Kyodo News

4月12日

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「ケリー氏、心打つ体験」
米、「謝罪」の壁クリア
オバマ氏広島訪問調整へ

• ケリー米国務長官が広島市の平和記念公園を訪れたことについて、米国務省のトナー副報道官は11日の記者会見で「長官にとって心を打つ体験となった」と述べ、原爆を投下した米国の閣僚として初めて訪問したことの意義を強調した。
• オバマ大統領の広島訪問を検討している米政府は11日、露払い役を務めたケリー氏の広島訪問について、核廃絶に向けた「未来志向」のメッセージを打ち出せたと総括した。原爆投下の「謝罪」を回避したことに日本側から強い反発は出ず、オバマ氏訪問への大きな壁をクリアできたと判断している。日米は5月の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)に合わせた訪問実現へ調整を加速させる。
• トナー氏は、オバマ氏の訪問について「答える立場にない」とした上で、ケリー氏が現地で「自身の印象を語り、世界の核兵器を減らすために、あらゆる努力をする必要があると訴えた」と述べた。
• ケリー氏による今回の原爆資料館見学で米側が懸念したのが、「加害者」のイメージが広がることだった。被爆の惨状を伝える展示内容とケリー氏が共に写り込むことなどに米政府が難色を示したため、報道陣による館内の取材は認められなかった。ケリー氏も原爆慰霊碑でのお辞儀はしなかった。
• ケリー氏訪問が「謝罪外交」とみなされれば、原爆投下を正当化する考えが根強い米保守層の反発は必至。オバマ氏が被爆地を訪れるためのハードルも上がるだけに細心の注意を払ったとみられる。謝罪の必要性について問われた米政府高官は「日米は過去ではなく、未来を見据えている」と否定してみせた。
• 「政権内に強い反対の声はない」とする米政府当局者は、オバマ氏の広島訪問に向けた準備が月内に本格化するとの見方を示した。ケリー氏と同様に米軍岩国基地(山口県岩国市)から軍用ヘリコプターで移動する計画が有力だ。
• 一方、サミット開催を控え、米大統領警護隊(シークレットサービス)を中心とするホワイトハウスの最初の先遣隊が13日に訪日、会場などを視察することが日米政府関係者への取材で分かった。今回の視察計画に広島市は含まれていない。

原爆ドームの見学を終え、平和記念公園に架かる元安橋を渡るケリー米国務長官(中央)ら=11日午後、広島市


ケリー長官「本当に衝撃」
視察短時間、評価と不満

• 「本当に衝撃だった」。原爆投下当事国である米国のケリー国務長官は11日午後の記者会見で、初めて広島市の原爆資料館を訪れた感想を身ぶり手ぶりで語った。「被害の実態を目の当たりにしてくれた」と評価する被爆者がいる一方、限られた時間の視察に「もっとじっくりと見てほしかった」と不満の声も上がった。
• 黒焦げの三輪車や当時の写真など約400点が並ぶ本館。「原爆がさく裂してきのこ雲が舞い上がり、町が破壊された。戦争がいかに惨禍をもたらすかを知る上で忘れられない」。会見で、ケリー長官は記憶に残った展示の内容を真剣な表情で描写してみせた。
• 松井一実市長によると、改修中の東館では、原爆投下時の様子を再現した映像を紹介。まだ一般公開されておらず、ケリー長官は見入っていたという。
• 「これまで案内した中でも印象に残る熱心さだった」と同行した志賀賢治館長。ケリー長官は岸田文雄外相の説明に耳を傾けながら、展示品の前で時折、立ち止まることもあった。記帳には「世界中の市民が切望する未来をつくらなければならない」。資料館を出て慰霊碑に献花後、岸田外相に話し掛け、慰霊碑や原爆ドームの方向を指さしながら言葉を交わした。
• 広島県原爆被害者団体協議会(坪井直理事長)の清水弘士事務局長(73)はこの様子をテレビで見ていた。「(主要国の)現職閣僚が来て、実態を見て、考えることに意義がある。核政策を見直す出発点にしてほしい」
• 岸田外相によると、30分間の予定だった視察は約50分間に延びたが、もう一つの広島県原爆被害者団体協議会(佐久間邦彦理事長)の大越和郎事務局長(76)は訪問の意義を認める一方で「短時間の滞在では逆に被爆者が、なめられている気がする」と指摘した。


