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原爆の恐ろしさ、人と人との
温かさを伝える こわくない絵本
「平和の木に花が咲く時」

• シカゴ大学病院の元ソーシャルワーカーで、現在はオレゴン州メドフォード在住の田村秀子さんが、昨年「平和の木に花が咲く時」という絵本を出版した。
• 広島出身の田村さんは小学校6年生の時に原爆に遭い母を失った。以後生活が一変した田村さんは米国に渡り、ウースター大学で学士号を、シカゴ大学でソーシャルワークを専攻し修士号を取得、同時にマコーミック神学校で修士号課程を修了した。
• ノースウェスタン大学医学部の成人精神医学部のスーパーバイザーとして、後にシカゴ大学のクリニカル・ソーシャルワーカー&サイコセラピストとして働く一方、田村さんは語り部として「原爆を繰り返してはならない」と多くの人を教育して来た。
• 2003年にソーシャルワーカーを引退後はオレゴンに住み、オレゴン州から多様文化コミッショナーに任命された。2006年には地元の40人から成るローグ・バレー平和合唱団を率いて広島に行き、日本の合唱団と共に合同コンサートを実現させた。合同コンサートに感動したローグ・バレー合唱団の指揮者デイブ・マーストンさんは、その夜に「アメリカからヒロシマへ」という曲を作詞・作曲した。その歌は、「私はその時にまだ生まれていなかったけれども、From America to Hiroshima お許しを I’m so sorry.」と歌っている。

• そのような活動を続けている田村さんは、戦争を生きた者として、原爆を体験した者として、被爆や病や別離の苦しさ、原爆の恐ろしさ、また、希望を持たせてくれる人とのつながりを、子どものためのストーリーにまとめた。
• 田村さんは子どもでも大人でも読めるように、恐ろしくない、やさしい絵本にしたいと望んだが、原爆を表現する「やさしい絵」は難しかった。
• 田村さんの思いに応えてくれたのが画家で絵本作家の貴志真理さんだった。貴志さんは武蔵野芸術大学を卒業後子ども向けの本を編集、NHKの教育プログラムを手がけていた。

• 絵本「平和の木に花が咲く時」は、森に散歩に出かけた少女が、木の種を植えている老夫婦に出会うところから始まる。老夫婦は原爆ですべてがなくなったこと、希望を捨てず復興に励んだこと、原爆を落とした国の人をもてなしたこと、その人から木の種をもらって植えたこと、木の実を食べると人のために何かしてあげたい幸せな気持ちになること、そして、その木を「平和の木」と人々が呼ぶようになったことなどが、心温まるストーリーに描かれている。
• 貴志さんはそのストーリーを軟らかい色遣いとやさしいタッチの線でふくよかに描き出している。
• 絵本の利益はすべて福島の子ども達のために寄付される。すでに昨年末に第一回目の寄付が行われた。絵本の購入申し込みはwww.osdinitiatives.comで。
• 田村さんは昨年末、広島市により平和大使に任命されている。

• 昨年は絵本出版の他、2006年のローグ・バレー平和合唱団訪日の際に日本側の受け入れとなった田村さんの母校・広島女学院の旧友や元学院長の西垣二一牧師、貴志さんらがオレゴンを訪れ、平和合唱団とのリユニオンが行われた。
• オレゴンのアッシュランドでは昨年8月4日から9日まで「第28回アッシュランド・ヒロシマ-ナガサキ・ヴィジル」が行われ、日本からの一行が参加した。
• 同ヴィジルはウーメンズ・インターナショナル・リーグ・フォー・ピース&フリーダムが主催するもので、毎年開催されている。また、アッシュランドは1981年からニュークリア・フリー地域を宣言しており、1998年から平和市長議会のメンバーとなっている。

• 田村さんと日本からの一行はアッシュランドのジョン・ストロムバーグ市長やオレゴン州平和市長代表から歓迎の書状を受けた。  また、田村さんが住むメッドフォードのゲイリー・ウィーラー市長に広島市長からの親善の手紙が手渡された。

• アッシュランドのイベントでは、ストロムバーグ市長が「日米フレンドシップ・ウィーク」を宣言、核関連文書パネル展示や、はだしのゲンや田村さんの著書「One Sunny Day」などの参考諸著書のディスプレイも行われた。また、日本人会の協力で折紙なども行われた。
• ローグ・バレー合唱団の指揮者デイブ・マーストンさんは既に他界したが、マーストン夫人や家族、同合唱団が「折り鶴よヒロシマの空へ」「原爆許すまじ」などの歌を歌った。

• 会場近くのリシア・パークではヒロシマ追悼記念式が行われ、シンガーソングライターのクロス・雅子さんんが追悼歌を歌った。また、献水も行われた。
• リジア・パークにある日本庭園ではナガサキ追悼記念式が行われ、日本人会のメンバーが「千の風になって」や「花は咲く」などを歌った。また、広島女学院の旧友で元編集者の篠原悦子さんや元乳児院運営者・彫刻家の佐々木タカ子さん、西垣二一牧師らが挨拶の言葉を述べた。日本庭園内ではひまわりの花を水に流す「ひまわり流し」が静かに行われた。

• 田村秀子さんは1933年生まれ。今も精力的に平和運動を続けている


絵本「平和の木に花が咲く時」


オレゴン州アッシュランドで開催された
The 28th Annual Ashland Hiroshima-Nagasaki Vigil


ローグ・バレー平和合唱団と再開した
田村さんの友人グループ


広島市長からの手紙をメドフォードのゲイリー・ウィラー市長に手渡す田村秀子さん

アッシュランドの日本庭園で行われた長崎追悼会