな曲「爛漫」、バッハ作曲でチェロのための組曲No.3、明石に左遷され明石の君と恋に落ちる光源氏をテーマにした組歌「明石」、飛び回る鳥をイメージした「Frolicking with the Bird」。

• 夕食のテーブルには佐藤みさとさんによる生花、増岡幸子さん手作りの和菓子が置かれ、出席者はバフェの夕食を取りながら、新シカゴ日米会の想い出を語る夕べのひと時を過ごした


Duo Yumenoによる演奏が流れた会場


挨拶する片山理恵会長


伊藤直樹在シカゴ総領事


スタンダップ・コメディアン、柳川朔さん


Duo Yumeno