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麻生茂明:グラブ・デザイナーへの道
在外公館長表彰受賞

• 多くのメジャーリーガーにグラブを提供している麻生茂明氏(ウィルソン・スポーティング・グッズ社勤務)に在外公館長表彰が贈られ、表彰伝達式が5月13日に総領事公邸で行われた。
• 在外公館長表彰は、日米の相互理解及び友好親善に顕著な貢献をした個人や団体に敬意を表し、その功績を称えるために贈られている。

• 麻生茂明氏(68)は、1963年にウィルソン・スポーティング・グッズ社の販売代理店であり、革製品を扱う日本のパシフィック・オーバーシーズ社に入社した。ウィルソン社と契約する台湾や韓国のグラブメーカーでの品質管理の仕事を経て、1985年からメジャーリーガーのグラブ作りに携わることになった。
• 1996年にウィルソン・スポーティング・グッズ社に入社し、1999年からシカゴ市内にあるウィルソン社に勤務。野球グラブ・デザイナーとして現在も活躍している。
• 麻生氏の主な仕事は、スプリング・キャンプなどで実際にメジャーリーガーに会い、彼らの生のプレーを自分の目で確かめ、彼らが実際に使っているグラブに触れ、彼らの生の声を聞き出し、癖を見抜き、彼らにとって最良なグラブをデザインすること。そして、そのデザインを鹿児島県阿久根市にある工場に伝え、できあがったグラブを彼らの特性や癖に応じて型付けして提供すること。
• 長年積み重ねてきた麻生氏の技術と熟練の技、日本人らしい勤勉さや温かな人柄により、メジャーリーガーの麻生氏に寄せる信頼は非常に厚く、その分野で麻生氏は大変な権威となっている。

• 麻生氏が手がけた選手は、ゴールドグラブ受賞者が多い。日本人初のメジャーリーが野茂英雄投手、カービー・バケット選手、グレッグ・マダックス投手、バリー・ボンズ選手、イヴァン・ロドリゲス捕手、現役ではダスティン・ペドロイア選手、デイヴィッド・ライト選手、ブランドン・フィリップス選手などがいる。

• 吉田雅治在シカゴ総領事は「麻生さんのデザイン、型付けしたグローブを求めてウィルソン社とスポーツ契約するメジャーリーガーが急速に増えている。こうした麻生さんの功績に鑑み、ウィルソン社では麻生さんを“超人的な職人”、“我が社の独占的な財産”と高く評価している。また、麻生さんのこうした功績は日本国内でも認められており、2007年の日本語版ニューズウィークで世界が尊敬する日本人100人の1人に選ばれている。このようにアメリカの国技である野球を通じて日本人職人の技を海外に紹介させ普及させた麻生さんの功績はまさに諸外国との相互理解、友好親善の促進、その他海外関係を通じた国益の増進になるもの」と述べ、麻生氏を賞賛した。

• 麻生茂明氏は「振り返ると本当にラッキーな人生だった。最初から野球のグローブに携わる道を開いたのではないかという感じがする。今までにつらい思いをしたことがない。立派な賞を頂いたり、いろいろな人と知り合いになったり、ありがたいと思う。これからも野球を愛する人たちに縁の下の力持ちとしてグローブの世界で協力させて頂きたい。あと10年を目指して頑張りたい」と語った。

• 表彰伝達式では麻生氏による型付けのデモンストレーションも行われた。グラブをお湯に浸し、手につけたグラブをマレットと呼ばれる短いバットのようなもので、かなりの力を入れて叩いていく。
• グラブを叩きながら息を弾ませる麻生氏は「選手のグラブを見て、感じて、自分の手の大きさとの差を探ったり、選手がどういう風にグラブをはめているかを探りながらやっている」と説明してくれた。型付けには間をおきながら1日を要するという。
• 麻生氏がデモで型付けしたグラブは、吉田総領事に贈呈された。麻生氏が“サプライズ”として用意したもので、赤と白を基調にしたグラブには日米の両国旗が施されていた。

大型インタビュー
グラブ・デザイナーへの道
「人に喜ばれることが仕事」

• 麻生茂明氏は1945年、茨城県取手市生まれ。高校を卒業後にパシフィック・オーバーシーズ社に入社した。同社は、米国のSinclair Wilsonから生皮や肉を輸入して販売する商社だった。また、自社でもゴルフのグラブを作っていた。入社当時麻生氏は取手市にある同社工場に勤務したが、1年後には東京都兜町にある本社へ転勤となった。ゴルフ・グラブのセールスとなったが、その1年後に転機が来た。思いがけない仕事が、人生に大きく影響する出会いをもたらすことになった。

• 麻生氏は26歳で関西大学に入学。出向があっても憤慨することなく、その環境の中でベストを尽くした。また仕事を通じた人との出会いによって「人に喜ばれることが仕事なのだ」と本当に思った。
• 大学卒業後は本社に戻り、様々な仕事環境の中で野球グラブ作りへの道をたぐり寄せていく。
• いよいよ自分で納得できるグラブを作って渡米。こだわりのグラブは徐々に大リーガー達の心を掴んでいった。
• 麻生氏のグラブをボロボロになるまで使ったクレイグ・カウンセル選手が、引退時に麻生氏に会いに来た。「このグラブが野球人生を長くしてくれた。お礼を言いたい」と言い、そのグラブを見せてくれた。
• 野茂選手やマイケル・ジョーダンなど、麻生氏はインタビューで多くのストーリーを語ってくれた。
• フル・ストーリーはシカゴ新報紙面5月23日号でお読み下さい。


ウィルソン・スポーティング・グッズ社のグローブ陳列前に立つ麻生茂明氏


在シカゴ・吉田雅治総領事(左)より在外公館長賞を受ける麻生氏


祝賀に駆けつけたソフトボール・チームやJCCCメンバーと
記念撮影する麻生氏



型付けを実演する麻生氏


麻生氏が開発したミット


従来のミット。麻生氏はミット内側上部にあるレースを
工夫により取り除いた。