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第29 回日本語弁論大会
異文化の人々から見た日本を学ぶ機会、来年は聞きに行こう!


• テクノロジーの時代になってスマートフォンは便利だが、注意散漫の時代にもなった。面と向かって話している間にも、スマートフォンを見る友人。これではコミュニケーションに支障が出る。アラスカに旅行に行くと、インターネットが繋がらなかった。最初は不安だったが、そのうちに忘れ、美しい景色に囲まれ健康的で豊かな時間を過ごすことができた。

• 日本語を頑張る訳は何か。日本へ一人旅をして山登りをした。出会う人が皆挨拶し合い、寂しさも感じなかった。杖を貸してくれた親切なオジサンとも出会った。下山した時冬の夕日が綺麗だった。しかし、親切な人々に出会わなければ、美しいと思わなかったかもしれない。人の心がその国を美しくさせる。その国のことをもっと知りたいから日本語を頑張っている。

• 中国ではネット中毒者が増えている。インターネットカフェから出てきて倒れ、死亡する人も出ている。なぜなのか。それは詰め込み教育制度でストレスがたまり、失敗しても再スタートが切れるゲームの世界に現実逃避するからではないか。子どもを正しく導くのは大人や社会の責任でもある。未成年者を入店させるカフェにも問題がある。惑わされた青年達を、インターネットのキャラクター「ヤスオ」は助けてくれるのか。

• 第29 回日本語弁論大会が3月21日、在シカゴ総領事館広報文化センターで開催された。小学生から大学生まで予選を通過した40人が日本語で堂々とスピーチし、数々の興味深いトピックが飛び出した。
• 同弁論大会は毎年、在シカゴ総領事館、シカゴ日本商工会議所、シカゴ日米協会、シカゴ国際姉妹都市大阪委員会が共催しており、日本語を学ぶ生徒や一般社会人にとって一つの大きな目標となっている。
• 同弁論大会は4つのカテゴリーに分けて行われる。第一部は小学生及び中学生、第二部は高校生で日本語学習期間が3年未満の者、第三部は高校生で日本語学習期間が3年以上の者と大学生または一般で学習期間が1年未満の者、第四部は大学生または一般人で学習期間が1年以上の者となっている。
• 発表後には審査員から日本語で質問があり、流暢な日本語で発表しても丸覚えであれば質問に答えられない。緊張のためか上手く応えられない発表者もいたが、堂々と自分の意見を述べる発表者も多かった。

• 特別賞を受賞したフェイ・ジャンさん(UW-Madison)のスピーチは「自分の国の良さを伝えよう」。
• 日中の政治関係は悪化しているが、両国民は互いにどう思っているのだろうか。中国人の一番の人気旅行先は日本。2014年には160万人以上が日本へ旅行した。反日感情については「日中戦争があったから」と答える人が多い。しかし、日本へ行ってみたら「日本人はマナーが良く、優しかった。行く前に持っていたイメージとは全く違っていた」と言う人が多い。
• 一方、日本人は中国をどう思っているのだろうか。尖閣問題が起きてから、中国への日本人観光客は半減した。日本人は中国の歴史や文化に興味を持っていないのか?
• インターネットの情報には、中国への偏見や問題が大げさに書かれており、中国の歴史の深さや人間関係を大事にすることなどの中国の良さは余り書かれていない。これでは問題は解決しないと思う。
• 日本語を学ぶ中国人学生として、中国の良さを伝えきっていないことに気が付いた。グローバル化が進む世の中で、中国人学生は他の国のことを知ろうと一生懸命に勉強している。しかし、自国のことを正しく伝えようとする努力を忘れていないか。自分は日本の良さを吸収する一方、学んだ日本語で中国の良さを発信して行きたい。
• ジャンさんのスピーチは、日本人としても考えさせられるスピーチだった。ジャンさんには200ドルのギフト券とANAの往復航空券が贈られた。

