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写真展「米国人女性アネットが見た戦後の日本」、
シカゴ双葉会日本語学校で開催

• 第二次世界大戦後直後の日本を撮影したアメリカ人女性の写真展が7月17日(水)まで、シカゴ双葉会日本語学校で開催された。

• 撮影したのはアネット・ファインストーンさんで、戦後すぐにGHQの求職に応募、1946年3月に日本に到着した。東京で8週間の研修を受け、その後名古屋にある第5空軍に配属され、米国民間人の仕事を振り分ける業務に就いていた。
• カメラを買ったアネットさんは、休日にはGHQの同僚のジープで名古屋周辺に出向き、人々の日常生活や景色をカメラに収めた。

• アネットさんは1947年5月に米国に戻り、長年に亘ってその写真のネガは失われたものだと思っていた。ところが数十年後にそのネガが物置で見つかり、現像したという。
• 100点以上の写真には、食糧難で痩せた子供達、普通の生活に戻ろうとする人々、露店で生活費を稼ごうとする人々、行進する復員兵、山車を引く祭りの人々、賞品のカボチャをかけた相撲大会、戦火を逃れたのどかな田園風景など、戦後の日本の様々な表情が描き出されている。
• この中にはカラー写真も約60点あり、正月に着物を着た女性や女の子達の写真、満開の桜や田園風景、聚楽園大仏などの美しい写真もある。
• 興味深いことに、修復前の大阪城の写真もある。全日校の坂野忠校長によると、「名称不明の城と街並み」となっていた写真を調べたところ、背景に写っている大阪市役所の建物から大阪城であることが判明したという。
• また、1997年の中日新聞の調査により、写真に写っている力士が後の横綱栃錦であることも分かったという。

• 双葉校での写真展開催の切っ掛けは、睦美・ストーンさんと息子のクィン・駿之丞(はやのじょう)・ストーン君、クイン君が通うワシントン日本語学校補習校の先生で現在はシカゴ双葉会補習校の先生となっている田辺玲(あきら)先生によるものだった。

• アネットさんは睦美さんの夫のストーン氏の大叔母で、睦美さんとクイン君は写真が見つかって以来写真展開催や保存活動に尽力している。「戦後の日本を知る貴重な写真であり、息子が同級生達にも見てもらいたいと、ワシントン日本語学校補習校で昨年の10月~11月、カフェテリアを使って写真展を開かせて頂き、保護者の皆様からもご好評を頂きました」と睦美さんは語る。

• ストーン一家は今年3月24日、アネットさんの102歳の誕生日の前日にニューヨーク州ニューパルツに住むアネットさんを訪ねた。その時にシカゴ双葉校での写真展開催を非常に喜んでくれたという。残念ながらその数週間後の4月14日、アネットさんは102歳で逝去した。

• クイン君は自ら書いた写真展のリリースの中で、アネットさんのエピソードを綴っている。
• GHQの同僚達が街でガムや吸いかけのタバコをばらまき、それに群がる日本人を見て喜ぶ姿を見て、「同じ人間なのに…」とアネットさんは心を痛めたという。
• アネットさんの所にはよく浮世絵や本、陶磁器などを売りに来た。そのような本の一部をアネットさんはクイン君の家族に贈り、その時に「これは確か11、12歳の男の子が売りに来たの。きっと家族の生活のために売りに来たんだと思う。買ってあげたけれど、私はその時その子に払う金額を値切ってしまった。今それをとても後悔している…」と語ったという。

• 2015年にはアネットさんが住んでいたニューパルツの姉妹都市である岡山県新見市で写真展が開催された。新見市製作によるアネットさんのインタビュー映像をユーチューブで見ることができる。(https://youtu.be/e4izYenwwyY
• インタビューの中でアネットさんは「これらの写真を撮ったことは、忘れられない経験です。それは私に、日本に来た目的、それ以前に起きたこと、破壊的な戦争がもたらした政策的・社会的結果を教えてくれるものでした」と語っている。

• クイン君は同写真展を全米の日本人学校や補習校に拡大したいと思い、Go Fund Me!で資金を集めた。これまでに580ドルが集まり、写真展のための貸し出し用のコピーを作った。今年3月にはメリーランド州ベセスダ小学校で展示し、夏休み明けには、デトロイト日本語学校補習校で同写真を紹介する予定。また、東京にある昭和館のアーカイブに保存されることも決まっている。

• クイン君と睦美さんはシカゴの日本文化関連施設でも写真展の開催を望んでいる。写真展の問い合わせは睦美・ストーンさん、karutastone@gmail.comまで。


102歳誕生日前日のアネット・ファインストーンさん(中央)。クイン・駿之丞・
ストーン君(左)、睦美・ストーンさん(後列)、夫のリチャード・ストーンさん(右)


アネット・ファインストーンさんが撮影した終戦直後の日本の写真には多くの庶民の姿がある(「米国人女性アネットが見た戦後の日本」写真展より)


あばら骨が見える子供


露店で物を売る痩せた男性


祭りで山車を引く子供達


アネット・ファインストーンさん


相撲大会。賞品はカボチャだった。