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投資促進セミナー:
アベノミクス&
日米経済パートナーシップ

• ビジネス・セミナー「アベノミクス&日米経済パートナーシップ」が12月4日、シカゴ市にあるランガム・ホテルで開催された。イリノイ商工会国際ビジネス・カウンシル、在シカゴ総領事館、ジェトロの共済で行われたもので、吉田雅治総領事、曽根一朗ジェトロ・シカゴ所長、モーレックス社の上席副社長兼CFOのデイヴィッド・ジョンソン氏が講演した。会場にはパキスタン、ギリシャ、台湾、メキシコ、シカゴの経済・金融関係者やメディア、また、オマハ、カンザス、セントルイスの名誉総領事など多くが出席した。

• ビジネス・カウンシルのエグゼクティブ・ディレクターのローラ・オルテガ氏によると、イリノイ州は日本へ19億ドルの製品を輸出し、日本から79億ドルの製品を輸入している。また、イリノイ州1,100ヵ所にある日本企業や事業所が約4万人を雇用している。同氏は「このような数字が示す通り、イリノイ州と日本の関係は深い」と語った。

• 吉田総領事はアベノミクスについて説明、特によく質問される3番目の矢について話した。

アベノミクス

• アベノミクスが最優先するところのデフレ脱却で、向こう10年のGDP成長率2%を目指す。そのために数々の戦略が用意されている。既に2013年に法人実効税率が2.4%に減税された。年金積立金管理運用は保守的だったが、海外債権や株に投資を増やす。また、60年間そのままになっていた電力供給システムを改革し、消費者が供給者を選択できるようにして行く。少子化社会の進行と共に女性の社会進出促進が急がれる。女性が家から離れて仕事に出られるように保育所を増やす。現在役員職に占める女性の割合は7.5%。これを2020年までに30%に引き上げる。この他、戦略と詳細を列挙したコピーが出席者に配布された。

• 吉田総領事はアベノミクスの成果についても説明した。日経225平均株価は2年のうちに1万円から1万7,000円に上がっている。ドル・円為替は110円から120円の2007年のレベルに戻っている。総領事は「今が日本に投資する好機」と出席者に日本への投資を呼び掛けた。
• インフレ率は2013年後半にマイナスからプラスに転じた。実質GDPは2013年には2.2%成長した。2014年は消費税引き上げなどで、第2四半期と第3四半期はマイナス成長となった。2015年と2016年の成長予想は1.5%と1.2%。

日米取引関係

• 吉田総領事は数字を出して日米取引関係を説明した。日米間の貿易額は2,079億ドルで、日本は米国で4番目に大きな貿易相手国。農産物を見ると、日本は米国の農産物の23.1%を輸入している。いくつかのアイテムを見ると、米国のポークの31.2%、トウモロコシの28.8%、ビーフの22.6%を輸入している。交渉が続いているTPPは世界全体のGDPの38%を占め、参加国12カ国は重要なパートナーとなる。
• 日本は米国にとって英国に次ぐ2番目の投資国で、投資額は3,000億ドル。日本の投資により、全米で686,600の雇用を生み出している。英国の投資による雇用創出は943,500。

中西部と日本

• 吉田総領事によると、中西部における日本企業数は2,118社(2013年)で、214,638の雇用を提供している。これは、日系企業による全米での雇用創出数の約3分の1にあたる。
• イリノイ州における日系企業や事業所数は600で、3万8,000人を雇用している。インディアナでは日系企業240社が4万6,000人を雇用している。
• 2014年9月にはアイオワ州デモインで第46回中西部会が開催された。各州の州知事も参加し、経済関係の強化や新規ビジネス機会などについて発表や意見交換が行われた。

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• ジェトロ・シカゴの曽根一朗所長は「日本への投資」「メガFTAs」「なぜ日本か」について語った。
• ジェトロ・シカゴでは米国企業の日本進出援助、日本中小企業の米国進出援助に力を入れている。日本に進出する米国企業には日本政府からの助成金があり、2014年はイリノイ州のキャタピラーが受給資格を取得している。同社は日本にR&D施設を設置する。
• ジェトロは過去10年間で1,000の海外企業の日本進出を援助しており、米国企業はその3分の1を占める。オランダとフランスが米国に続いている。
• ジェトロでは無料オフィスや設備、ネットワーキング、必要情報などを提供しており、日本への進出を参加者に促した。

メガFTAs

• メガFTAsとは、TPP、EU-Japan、RCEP(ASEAN +日本、中国、インド、韓国、オーストラリア、ニュージーランド)、TTIP(米+EU)の4大協定をいう。メガFTAsは世界経済の80%を含み、非常に重要な協定となる。また、中国、インド、インドネシアを含むRCEPは世界人口の50%を取り込み、重要な協定となる。
• 曽根所長はコア・メッセージとして、メガFTAsは世界貿易と投資の自由化に必須であり、ハイレベルな協定を持つTPPは、中国やインドなどの新興国との他の協定や経済連携協定に大きな影響を与えると語った。また、日米がこれらの協定を主導すべきだと語った。
• なぜ米国は日本に
• 進出すべきなのか