広島市内を観光、会食も
ケリー米長官

• 11日の先進7カ国(G7)外相会合の閉幕後、ケリー米国務長官は広島市中区の広島城などを訪れ、中心部にある日本料理店で会食した。
• 案内した広島城の中木啓館長によると、ケリー長官はケネディ駐日大使と一緒に城内を見学し、展示物の模造刀の重さを確かめたり、10日に訪れた宮島(広島県廿日市市)の方向を眺めたりしたという。
• 中木館長は「突然だったので、びっくりした。(ケリー長官は)ずっと笑顔で、楽しんでもらったようなので良かった」と話した。
• また市内の店で人形を購入し、日本料理店では掘りごたつで夕食を楽しんだ。料理店によると、自分でメニューを選び、すしや海藻サラダなどを、おいしそうに食べたという。


G7外相、慰霊碑に献花
米英仏、保有国初
核なき世界へ広島宣言
原爆で「非人間的苦難」

• 岸田文雄外相やケリー米国務長官ら先進7カ国(G7)の外相は11日、広島市の平和記念公園を訪れ原爆資料館を見学、慰霊碑に献花した。原爆投下国の米国をはじめ、核保有国の英国やフランスの現職外相の公園訪問が、被爆から約70年を経て初めて実現した。外相会合はこの後、原爆で広島・長崎は「極めて甚大な壊滅と非人間的な苦難」を経験したとして、各国指導者の被爆地訪問を希望する「広島宣言」や議長声明を発表し、2日間の日程を終えた。
• 記念公園訪問について、岸田氏は「核兵器のない世界への歴史的な一歩になった」とのコメントを発表した。5月の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)に合わせ、核なき世界を提唱したオバマ米大統領の被爆地初訪問が実現できるかが今後の焦点になる。宣言に関し、日本政府が訴えてきた核兵器の「非人道性」は核保有国の反対で明記しなかった。
• 議長声明では、テロ対策を強化するG7の行動計画を策定し、サミットで採択を目指す方針を打ち出した。G7外相はこのほか、中国が進める南シナ海での軍事拠点化に「強い反対」を表明した海洋安全保障に関する声明と、軍縮に関する声明もまとめた。安倍政権はこれら四つの文書を成果として、サミットの首脳宣言に反映させる。
• 記念公園には岸田、ケリー両氏のほか、英国のハモンド、フランスのエロー、ドイツのシュタインマイヤー、イタリアのジェンティローニ、カナダのディオンのG7各外相、欧州連合(EU)のモゲリーニ外交安全保障上級代表が訪れた。
• 広島宣言は、これまで被爆地を訪れた政治指導者が「深く心を揺さぶられた」として、他の指導者らの訪問を希望。G7外相は核兵器が二度と使われてはならないとの被爆地の「心からの強い願い」を共有したと明記した。中国が核弾頭数を公表しない現状を踏まえ、透明性向上も求めた。
• 海洋安保に関する声明では、南シナ海での中国の動向を念頭に、名指しを避けながらも「緊張を高める威嚇的、威圧的な一方的行動」への強い反対を表明。国際法に基づく紛争の平和的解決を要求した。沖縄県・尖閣諸島を抱える東シナ海情勢にも懸念を示した。
• 議長声明では、過激派組織「イスラム国」(IS)などによる残虐行為や、北朝鮮の核・ミサイル開発を強く非難。拉致問題に直ちに対処するよう北朝鮮に迫った。


