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散逸を免れた陸心源蔵書を雄松堂が
マイクロフィルムに
アジア研究協会シカゴ・フェアで紹介


• 世界で8,000個人・団体の会員を持つアジア研究協会(Association for Asian Studies)の年次フェアがシカゴのシェラトン・ホテルで3月27日から29日の3日間にわたり開催された。
• 東京から出展した雄松堂書店では静嘉堂文庫所蔵の「宋元版」のマイクロ版を紹介し、中国研究者や大学の関心を集めた。
• 雄松堂書店の常務取締役・仲光男氏によると、静嘉堂文庫所蔵の「宋元版」は1907年(明治40年)に三菱財閥の二代目で同文庫の創設者・岩崎彌之助が中国の陸心源の蔵書を一括購入したもので、それ故に散逸を免れ今日まで保存されているという。

• 陸心源は清朝末期の四大蔵書家で、蔵書には200部の宋版を含むことで「皕宋楼」と呼ばれ、天下にその名が轟いていた。
• また、それらの本を実際に手にとって見た著名な蔵書家や目録学者らの押印があり、その印記によって書物が経て来た貴重な歴史が示されているという。

• 宋元版は静嘉堂文庫で厳しく管理されており、マイクロフィルムの閲覧が同文庫内のみで可能だった。しかし、世界の中国研究者のアクセスを容易にするため、宋版127部2,629冊、元版131部2,553冊、総計258部5,182冊がマイクロフィルム化され、販売されることとなった。

• 説明書の中で、東京大学東洋文化研究教授・大木康氏は、「数百年、あるいは千年以上もの長きにわたる人々の愛着と努力によって守られてきた結果、この書物が現在この世に存在している。その貴重な書物に、我々の時代において損傷を加えるわけにはいかない。
• 書物は人が手に取ることによって確実に傷む。これを解決してくれるのが複製の技術。マイクロフィルム化に豊富な経験を持つ雄松堂書店が、漢籍宋元版のマイクロフィルム版を出されれことは、書物の閲覧を容易にする意味においても、極めて大きな意義がある」と述べている。

• また、雄松堂ではペリー来航と日米和親条約締結160周年を記念し、「黒船来航絵巻  金海奇観」を出した。原版は早稲田大学図書館が所蔵しているもので、仙台藩儒者・大槻磐渓編纂した絵巻。この中には黒船来航に備える警備の諸藩が絵師を総動員して克明に記録させた図像が収められている。
• 蒔絵の作成に関わった人物は、幕府儒者林家の家塾長・河田迪斎、松代藩医・高川文筌、膳所藩儒者・関監梁。津山藩御用絵師・鍬形蕙斎の子、赤子などで、ペリー艦隊9隻、応接所の見取図と担当者名、コルト銃の群海図、ホイッスル砲、機関車、電信機、ペリーの肖像などが詳細・克明に描かれている。

• 「黒船来航絵巻 金海奇観」は、日本近世・近代史、美術史、郷土史研究に必備の資料であり、またミュージアム等の展示にも利用できる。
• アジア研究協会の年次フェアはフィラデルフィア、ダンディエゴ、トロント、ホノルル、アトランタ、ボストン、サンフランシスコなどの各地で開催され、シカゴでは過去に2009年と2005年に開催された。今年は3,000人以上が参加した。

宋元版を紹介する雄松堂書店仲光男常務