• 最優秀賞を受賞したエロール・ファローさんのスピーチは「母との絆」。
• 母は兄と妹と自分を女手一つで育ててくれた。異父兄の子ども達も引き取り、自分の子ども達と同じように愛情を持って育てていた。ドアノブがカチャカチャと鳴ると、母が帰って来た印だった。くたくたに疲れていても、いつも優しい母だった。
• 大学に入り家を離れると、もう母に迷惑をかけずに済むとホッとしたが、しばらくすると母が仕事を辞めさせられたと妹から連絡を受けた。母は仕事ができないほどストレスが溜まり、家賃も溜り、引越しを余儀なくされていた。
• 冬休みに帰宅すると、家は狭く洗濯機などの大事なものがなくなっていた。母は仕事を探す意欲もなく、明るさは消えていた。何か話すとすぐに喧嘩になり、母は別人のようだった。
• そんな中で漢字の意味を教える動画を見た。「朝」は分解すると妊娠期間の十月十日となり、新しく生まれる、生まれ変わるという意味になる。「晩」は日を免じると書き、反省することを意味する。反省して翌朝には生まれ変わるという繰り返しに勇気付けられ「自分も前向きにすべてをとらえてみよう」と思った。
• 大学に戻る前日に思い切って母と話してみると、母は「分かっている。いつか良くなるからポジティブに考えよう」と優しい表情を浮かべてくれた。
• ファローさんは「大変な経験があったからこそ前向きに生きることの大切さが分かってきた。母のように辛いことを乗り越えて前進して行こうと思う。それが私の人生の1ページを輝かせると思うから」とスピーチを終えた。
• ファローさんにはJALの往復航空券と200ドルのギフト券が贈られた。

• 受賞式後ファローさんはインタビューに答え、「私に日本語を勉強させてくれ、勇気付けてくれ、私に我慢してくれてありがとうと母に言いたい」と話した。
• 母は最近就職の面接を受けたという。「だから元の前向きな母に戻ってくれると思います。仕事が決まればいいんですけど」と近況に触れた。
• ファローさんは13歳の頃に妹が日本語を始めたことに触発されて日本語の勉強を始めた。「日本語はクールだと思って、妹と一緒に勉強していました。妹は止めましたが、私は日本語の構成が美しくて好きだったので、ずっと続けていました」と語った。
• 将来についてファローさんは「アメリカならば日本語の先生に、日本だったら英語の先生か翻訳家や通訳に。日本の会社で働くことにもとても興味を持っています。でもまだ決めてはいないんですよ」と語った。

• シカゴ姉妹都市大阪賞を受賞したハッサン・アワイシさん(U of Chicago)は、日本生まれのパキスタン系アメリカ人。祖父が1950年代に貿易会社設立のために神戸に住み、母も神戸で育った。アワイシさんが3歳の時にイギリスに引越し、それから米国に引っ越した。アワイシさんが覚えている日本語は「ちょっと待って」だけだった。
• 現在はシカゴ大学の宗教学部で学び、日本のイスラム教の歴史や、第二次世界大戦が日本の文化や社会に与えた影響について興味を持っている。
• アラビア語、ウルドゥー語、ペルシャ語、スペイン語を学んだアワイシさんは、新たなチャレンジとして6ヶ月前に日本語を始めた。将来日本で勉強したり遊んだりするのを楽しみにしていると語った。
• アワイシさんにはシカゴ国際姉妹都市大阪委員会より、大阪への往復航空券と2週間のホームステイが贈られた。

• 弁論大会で審査委員長を務めたカクタニ・アキコ教授は「母国語以外の言語学習は他文化へのドアを開き他の国の人々を理解することへの助けとなる」と話し、「英語はグローバル言語となり他国の人々とコミュニケーションは取れるが、我々は違う文化背景を持っている。一つの言語だけでは不十分であり、第二言語、第三、第四言語を学ぶ努力が必要だ」と述べ、その大切さを友人知人にも伝えて欲しいと語った




最優秀賞を受賞したエロール・ファローさん


シカゴ新報賞受賞者


特別賞を受賞したフェイ・ジャンさん


シカゴ姉妹都市大阪賞を受賞したハッサン・アワイシさん