広島宣言要旨

• 先進7カ国(G7)外相会合で発表した広島宣言の要旨は次の通り。
• 広島および長崎の人々は、原子爆弾投下による極めて甚大な壊滅と非人間的な苦難という結末を経験し、自らの街を目覚ましく復興させた。
• 国際社会の安定を推進する形で、核兵器のない世界に向けた環境を醸成するとのコミットメント(約束)を再確認する。この任務はシリアやウクライナ、とりわけ北朝鮮による挑発行為といった悪化する安全保障環境により一層複雑になっている。
• 核拡散防止条約(NPT)締約国となっていない国々に加入を求める。
• 包括的核実験禁止条約(CTBT)の早期発効を達成すべく、全ての国はCTBTに署名・批准すべきだ。
• 核兵器のない世界へのさらなる進展は、単独、2国間、多国間で漸進的なアプローチを取ることのみにより達成できる。
• 透明性を向上させたG7の核兵器国による努力を歓迎。他国にも同様の行動を求める。全ての国に核軍縮に関する対話促進を求める。
• 大量破壊兵器の拡散阻止へ、機微な品目および技術に関する各国の輸出管理を引き続き強化することは極めて重要。
• 政治指導者やその他の訪問者が広島および長崎を訪れ、深く心を揺さぶられてきた。他の人々が同様に訪問することを希望する。核兵器は二度と使われてはならないという広島および長崎の人々の心からの強い願いを共にしている。


「非人間的」評価分かれる
日本、広島宣言に苦心

• 先進7カ国(G7)外相会合で11日採択された「広島宣言」には、「核の非人道性」を示す表現として「非人間的な苦難」という文言が盛り込まれた。「非人道」という言葉に抵抗感を示す核保有国に配慮しながらも、被爆地の広島で核軍縮・不拡散への強いメッセージを打ち出そうと苦心した日本。評価は分かれ、被爆者からは厳しい見方も出た。
▽ 二つの狙い
• 核兵器使用の惨状を説明する際、日本政府はこれまで「非人道的結末」との文言を用いてきた。「広島宣言」でも当初この表現を検討したが、核保有国の抵抗で断念。核の非人道性が強調されれば、核兵器の使用が国際法上の「人道に対する罪」に当たるとの主張が力を持ち、核兵器禁止条約制定への国際的機運が高まる可能性がある。
• 「一部の国への配慮と、表現を強くするという二つの狙いがある」と外務省幹部は説明。「核保有国に配慮して(表現を)弱めたということではない」と強調した。
• ただ「非人間的な苦難」の部分の英語は「ヒューマン・サファリング」。直訳すれば「人間としての苦しみ」で、訳語の語感を「非人道的」に近づけようとした日本側の腐心の跡がうかがえる。
• 元軍縮大使で平和外交研究所の美根慶樹代表は、「非人間的な苦難」は「被爆者の苦難」と「核兵器の非人道性」のどちらとも読める「非常によく工夫された表現」と分析した。
▽ 被爆者の声入らず
• 一方、市民団体ピースボートの川崎哲共同代表は「広島と長崎への原爆投下に限り『非人間的』としている。核兵器自体が『非人間的』だという表現になっていない」と指摘した。
• 被爆者団体からは「文言が『非人間的な苦難』に変わったところで五十歩百歩」「核兵器による非人道的な結果を盛り込んでほしかった」との厳しい声も出た。日本原水爆被害者団体協議会(被団協)の藤森俊希事務局次長は「被爆者の声や思いが全く入っていない。到底納得できない」と憤った。


「核の脅威なくす義務」
各国外相ら芳名録に思い

• 広島市で開かれた先進7カ国(G7)外相会合では、参加した全ての外相が11日、原爆資料館(同市中区)を訪れ、芳名録に核兵器廃絶に向けたそれぞれの思いを記帳した。
• 原爆を投下した米国のケリー国務長官は、資料館について「核兵器の脅威をなくすことが私たちの義務だということだけでなく、戦争そのものを避けるためにあらゆる努力を払う必要があることを明白かつ厳しく、切実に思い起こさせる」と評した。
• 核保有国である英国のハモンド外相も「核兵器のない世界に向けた条件をつくるための努力を倍増しよう」と記帳。同じく核保有国のフランスのエロー外相は「広島でわれわれは過去の悲劇と苦しみを忘れない」とつづった。
• イタリアのジェンティローニ外相は「悲しい思い出は未来のための教訓で、軍縮と核の不拡散は共通の目的だ」とした。
• ドイツのシュタインマイヤー外相も「広島と長崎の人々の苦しみと犠牲は、平和を希求し、核兵器のない世界を必ず実現しなければならないと警告している」と記した。カナダのディオン外相は「この資料館の見学により、核兵器のない世界に向けたわれわれの強い願望を強化しよう」と書き込んだ。
• 議長国の岸田文雄外相は「歴史的なG7外相との資料館訪問が、核兵器のない世界の実現につながることを願います」と記帳した。