• 曽根所長は「日本はアジアとそれ以遠の国々へのゲイトウェイ」だと説明、アジアへの足がかりとして日本は最高のローケーションだと語った。
• 1980年から1990年代、世界経済の80%を日本と欧米が牽引していた。しかし、近年はその60%をアジアの新興国が生み出している。日本企業は既にアジアに進出しており、米国もアジア進出のために日本を利用すべきだと述べた。

• ビジネスを始めるに当たって、日本は良い環境が整っている。R&Dには理想の土地であり、ワールドクラスの大市場もある。また安定したビジネス環境があり、安全で生活もし易く、交通網も発達している。「日本はアジア進出のための理想の基地」だと日本進出を促した。

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モーレックス社の経験

• モーレックス社の上席副社長兼CFOのデイヴィッド・ジョンソン氏は、同社の日本でのビジネスについて長所・短所の両面から
• その経験を語った。
• モーレックス社はクレビル一族により1938年に創業、電子コネクターで知られる。世界に45工場を持ち、3万8,000人を雇用している。日本には4工場があり、約2,000人を雇用している。
• 1960年代半ばに海外進出を考えたモーレックス社は、一番最初に日本へ進出した。フレッド・クレビル氏は、電子市場が伸びるであろう日本に強い興味を持ち、海外ビジネスの第一歩を日本で始めた。クレビル氏は日本でモーレックス製品の販売を始めたが、容易ではなかった。ついに友好的な顧客を見つけたが、モノが良くても米国から輸出されてくる品物には信頼が置けないと言われるに至った。かくして、モーレックス社は1970年に日本のパートナーと組み、ジョイントベンチャーを発足させた。
• ところがパートナーがモーレックス社の技術を他の製品に使っていることが発覚し、提携を解消して1973年に100%のモーレックス・ジャパンを設立した。

• 同社は神奈川県大和市に本社を置き、1980年に岡山工場、1983年に静岡工場、1984年に栃木工場、1992年に鹿児島工場、2008年にキイレ工場をオープンさせた。リーマンショック後の経済不況により世界的な再編を実施し、岡山と栃木工場を閉鎖した。

• 「モーレックスの成功の秘訣は日本人にリーダーシップを取らせたこと。我々はどんなに日本的かを強調していた」とジョンソン氏はいう。同氏は1984年から1989年まで日本に滞在した。日本に着いた早々、モーレックスの多くの社員が日本の会社だと思い込んでいたことを知ったと話した。

• ジョンソン氏は「おそらく日本で一番大きなメリットは技術的な専門知識だと思う。世界で一番小さなマイクロ・コネクターの製造には製造技術、テクノロジー、それに専門知識が揃わなければいけない。我社は日本以外では作れない」と語る。日本では350人の技術者がマイクロ・コネクターの製造にかかわり、生産のためのツールも設計している。「これらの人々の能力は並外れている」とジョンソン氏は語った。
• 一方、日本では人件費が高い。これに対処するため、モーレックス社はオートメーション化を進めた。

• ジョンソン氏は日本でのビジネス展開の難しさについても話した。グローバル再編によって2工場を閉鎖したが、文化的に非常に難しかったと言う。
• 東日本大震災ではサプライチェーンが断ち切られ、顧客に納品できずに困難を極めた。この時、日本のチームが危機を乗り越えようと非常に努力したと言う。
• 驚くべきことに、日本の社内で20年の長きに亘って不正が行われていたことが発覚した。管理体制強化の必要性を実感させられる事件だった。
• そして、重要なチャレンジ、モーレックス・ジャパンが乗り越えなければならない壁は、本当にグローバルな会社になること。しかし、その動きはスローだと語った。

• ジョンソン氏が上げた日本での成功要因は:
・ 早期進出と忍耐に満ちたアプローチ
・ 日本人のチームにリーダーシップを取らせ、現地に判断させ、グローバル戦略を現地に適合させ、日本の会社と同じように運営したこと。
・ 比類ない技術専門知識者を育成したこと。
・ オートメーション化を図り、コストを削減したこと。
・ 長期にわたる顧客との関係を築いたこと。

• 最後にジョンソン氏は「時間を掛けて我慢強くやること。人、問題、文化を知ること。日本のビジネスとより関わりを持てば、日本のパワーをもっと他の部分の改善に使える」とアドバイスを送り、「我々は日本に投資したことを大変良く思っているし、強力なビジネスを日本に持っていることに誇りを感じている」と語った。


ランガム・ホテルで開催された投資促進セミナー

吉田雅治総領事

曽根一朗ジェtロ・シカゴ所長

モーレックス社上席副社長兼
CFO デイヴィッド・ジョンソン氏