日本語メインに戻る
バンクーバーに学ぶ慰安婦建立問題
シカゴでも建立準備着々

• コリアタイムズが7月7日付けの記事で、従軍慰安婦の像をシカゴ市内の公共の場に建立する準備を進めていると報じた。
• 同紙によると、同計画は昨年7月に発足し、コリアン・アメリカン・アソシエーションがスポンサーとなり、約5万2,000ドルのファンドを集めているという。現在建立地を探しており、8月にはシカゴ市内に設置されると報じている。

• この話題は日本や海外にも既に伝わっており、シカゴ新報は大阪やカナダから連絡を受けた。心配したバンクーバー新報の津田佐江子社長は、カナダのバーナビー市で起きている慰安婦像建立問題についての報道をつぶさに知らせてくれた。
• バーナビー市とその周辺に住む日系人や日本人は多民族から成るコミュニティの分断を懸念し、バーナビー市長や市議会に建立反対の手紙を送った。その結果同市は日系コミュニティと韓国系コミュニティが同意に達するまでこの問題を保留することになった。

• バンクーバー新報の報道の要約は次の通りで、大変参考となる。ご一読されたい。

• ブリティッシュ・コロンビア州バーナビー市では今年の初め頃から慰安婦像を建立する動きがあり、バンクーバー新報は同市のデレク・コリガン市長に電話インタビューした。
• コリガン市長によると、同市の姉妹都市である韓国のファソン市から、同市セントラルパーク内にある朝鮮戦争戦没者記念碑の近くに慰安婦問題を忘れないため慰安婦像を建立したいとの提案があったという。
• コリガン市長は日系人からの電話で、同提案が大きな問題を内包していることを初めて知ったという。その後市長はこの問題について勉強し、米国に建立された同様の像がコミュニティに大きな議論を巻き起こしたことも知り、様々な角度から議論する必要があると語った。
• また、コリガン市長は、議論することはコミュニティの調和のためのもので、さらなる衝突を引き起こすことは市議会の本意ではないと説明した。そして、建設的な意見がある人は同市のウェブサイトの意見欄や市長のEメールに直接意見を送って欲しいと述べた。 

反対活動の原点

• 一方、日系コミュニティでは非公式に声を掛け合い、慰安婦像建立反対活動の方針について話し合った。これは3月16日のことで、バーナビー市長と市議会に提出する反対署名運動は個人や団体の間で既に行われていた。
• 建立反対の原点は、慰安婦像建立が互いの文化を尊重し調和して平和に暮らしている多民族コミュニティの分断を招きかねないこと。例えば学校で日系の子ども達がイジメに遭う心配もある。多民族コミュニティの分断が建立反対するコミュニティの人々の共通認識になっているという。

良識を持って

• 3月23日にボランティアの人達が数人集まり、情報交換が行われた。この時までに反対署名は1万以上に達し、以後も増え続けていた。
• この集会では、反対運動の原点は慰安婦像建立が現地市民の生活にどの様に影響するかという面からの活動であり、慰安婦問題が存在したかなどと言うような政治的な面からではないことが確認された。
• また、韓国コミュニティとは平和に協調して暮らしており、活動で敵対し、敵対から失うものはあっても得るものは何もないという意見もあった。実際に韓国人と結婚している子どもを持つ親もいる。韓国人と良好な関係にある人も多い。
• 「良識を持ってバーナビー市長に反対意志を伝えつつ、韓国コミュニティの人達と仲良くしようという、もう一方の眼も開いている冷静さを持ち続けることが禍根を残さず未来に向けて末永く平和に共生し、コミュニティを維持していく一つの知恵だとも言えないだろうか」とバンクーバー新報は書いている。