慰霊碑見つめ、白い花輪
「証言聞いてほしかった」

• 慰霊碑を真っすぐ見つめたまま、白い花輪をささげた。11日午前、原爆を投下した当事国である米国のケリー国務長官が、広島市の平和記念公園を初めて訪れた。核保有国の英国、フランスの両外相も列席。被爆者らは画期的な出来事と歓迎する一方、原爆資料館の視察だけでなく「被爆証言を直接聞いてほしかった」と残念がった。
• 雲間から漏れる春の日差しを受け、地元の小学生らが各国の旗を振る中、先進7カ国(G7)外相と欧州連合(EU)代表の8人は慰霊碑までゆっくりと歩き、横一列に立ち止まった。
• 一つずつ花輪を受け取ると「安らかに眠って下さい 過ちは 繰返しませぬから」と刻まれた碑文に向かって一斉に献花。小学生らに折り鶴の首飾りを掛けてもらった。
• 資料館の元館長で被爆者の原田浩さん(76)は、自宅のテレビでケリー長官の姿を見つめた。「71年近くたち、やっとここまできた。各国が政治を動かすと期待したい」と語った一方、被爆者の証言を聞く機会がなかったことを「惨状を理解してもらわなければ広島で会合を開いた価値が半減する」と惜しんだ。
• 原田さんは爆心地から約2キロで被爆。館長として世界各国の要人らを案内し、今も学生らに体験を語り続けている。
• 外相らは資料館の芳名録に記帳。岸田文雄外相によると、30分間の予定だった視察は約50分間に延びた。ケリー長官は展示の説明に耳を傾け、被爆の実相について「世界中の全ての人々が見て感じるべきだ」と記し、外相一行に予定外の原爆ドーム訪問を提案して実現させた。
• 午後の記者会見では資料館の展示について「本当に衝撃だった」と手ぶりを交え感想を語った。
• ケリー長官に花輪を渡した市立本川小6年の荒谷愛莉紗さん(11)は「平和の大切さや戦争はとても悲惨なものだと感じて帰ってほしい」。被爆者からは延長したとはいえ限られた時間での視察だったことに「もっと時間をかけて見てほしかった」と不満の声も出た。
• 平和記念公園の一部は、欧州で相次いだテロへの対策を念頭に立ち入り禁止に。資料館での取材も認められなかった。


日本、17年はマイナス成長
消費増税響く、IMF予測
円高「著しい」と警戒

• 国際通貨基金(IMF)は12日、世界経済見通しを発表し、2017年の日本の成長率が物価変動を除いた実質でマイナス0・1%に転落すると予測した。17年4月に予定される消費税率の10%への引き上げや新興国経済の減速が響く。実際にマイナス成長になれば3年ぶり。予定通り消費税率を上げるかどうか安倍晋三首相の判断に影響を与えそうだ。最近の円高を「著しい」と警戒、世界経済全体の成長は勢いを欠くとした。
• 日本の成長率についてIMFは、16年は0・5%とみている。今年1月時点で16年が1・0%、17年は0・3%と予測していたが、いずれも大幅に下方修正した。前回マイナス成長に陥ったのは消費税率が5%から8%へ引き上げられた14年(マイナス0・03%)。
• IMFは「(高齢化で)働き手が減っており、中長期の成長見通しも弱い」とし、低成長の長期化は避けられないとの認識も示した。
• 円高の進行と新興国の景気減速で外需も落ち込むため「16年前半は日本経済の活動が抑制される」と指摘。17年は消費税増税による個人消費の不振も加わり、マイナス成長に陥るとみている。
• 世界全体の成長率は16年が3・2%、17年が3・5%と予測し、1月時点と比べ、それぞれ0・2ポイント、0・1ポイント引き下げた。中国経済の減速、原油など1次産品の価格低迷、世界的な貿易の不振が引き続き成長の足を引っ張ると見込んだ。
• 中国は16年が6・5%、17年が6・2%と予測。個人消費の回復を反映し、いずれも0・2ポイント上方修正したが、景気減速は止まらない見通し。
• 16、17年ともに、中国を含む新興国・途上国全体の成長率見通しを下方修正した。日本を含む先進国全体の予想も引き下げ、米国やユーロ圏など多くの国・地域で景気はほぼ横ばいにとどまると見込んだ。


