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日本語を通してグローバル生徒の育成
シカゴのジョナサン・バー小学校ジャパン・デー

 シカゴ市のジョナサン・バー小学校で4月11日、毎年恒例のジャパン・デーが開催され、生徒や教員らは太鼓、書道、折り紙、剣玉、紙芝居、紙相撲など日本文化に触れる午後の一時を過ごした。吉田雅治在シカゴ総領事もバー小学校を訪問し、日本語学習の様子を見学した。

 バー小学校はシカゴのバックタウン地域にあり、シカゴ市立小学校の中でも学習指導要領に日本語が組み込まれている数少ない小学校。1990年代に日本語学習を導入し、現在は保育園児から8年生までが日本語を第2言語または第3言語として学んでいる。

 同小学校での毎朝の放送は、英語、スペイン語と日本語で「Good morning, Buenos dias, おはようございます」と始まる。4階建てのビルの廊下の壁には生徒らの作品が数多く飾られており、中には日本語で書いた作品、日本の工芸品も少なくない。日本語は生徒らの日々の学校生活に密着している。

 普段生徒らに「Hello, Hola, こんにちわ」と挨拶するバー小学校のウィリアム・クレー校長は、生徒らにとって日本語学習は多文化を理解し尊重する技能を育ませ、近年密接に関わり合っているグローバル社会の中で生きていく力を身に付けてくれるという。
「日本語学習は、グローバル生徒を育成するという私のビジョンを現実化している」とクレー校長はインタビューで答えた。
クレー校長は昨年、シカゴ日本商工会議所の教育基金を通して日本を訪れた。他のシカゴの教育者らと15日間で小中学校を7校見学した。7校の内の2校は2011年の東日本大震災の被害を被った学校だった。集中的に日本の教育システムと文化に没頭し、たいへん実りのある旅行となった。
「JCCC教育基金のアメリカと日本の教育交換体験を通して、日本の文化を深く理解し、それを学校へ持ち帰ることができた。今後グローバル社会で生きていく為に、生徒らが学術的な教育を受け、また文化的な知識を身に付けることの重要性を再認識した旅となった。それが校長としての私のモットーでもある」とクレー校長は話した。

 バー小学校では多くの生徒らが外国語学習を楽しんでおり、また多くの保護者らも日本語プログラムがあることを好意的に思っているが、シカゴ市教育委員会が近年、予算削減を行ったことから、日本語学習を続けるのが若干難しくなってきている。だが、バー小学校の保護者らが運営する2団体、「バー小学校の友の会」と「バー小学校保護者・教員の会」は年中資金集めに励み、集めた資金で日本語学習やジャパン・デーなどのイベントをサポートしている。
バー小学校の友の会の会長コーリン・ディロンさんによると、予算削減が理由で約5年前にバー小学校は保育園の日本語教員を失ったが、同団体が毎年6,000ドルを学校に寄付し、保育園で日本語学習を続けているという。保育園児がバー小学校に通い始める時点で日本語学習を受けされることは重要なこととディロンさんは言う。

 バー小学校の友の会は今年から年間2,500ドルを学校に寄付し、教員らに和太鼓のトレーニングを受けさせることを計画している。以前にはアフタースクール・プログラムとして和太鼓教室があり、多くの生徒や保護者に人気だった。和太鼓やコスチュームも学校にあることから、和太鼓プログラムを再開したいという声が上がっている。
ディロンさんは「日本語学習はバー小学校にとってたいへん重要。生徒らは他国語を学びながら、他の文化に触れるという貴重な経験をしている」と話した。ディロンさんの2人の娘も同学校に通っており、珍しい食べ物や、話、着物や音楽など日本文化に触れ、また日本の歴史や美しい日本語も学んでいるという。

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 私の息子もバー小学校の幼稚園に通っており、ジャパン・デーで高学年生に書道を教えるボランティアをした。私は日本の沖縄で生まれ育って、現在はシカゴに住んでいる。書道の時間に生徒らは自慢げに日本語で名前を書いて見せてくれた。多くの生徒らは書道に興味を示してくれて、熱心に「和」「平和」などの漢字に挑戦した。最初は漢字2つでいいだろうと想像していたが、生徒がすばやく書き終えてしまったので、慌てて「バー小学校」や、「木」「林」「森」という漢字を披露し、漢字の意味や面白さを説明した。ジャパン・デーが終わった後に、乾いた書道の作品を取りに教室に戻ってくる生徒がおり、子供達の好奇心と熱意に感激するボランティア経験となった。
バー小学校で生徒らの他文化に対する好奇心を満たしてくれているのは、ボランティア指導をしてくれたスティーブン・トラッセル先生。日本の高校で10年間英語を教えた経験を持ち、同校の幼稚園から8年生に日本語を教えている。特に低学年生には歌や工芸を通して日本語を教えている。日本語を語学として丁寧に教えている様子を見学して、この素晴らしい先生に日本語を教えてもらっている生徒らがいかに恵まれているかということを感じた。
また、バー小学校では生徒、教員、保護者らが日本文化に好意を持っており、シカゴ市立小学校で日本語を教えている学校があることに、たいへん感謝している。日本の豊かな芸術、食文化、歴史、言語を学ぶという貴重な経験を通して、子供達が他の文化を理解する力を身に付け、将来グローバル市民として活躍することを期待している。  (文・名嘉君代)