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司太鼓:太鼓レガシー11

• 和太鼓音楽の芸術性を“シカゴ現代美術館”という一流の舞台で披露しようという試みで始まった司太鼓による“太鼓レガシー11”が12月20日と21日の両日、同美術館で開催された。
• 和太鼓演奏に振りを付け、複数の奏者がチームとなってパフォーマンスする組太鼓は、この50年来、日系人や日本人のグループにより発展し、コミュニティのプライドの一つとなって来た。
• そして、パターン化されたリズムを力いっぱいに、取り付かれた様に叩く和太鼓演奏がアメリカ人の間でも人気を博している。力任せに叩く和太鼓演奏が商業的には成功するとしても、果たして太鼓演奏とはそういうものなのか。
• 太鼓レガシーのエグゼクティブ・プロデューサーでアーティスティック・ディレクターのタツ・青木氏は「駆り立てられるような芸術の創意と創造は、疑問を持つことから生まれる。パワーによる現代和太鼓演奏の追及が、数々の疑問を引き起こしている」という。そして、「美学と音楽に繋がる和太鼓の中の美しさへの探求があるのではないか」と疑問を呈する。
• 現代日本音楽の中で和太鼓の芸術性に気付くことを勧めたいという青木氏は「我々は伝統的な和太鼓演奏の中で革新的な創意を持つことができる。司太鼓のヴィジョンは、流行にこだわらず、和太鼓文化を前進させるために伝統を守り中心にすえること。本物の太鼓音楽と芸術性の中にある日本の美学の真髄は、優雅さによって演じられる。そして、その優雅さが本当のパワーと力強さを生み出すことになる。太鼓レガシー11はその芸術性にチャレンジする」とプログラムの挨拶で語っている。

• 舞台は演奏家で作曲家のダグラス・エワート氏と福原百恭氏の笛とのコラボで開幕した。
• 司太鼓の第一曲目は「八丈」。これは八丈島に伝わる和太鼓演奏曲で、島流しになり刀を奪われた侍達が武士の精神を和太鼓演奏で表そうとしたもの。
• 続いて1400年前から伝わるといわれる「屋台林」を演奏した。同曲は多くのグループで演じられているが、今回は司太鼓とサンフランシスコのゲン・アンサンブルが振りを付けたもので、福原百恭氏の篠笛をフューチャーするアレンジで演奏された。
• 3曲目は、司太鼓の創立者のヒデ・吉橋氏とタツ・青木氏の作曲による「風月」。司太鼓の“銀天会”による演奏で行われた。
• 4曲目の「天地」は吉橋氏の故郷・札幌のイメージに触発された曲で、藤間淑之丞氏の舞いと共に、新しいアレンジで演奏された。
• 5曲目にはパーカッショニストのココ・エリシス氏を迎え、永絃・青木氏、希音・青木氏、メロディ・タカタ氏とのコラボで「出会い」を演奏した。同曲はカルテットのリズムの交錯を試みるもの。その他「六番」や「踊り場:シーン3」が演奏された。
• また、曲と曲の間には三味線の稀音家千鶴師匠、笛の福原百恭氏、鼓の梅屋貴音氏による長唄の演奏が行われ、静と動のコントラストが描き出されていた。

• コンサート後、タツ・青木氏はインタビューに答え、司太鼓のメンバーの一人一人が1年がかりで練習して来た経緯を話した。1年がかりの練習でも実際に舞台で演奏するのは2時間ぐらい。司太鼓の子ども達にとって、舞台が終わってみれば短すぎると感じるかもしれない。しかし、グループの演奏で一糸の乱れもなく演奏ができるのは、その練習の成果だと言える。
• 青木氏は「今の時代の流れではマニュアルということが無くなっています。音楽や絵などのアーツの世界では手でやらなければならないことがたくさんあります。そういう面で、子ども達は素晴らしい仕事をやっていると思います。また、8歳ぐらいで始めた子ども達が10年以上やっています。その親たちも一緒に舞台裏を手伝っています。これも素晴らしい一面だと思います」と語った。

• 稀音家千鶴さんは毎年太鼓レガシーに友情出演し、本物の三味線を聞かせてくれている。インタビューに答えた稀音家さんは「毎年、子ども達が一生懸命に演奏するのをとても楽しみにしています。それはなかなか難しいことなんです。それを見た貴音さんは舞台の袖で涙を浮かべていました。無心に演奏する、それがやはり芸を生むのではないかと思います」と語った。
• 司太鼓は1996年、若柳司友師の協力の元、ヒデ・吉橋氏によって創立された。以後タツ・青木氏のAsian Improv aRts Midwestと合流し活動を発展させている。
• 司太鼓は和太鼓パフォーマンスだけでなく、お座敷音楽、民謡、お囃子音楽などの多彩なスタイルをこなし、今では殆ど継承されなくなった伝統的な和太鼓演奏も守っている。
• 司太鼓のパフォーマンスは国際的な注目を集め、東京、ポーランド、ワシントンDC、サンフランシスコなどでも演奏している。また、シカゴで開催されるジャズ・フェスティバルやエイジアン・アメリカン・ジャズ・フェスティバルなどでフィーチャーされるほか、シンフォニー・センターやハリス・シアターでも演奏している


1年間の練習の成果を見せる司太鼓のメンバー


和太鼓とパーカッションで「出合い」を演奏する司太鼓のメンバーとゲスト


稀音家千鶴氏(中央)、福原百恭氏(右)、梅屋貴音氏(左)

タツ・青木氏


和太鼓と共演する鼓の梅屋貴音氏

藤間淑之丞氏の日本舞踊と司太鼓のコラボレーション