対日関係改善へ経済重視
中国副首相が河野氏と会談

• 中国の汪洋副首相(商務担当)は12日、北京の人民大会堂で、河野洋平元衆院議長が会長を務める日本国際貿易促進協会の訪中団と会談し「中日関係の改善と発展には両国政府の努力がなくてはならない。特に経済界の知恵と力が大切だ」と述べ、日本との経済協力を重視する考えを示した。
• 中国は日中関係に関し、南シナ海問題を巡る日本の対中けん制に反発し、政府間のハイレベル対話に後ろ向きの姿勢を示す一方、景気減速を受けて民間の経済交流は進める考えだ。
• 河野氏は「日中の間に若干の認識の違いが存在する中でお会いいただき大変ありがたい」と応じた。会談には沖縄県の翁長雄志知事も同席した。
• 中国政府によると、河野氏は11日に王毅外相や高虎城商務相とも会談し、日中関係について意見交換した。
• 日本国際貿易促進協会は、中国との友好促進や経済関係の強化を目的に活動している日中友好7団体の一つで、昨年の訪中では李克強首相と会談した。

衛星ひとみ、停止も検討
激しく回転、部品が脱落
JAXA「重大な事態」

• 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は8日、軌道上でトラブルが起きたエックス線天文衛星「ひとみ」について、運用停止も視野に入れた検討を始めた。2016年度中に予定する別の科学衛星の打ち上げ計画に影響が出る可能性もあるとしている。
• 同日までの分析で、姿勢制御用の装置が壊れてガスが噴出するなどの異常が起きた可能性があることが判明。機体は約5秒に1回の速さで激しく回転しており、遠心力によって太陽電池パネルの一部や、観測に必要なアーム状の伸展装置が脱落したとJAXAはみている。
• JAXAの常田佐久理事は同日の記者会見で「重大な事態になった」と話した。
• 米軍がレーダー観測で捉えた10個以上の物体は、衛星本体や脱落した部品の破片らしい。ひとみは伸展装置を含め全長14メートルだが、すばる望遠鏡の観測では、衛星本体は数メートルの大きさしか残っていないとみられる。
• 3月29日以降は通信が全くできない状態が続く。常田氏は「予定通りの観測を始めることが難しくなり申し訳ない。復旧の望みは捨てていないが、場合によっては最悪のことも考えなければならない」と述べ、運用停止の可能性を示唆した。
• JAXAは16年度に別の科学衛星を打ち上げる予定だが、ひとみと共通の部品が使われていると同じトラブルが起きる懸念があるため、失敗原因の究明を急ぐ考えを明らかにした。
• ひとみは試験運用中の3月26日に機体が破損したとみられ、正常な通信ができない状態に陥った。運用停止した場合は高度約580キロを回る宇宙ごみとなり、いずれは大気圏に突入して燃え尽きる。


