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講演会「鉄道車両・航空機・自動車:
日米交通業界のトレンド」

• ビジネス講演会「鉄道車両・航空機・自動車:日米交通業界のトレンド」が3月23日、シカゴ・ユニオン・リーグ・クラブで開催された。これは全米日米協会連合と経済広報センターが支援しているビジネス講演会シリーズの一環で、シカゴ日米協会の主催で開催された。
• 講演者はボーイング社のグラント・クランプトン氏、米国日本車輌の出井広幸氏とデイヴィッド・ヤマダ氏、トヨタ自動車の小西 工己氏。
• 挨拶に立った岩藤俊幸在シカゴ総領事は日本企業の米国への直接投資のカギは交通網だという話をよく聞いていると述べ、ビジネスの生命線として日米の都市を繋ぐ交通網の重要性に触れた。また、講演者を歓迎し「交通業界が日米の企業や我々の社会にどの様な利益をもたらすかを語ってくれるだろう」と語った。

航空業界のトレンド

• ボーイング社のグラント・クランプトン氏は①ボーイングと日本、②航空業界展望、③新技術の3点について語った。
• ボーイング社は1953年に日本に進出、現在は日本国内40カ所の事業所に230人を雇用している。日本の民間航空機の80%はボーイング製。防衛省とも1950年代から大きな取り引きがある。企業関係では、日本企業65社がボーイングに部品を納入している。787ドリームライナーについては、35%を日本企業が製作している。

航空機業界20年の眺望

• 世界の民間航空機の数は向こう20年で2倍になると予想される。現在の航空機数は21,600機で、2034年までに 43,560機に倍増する。同年までに新たに導入される航空機は38,050機と予測され、その金額は5.6兆ドルとなる。
• 最も顕著な成長が予想されるのはアジア・パシフィック地域で、現在の5,850機から16,180機に増加、新たに導入される航空機は14,330機(2.2兆ドル)と見込まれている。
• 北米では6,700機から9,350機に増加、7,890機(9,400億ドル)が新たに導入されると予想されている。
• 新たに導入される航空機は単一通路型航空機が主流で70%を占めると見られる。
• 航空機利用客は6%の伸びが予想され、1億8,000万人のペースで増加、それには900機の航空機が必要となる。
• ボーイングの眺望はhttp://www.boeing.comで公開されている。

• 市場成長を見据え考慮しておくべきことは世界の商業活動、革新技術、新ビジネス・モデルなど多々あるが、特に注視すべきは二都市を繋ぐ直行便や便数増加など、サービスの質だとクランプトン氏は語った。

航空業界のテクノロジー

• 連邦航空局では管制システムを刷新するNextGenプログラムにビリオン単位の投資を続けている。同プログラムの詳細はhttps://www.faa.gov/nextgen。
• もう一つ、重要なテクノロジーはADS-B (Automatic Dependent Surveillance-Broadcast)。これにより航空機の位置やスピードなど、パイロットと管制塔間の詳細情報交換を可能にする。

鉄道インフラによる生活向上

• 米国日本車輌の出井広幸氏とデイヴィッド・ヤマダ氏は、鉄道交通を統合したより良い社会建設につて語った。
• 日本車輌は1896年に名古屋で創設され、新幹線車両の製造で知られる。2010年には新幹線3000車両目の完成を祝った。
• 米国日本車輌は1986年にニューヨークに設立され、2002年にアーリントンハイツに本社を移した。現在までに米国内で1,000車両以上を出荷しており、METRAシカゴとは強力なパートナーシップを築いている。2014年にロッシェル工場のショップ3が完成し、車両の箱の製造が可能となった。以来100%アメリカ製の車両を製造し、アメリカ国内市場に貢献している。

• 2009年にオバマ大統領がアメリカ復興・再投資法に署名し、旅客車両業界は活気づいた。鉄道交通と社会を統合させた街作りをする絶好の機会だとヤマダ氏は語る。
• 日本では300キロから700キロの移動に50%以上の旅客が鉄道を利用している。米国では鉄道の利用率は非常に低い。
• 日本では鉄道の利用により地域の経済開発が行われている。良い例として、東京駅には地下にショッピング街があり、買い物、夕食、娯楽と何でも楽しめる。また、オフィス街まで傘をささずに行くことができる。この様に駅というだけでなく、多様なサービスを提供している。
• 電車や地下鉄のネットワークも発達しており、東京では2,300万人に、大阪では1,900万人に足を提供している。

• 東京と大阪は2時間22分で走る東海道新幹線で結ばれており、日帰り出張ができる。東京・名古屋間は1時間39分で行ける。その距離はユーヨーク・ボストン間とほぼ同じだが、米国鉄道では3時間半を要する。
• 新幹線は1日に約33万人が利用し、342本が数分おきに東京を出発している。年間の遅れは平均54秒。
• 米国でもダラス・ヒューストン間などに新幹線のようなシステムが導入されれば、都市の経済発展に大きく寄与することになる。

トヨタの運営とエネルギーの多様化

• トヨタ自動車の小西工己氏は運営活動、エネルギーの多様化について語った。
• トヨタは1957年に米国で自動車販売を始めた。現在の米国シェアは15%で、販売規模は日本を上回る。全米に10工場があり34,000人を雇用、関連会社を含めると365,000の雇用を創出している。ディーラーの数は1,500で、工場とディーラーを併せて360億ドル以上のパーツや資材を地元で購入している。2017年までに本社をテキサスに移し、4,000人を雇用する。

• トヨタの自動車は、米国で販売される約70%が米国内で製造されている。カムリとアバロンについては90%以上の資材が米国で調達されている。その他の車種については平均75%が米国で調達されている。
• 小西氏は米国で製造された自動車16万台が、米国からラテン・アメリカ、ヨーロッパ、オセアニアを含む40カ国に輸出されており、米国の貿易拡大に貢献していると語った。

• 顧客へのより良いサービスとは、顧客の声を聞き続け革新的な製品やサービスを提供すること。トヨタは年間90億ドルをR&Dに投じており、ミシガンにもテクニカル・センターがある。

FCV「みらい」:水素社会に向けて

• 化石燃料消費、二酸化炭素排出、大気汚染などの問題を乗り越えるためにはエネルギーの多様化が必須となる。今後の個人向け自動車はガソリン車が主流であることは分かっているが、トヨタは水素社会に向けて第一歩を踏み出した。
• トヨタは2014年12月に水素をエネルギー源とする燃料電池車「未来」を発表した。2015年10月から販売を始めたが、販売地区は水素供給設備が設置される日本とカリフォルニアに限られている。

• 小西氏は、自動車メーカーは燃料タンクから車両走行まで責任があるという。水素は二酸化炭素を排出せず、いろいろなものから製造でき、貯蔵し輸送することができる。まさに理想のエネルギー源だが、みらいのように環境に優しい車は広範囲で使用されなければ環境への良い効果は出ない。このため、トヨタは燃料電池車に関する5,680の特許を無料で公開した。
• 小西氏は「トヨタは燃料電池車の普及拡大と、主要エネルギー源としての水素使用を奨励し、世界を変えていきたいと願っている」と語った。


右より、ボーイング社のグラント・クランプトン氏、米国日本車輌の出井広幸氏と
デイヴィッド・ヤマダ氏、トヨタ自動車の小西 工己氏



航空機業界トレンド


鉄道インフラによる生活向上


数分おきに出発する新幹線の電光掲示板


燃料電池車の普及予想