「期成同盟会」発足

• 慰安婦像建立に反対する日系団体のプラットフォームとして「期成同盟会」が地元住民たちにより結成され3月31日発足した。
• 反対意見申し入れ書の参考文は日系コミュニティで用意されており、必要とする日系各団体は各々の特徴にあわせて作成することができる。
• 期成同盟会では、グレーターバンクーバーの各地域で署名用紙を置くための場所提供の協力と用紙の配布、回収などのボランティアを探しており、バンクーバー新報が連絡の受け側となった。


日韓合意まで凍結

• 反対申し入れ書の冒頭には「韓国慰安婦の像および碑の設置をやめ、その代案が検討されることを希望する」と書かれていた。これが市長や市議会への政治的な落としどころだったと期成同盟会は説明している。
• 4月15日に出されたコリガン市長のプレスリリースには「日韓双方が合意し新しい提案がなされた時に、この事案の検討を始める。それまでは凍結」と述べてあった。
• この結果として日韓双方のコミュニティが会談することとなった。代替案はどうあるべきなのか。

期成同盟会の基本的立場は

• 2国間の微妙な政治問題を孕む慰安婦像を第3国(カナダ)に持ち込むことは極めて不適切。
• 多様文化主義をとり調和のとれた生活を送っている市民や移住者たちにとって、物議を醸す像を公共の施設に設置することは、適切さを著しく欠き、市民生活に大きな影響を及ぼす。
• 米国・グレンデール市ではすでに慰安婦像が設置され、修復不能とさえ思われるほどのコミュニティの分断や日系の子供たちへのいじめが激化している。われわれはこの轍を踏むことは絶対に避けなければならない。
• 韓国側の事実誤認や歴史認識の違いから、われわれには言いたいことが山ほどあるが、これは控える。この違いを今ここで議論しても建設的な話し合いになるとは到底思えず、「像を設置させない」という本来の目的の達成はおぼつかないという懸念が強いからである。
• われわれの行動の対象はバーナビー市議会であり、慰安婦像やそれに類似する像や碑などを公共の施設に設置する許可を与えないように働きかけることである。

• 韓国コミュニティ側との会談に臨む者はは日系コミュニティを代表しうると考えられるいくつかの団体と期成同盟会から選出する。
• 日系コミュニティ側からは代替案の提出はしない。韓国側が提出したもので慰安婦像に類似したものには合意しない。
• 世界の女性や少数民族の人権擁護や、平和のための会議創設などの未来志向の共同イベントをするのであれば、日韓に限らず他の民族コミュニティを含めて共同で計画すべきと考える。

• 韓国コミュニティ側との会談は長い時間を要することが予想され、期成同盟会が懸念するのは時の経過と共に起きがちな日系コミュニティの関心の薄れ。同同盟会では反対運動や韓国コミュニティ側との会談の経過などについて報告し続ける。

• 5月1日には期成同盟会委員による第一回ミーティングが開催され、ゴードン門田委員長から上記の説明が行われた。
• また、門田委員長は韓国側の像建設実行委員会会長や韓国文化保存協会幹部らと非公式に2回面談したが、友好的ではあったが特に像設置の話題にはならなかったことが報告された。
• さらに、日韓コミュニティ外の人々に経過を伝える広報担当者、最悪の事態を考慮して法制面から準備に当たる担当者が委員から各々選出された。
• 同会では関心を持つ人の参加を即し、委員として活動してくれる人を獲得するために拡大会議を近く開催する。

• 以上がバンクーバー新報の報道によるバーナビー市の慰安婦像建立問題の経過で、シカゴランド在住の日本人・日系人にとって学ぶことが多い。一般市民を巻き込んだ反対署名運動により、韓国ロビー活動がある程度浸透していたバーナビー市当局に「これはただ事ではない」と思わせるに十分な成果があったという。

• バンクーバー新報の津田佐江子社長によると、バーナビー市とその周辺には約28,000人の日本人がいる。その内訳は、永住者、学生、長期滞在者(駐在員)など。

※ バンクーバー新報の全記事を読みたい方は、http://v-shinpo.comでお読み下さい。