世界のトラ、保護へ結束
印、「100年ぶり増加」

• 絶滅の危機にひんする野生のトラを保護するため、生息地の中国やロシアなど十数カ国が結束を確認する国際会議が12日、インドの首都ニューデリーで開かれた。世界自然保護基金(WWF)は会議に先立ち、最新のトラの個体数が約3890頭に達し「100年ぶりに増加傾向にある」との声明を発表。各国はさらなる保護対策を取る。
• 会議には各国政府や非政府組織(NGO)の保護関係者ら700人以上が集まり、最大の生息国であるインドのモディ首相は「トラの保護は選択ではなく、必須だ」と演説した。
• WWFによると、20世紀初頭に世界で約10万頭いた野生のトラは、生息域縮小に加え、毛皮や漢方薬目当ての乱獲で97%減少し、絶滅危惧種となった。
• このため、各国は密猟者の取り締まりなどを強化。インドやロシアで生息数は回復傾向にあり、10年の推定約3200頭から増加した。
• 一方、東南アジアでは、カンボジアで絶滅の可能性が指摘されるほか、ラオスでも個体数が著しく減少したとみられている。インドのトラ保護を支援する日本のNPO「トラ・ゾウ保護基金」の戸川久美理事長は「開発により、特に東南アジアでトラの生息域が脅かされており、世界の個体数が増えても安心できない」と強調した。


ベルギーテロで2人逮捕
潜伏先手配に関与の疑い

• ベルギー司法当局は12日、ベルギー同時テロの捜査で新たに容疑者2人を11日に逮捕したと発表した。3月22日に起きた同時テロでの逮捕者は計6人となった。
• 発表によると、逮捕されたのは「スマイル・F」と「ブラヒム・F」の両容疑者で、それぞれ1984年、88年生まれ。地下鉄の自爆犯らが潜伏先にしたとみられるアパートの手配に関わった疑いがある。ベルギー公共放送は、2人は兄弟だと伝えた。
• このアパートはブリュッセル首都圏エテルベーク地区にある。地下鉄で自爆したハリド・バクラウィ容疑者とテロ実行の少し前に一緒にいたことが確認された「オサマ・K」容疑者=逮捕=は当日、ハリド容疑者と共にこのアパートを出たと供述したと報じられた。
• また捜査当局は12日、昨年11月のパリ同時多発テロの捜査としてブリュッセル首都圏南部で家宅捜索を実施。事情聴取のため3人を拘束した。
• ベルギー同時テロでは他にブリュッセル国際空港でハリド容疑者の兄、ブラヒム・バクラウィ容疑者とナジム・ラーシュラウィ容疑者が自爆し、現場から逃走したモハメド・アブリニ容疑者(31)が逮捕された。
• これまでの逮捕者は他に「ビラル・E・M」(27)、ルワンダ国籍の「エルベ・B・M」(25)の両容疑者。検察によると「ビラル・E・M」容疑者はアブリニ、「オサマ・K」両容疑者を手助けした疑いがある。


桃田選手ら違法スロットも
追加調査で判明とNTT東

• バドミントン男子の桃田賢斗選手らが違法カジノ店で賭博行為をした問題で、所属先のNTT東日本は12日、2012年ロンドン五輪代表の田児賢一選手らとともに、違法スロット店でも賭博行為を行っていたことを明らかにした。同社は、8日に2選手が記者会見した後の10日までの追加調査で判明したと説明している。田児選手の解雇を含む懲戒処分を11日に公表した際には、新たな賭博の事実は発表していなかった。
• NTT東日本によると、2選手は違法カジノ店に出入りしていた同時期に違法スロット店にも通い、田児選手は約20回で約50万円、桃田選手は約5回で十数万円負けた。違法カジノ店に出入りしていた同社所属のほかの6選手のうち5選手も違法スロット店に行っていたという。
• また同社は8日の記者会見で、桃田選手が違法カジノ店に行った6回全てが、田児選手と一緒だったと説明していたが、そのうち1回は飲食店の女性従業員に誘われて行ったと訂正した。
• 日本バドミントン協会の銭谷欽治専務理事は今回の事態を受けて「今のところ処分を変えるつもりはない」との認識を示した。


上原さんが米チャート1位
ジャズアルバム部門

• 米国の音楽ヒットチャートで知られるビルボードは12日、ジャズピアニスト上原ひろみさん(37)の最新アルバム「SPARK」が週間ジャズアルバム部門で1位を獲得したと発表した。
• チャートは4月23日付。日本での所属レコード会社の担当者は「日本人がビルボードの部門チャートで1位になるのは異例」としている。
• 上原さんは浜松市出身。1999年に米国のバークリー音楽院に入学し、在学中の2003年にアルバム「Another Mind」で世界デビューした。「SPARK」は、10年にベーシストのアンソニー・ジャクソン、ドラマーのサイモン・フィリップスと結成したトリオによる4枚目のアルバムで、日本で2月、米国で4月1日に発表された。


