日本語メインに戻る
シカゴ帯広交流展「思考回路」
アート展示、対談、音楽コラボなど多彩な3週間

• シカゴ帯広交流展「思考回路」が7月8日から28日まで、シカゴ市ローガン・スクエアにあるヘアピン・アーツ・センターで開催された。3週間に亘った同交流展では、いろいろな会場で多彩なプログラムが繰り広げられた。ハイドパーク・アート・センターではアーティストの交流や対談、エラスティック・アーツではタツ・青木氏による「ニュー・ジャパン・アンサンブル」コンサート、現代美術館ではミユミプロジェクトによるコンサート、定住者会(JASC)では帯広の蕎麦屋さんによる手打ちそばの実演、ヘアピン会場ではジョイス・クボセ氏による茶道裏千家の実演、木村登紀子さんによる箏演奏、現代電子音楽の目秦寛史氏らによるコンサート、秀舞会と司太鼓のコラボレーションなどが行われた。
• 7月19日にはオープニング・レセプションが行われ、アーティストやコーディネイターの紹介などが行われた。

• 今回のシカゴ帯広交流展「思考回路」は、過去6年に亘ってシカゴで帯広のアーティストや作品を紹介していた花木勤氏と、シカゴで芸術活動を繰り広げるタツ・青木氏が「何か今までにない面白いことをやろう」と2年越しで企画したもので、初めてのアートギャラリーでの展覧会となった。

• 帯広側のコーディネイトは花木氏とイラストレーターの岩沢美香氏によって行われ、帯広やその周辺から画家の梅田マサノリ氏、竹細工の上ノ大作氏、現代電子音楽奏者でアーティストの目秦寛史氏らが作品を展示した。一方、シカゴ側からは写真家の青木希音氏、キャラクターアートの根宜清美氏、書家の小田碧雲氏らが作品展示を行った。

なぜシカゴと帯広?

花木氏は東京在住のコンピューター・エンジニアで帯広出身、かねてより帯広の面白い人達を世界に紹介したいという強い思いがあった。7年前の米国旅行中に「シカゴにいるのが一番気持ちが良かった」という花木氏はシカゴを拠点と決め、6年前に梅田マサノリ氏と共にインポート系の会社を立ち上げた。以来、夏の間だけ休暇を取り、帯広のアーティスト紹介活動を続けている。在シカゴ総領事館の広報文化センターで「帯広コンテポラリーアート展」を開いていたのも、その活動の一つだった。一昨年にタツ・青木氏と出会ったことから、両者のアーティスト交流が始まったという。

• 花木氏は「今年は根宜清美さんと希音さんが帯広の人々を取材して写真集やイラスト集を作る。また目秦さんがタツさん達とCDを作る。今まではイベントだけで終わってしまったが、今年は物の形にして残そうということをテーマにしています」と語った。

帯広とアーティスト

目秦寛史氏は三重県松坂市出身だが、帯広を象徴する音を探して北海道を旅している。パーカッションや現代電子音楽で音楽活動を続ける一方、ヴィジュアル・アートでも活動を広げている。目秦氏が展示していたのは、帯広の馬の馬蹄をモチーフにしたもの。帯広の馬は大きく馬蹄もサラブレットの4、5倍はある。帯広にはその馬たちが鈴をたくさん付けて走る競馬があり、作品はそのイメージを表しているという。

• 竹細工の上ノ大作氏は札幌の隣町、北広島在住の陶芸家。6年前に花木氏に誘われ、初めて陶芸作品を並べたのが銀座ホリデーだった。だがトランクに入れて持って来た陶芸品は小さい。大きなものを作りたいと思い、ホームデポで見つけたのが竹のすだれだった。それをバラバラにして編んでいくと「場所に合わせてどんどん大きくできるのが面白く、自由な感じがする」と話す。以来、時空が歪むワームホールのような、虫食いの痕のような、内臓のような作品を自由に作っている。

• シカゴで製作中の作品は「巣(ネスト)」で、「僕と見た人の関係、来た人がこの中に入ってみたいと思わせたい」と語る。実際に中に入ってお茶でも飲めそうな「茶室」というタイトルを付けることも良くあるという。シカゴの作品は展示会開催中も作り続け、完成すれば天井から吊るし、空中に浮かぶ形にするのだという。

• シカゴ帯広交流展のサポート役の岩沢美香さんは帯広在住で、新聞や雑誌のイラストを描く一方、「絵描屋」という名前で塗り絵を出している。だが、今回はサポート役を務め、帯広を訪問した青木希音氏や根宜清美氏の取材先のコーディネイトなどに当たった。「今回は写真や絵が形として残る、それがすごく嬉しいと思います」と語った。

青木希音氏の作品はピンホールカメラで撮影した写真。十勝エリアの芸術家、蕎麦屋、ポニー牧場主など11人の仕事場を訪問し、その人たちが使っているもの、または使っていたものを譲ってもらい、話を聞いている間にもらった缶や箱に穴をあけ、ピンホールカメラをその場で作って撮影したもの。希音氏は「ピンホールカメラは写真の原点。ここから始まっているんです」と語る。それぞれの写真は、脳裏に残るぼんやりとした記憶が映し出されているような懐かしさを感じさせる。これらの写真は、写真集に仕上げられている。

根宜清美氏はイラストレーターとグラフィック・デザインが本業。「私はアーティストというよりも、コミュニケーション・デザインをやっています。お客さんあっての仕事なので、お客さんのプロジェクトに叶うものを作り出すタイプです」と語る。司太鼓のメンバーでもある清美氏は、司太鼓のポスターやウェブサイトのデザインも殆ど手掛けているという。
• 帯広での取材内容は、インタビューした人達の似顔絵と共に「帯広紀行」にまとめている。


ヘアピン・アーツ・センターの展示会場


シカゴ帯広交流展「思考回路」参加アーティスト・関係者たち
(右:タツ・青木氏、左:岩沢美香氏)


展示作品を前にする目秦寛史氏


上ノ大作氏とその作品「巣」


帯広で撮影した写真の前に立つ青木希音氏


根宜清美氏