大卒の就職内定率95・3%
小幅改善、3月調査

• 就職情報会社リクルートキャリアは12日、今春卒業した大学生の就職内定率が3月の卒業時点で95・3%となり、前年同時期に比べて1・0ポイント上昇したと発表した。
• 同社の担当者は「(面接解禁日などの)大幅な日程変更があったが、企業の採用意欲が高かったため、内定率は前年より上昇した」としている。
• 調査は3月16~24日にインターネットで実施し、945人が回答した。女子の内定率は95・5%で、男子の95・2%を上回った。文理別では、文系が95・5%、理系が95・1%だった。
• 内定を得た学生1人当たりの内定数は平均2・32社。2社以上から内定を得た学生は63・5%に上り、1社から内定を得たのは36・5%だった。
• 学生の居住地域別の内定率は、関東が96・7%と最も高かった。中部が94・8%、近畿が93・6%で、その他の地域は94・8%だった。
• 経団連は今春卒業の大学生の採用で日程ルールを変更し、会社説明会解禁を大学3年の12月から3月、面接解禁を4年の4月から8月にそれぞれ繰り下げた。しかし「就活が長期化した」などと批判が相次いだため、来春卒業予定の現4年生から面接解禁を4年の6月に前倒しした。


自動車評論家が事故死
ポルシェで木に衝突

• 11日午後2時55分ごろ、神奈川県小田原市石橋の観光有料道路「MAZDAターンパイク箱根」で、東京都世田谷区野毛2の13の15、自動車評論家森野恭行さん(53)の乗用車が、反対車線にはみだして路肩の樹木に衝突、病院に運ばれたが約2時間半後に死亡が確認された。
• 小田原署によると、現場は下り坂で緩やかな左カーブ。居合わせた観光客が「かなりのスピードだった」と話しており、同署が事故原因を調べている。車はポルシェで、車雑誌の出版社から借りたものだった。
• ターンパイクは同県小田原市と箱根町、湯河原町を結ぶ約16キロの自動車専用道路。


12年に1度、豊作願う
佐賀の神社「大御田祭」

• 佐賀県神埼市の仁比山神社で12年に1度、さる年だけに行われる「大御田祭」が8日から始まっている。千年以上にわたり守ってきた「御田舞」を地元の人たちが毎日奉納し、稲の豊作を願う。20日まで。
• 地元保存会によると、この神社ではサルが神の使いという説があり、御田舞は平安時代、大津市の日吉大社から伝わったとされる。華やかな衣装をまとった役者たちが田起こし、田植えなどを1時間以上、古式ゆかしく演じる。「エンヤー、ホーハ」と歌に合わせて鬼が舞い、まさかりを床に打ち付けて害虫や悪霊を払う場面も。
• 所作や歌、舞台の広さまで口伝えで受け継がれてきたが、高齢化などで口承が難しくなり、前回2004年に撮影した映像を教材とすることが許された。
• 今回は小学生から80代のお年寄りまで男性約30人が3カ月ほどかけて習得。宮司の朝日晃司さん(80)は「自分たちの代で途絶えさせたら大変」と地域の思いを代弁する。
• 福岡県宗像市から妻と見学に訪れた秋元正登さん(68)は「子どもも減って大変だろうが、長く続けてもらいたい」と話した。問い合わせは市観光協会、電話0952(37)0107。


サイト運営主体は日本法人
アマゾン、異例の対応
レビュー投稿者情報開示

• インターネット通販大手「アマゾン」のサイトに購入者が投稿した商品評価(レビュー)の内容を巡って東京地裁で係争中だった名誉毀損訴訟で、被告のアマゾン側が、日本語サイトを運営しているのは日本法人「アマゾンジャパン」だと認めていたことが11日、分かった。
• 海外に本拠を置きネットサービスを展開するアマゾンのような企業が、本国法人ではなく“出先”がサイトの運営主体と認めるのは異例。判決は3月25日に言い渡され、青木晋裁判長は名誉毀損を認めた上で、アマゾンジャパンに投稿者の名前や住所などの情報開示を命じた。
• 人権侵害があっても、本国法人を相手に訴訟で争うには時間やコストがかかるが、日本法人が当事者なら負担が軽減される。原告代理人の山岡裕明弁護士は「アマゾンというグローバル企業が進んだ対応をした意義は大きい」と評価した。
• 原告は東京都内のNPO法人。法人の活動などを紹介した書籍に対するレビューで名誉を傷つけられたとして昨年3月、アマゾン本拠の米国法人を相手に東京地裁に訴訟を起こした。
• 6月には、ネット上の住所に当たるドメインの登録者名が日本法人代表者と同じことなどから、日本法人も提訴。アマゾン側がサイト運営主体を日本法人と認めたため、原告側は8月、米国法人への訴えを取り下げた。
• 判決は、レビューが「事実でなく社会的評価を低下させた」と指摘。アマゾンジャパンは控訴せず、確定した。原告側は今後、開示情報を基に投稿者の責任を追及する。
• 山岡弁護士によると、グーグルやツイッターなどは、日本法人に情報開示を求めても「海外本社が対応する」と拒否するという。本国法人を日本の裁判所に訴えることはできるが、大使館を経由するなどして相手に訴状が届くまで数カ月かかる上、資料の外国語訳も必要で負担は大きい。
• アマゾンジャパンは判決について「個別の案件にコメントは控える」としており、今後も同様の対応をするかどうかは明らかにしていない。


脳細胞の成長、40%縮小
ジカ熱のウイルスで実験

• 小頭症との関連が疑われるジカ熱のウイルスを実験容器内で脳細胞に感染させると、その後に成長した部分の大きさが40%小さくなったとする研究結果を、ブラジル・リオデジャネイロ連邦大のチームが10日、米科学誌サイエンスに発表した。
• チームは「ジカウイルスが初期の発育段階にある人間の脳に重大な影響を与えることを明らかにした」としている。
• チームは人間の人工多能性幹細胞(iPS細胞)から脳細胞に分化させてジカウイルスに感染させると、細胞の増殖の過程で一部が脱落するなどし、感染させなかった細胞群に比べて、感染11日後までに成長した部分が40%小さくなった。
• 別の実験では、iPS細胞から神経幹細胞を作製。ジカウイルスに感染させた神経幹細胞は3日後には異常な形となり、6日後にはほとんど死んでしまった。
• 両方の実験で、ジカウイルスと同じ仲間のデング熱のウイルスを感染させた場合は、悪影響は出なかった。
• 実験で利用した脳細胞と神経幹細胞は、妊娠のごく初期から4カ月ぐらいまでの胎児の脳にあり、この期間に感染すると悪影響が生じることが示されたとしている。


中国、関税を引き上げ
「爆買い」対策で検査強化

• 中国政府は8日、海外で購入した商品に課す関税を引き上げ、税関当局が空港での検査を強化した。政府は中国人観光客が日本など海外で大量の買い物をする「爆買い」が国内消費の低迷要因になっているとみており、関税引き上げにより国内での買い物を促す狙いだ。
• 中国人の爆買いが減れば、日本の百貨店など小売業の売り上げに影響する可能性もある。中国財政省によると、高級腕時計の関税の税率をこれまでの30%から60%に、酒や化粧品などの税率も50%から60%に引き上げた。
• 上海の浦東国際空港では8日、税関の検査強化で長蛇の列ができた。空港関係者によると、帰国した大半の旅行者の荷物をエックス線検査機で調べるなどした。30分以上、待たされた例もあるという。
• 中国の短文投稿サイト「微博(ウェイボ)」では、「2万元(約34万円)の関税を支払わされた」「日本から化粧品を買って帰ったら多額の税金がかかった。まるで(違法な)薬物を持ち込んだような扱いだった」などと不満の声が上がっていた。

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