強固な日米関係、天皇誕生日を祝う
天皇誕生日の祝賀会が2月17日、在シカゴ総領事館で開催され、文化、教育、音楽、奉仕、ビジネスなどの多分野を通じて日米関係促進に貢献する功労者や受賞者などが出席した。同祝賀会は例年行われて来たが、新型コロナのパンデミックにより3年ぶりの対面での開催となり、会場では日本酒、和食、和風デザート、けん玉、観光スポットなどの紹介が行われた。
挨拶に立った田島浩志在シカゴ総領事は、63歳を迎える天皇の誕生日を対面での祝賀会で祝える事を嬉しく思うと話し、近郊だけでなく他州のウィスコンシン、インディアナ、ミネソタ、ネブラスカから祝賀に来てくれた代表者に礼を述べると共に、日米関係促進に寄与している出席者に感謝の気持ちを表した。
また、田島総領事は2022年の叙勲受章者、外務大臣賞受賞者、総領事賞受賞者を紹介し、日米関係強化に尽力した面々を称賛した。
田島氏は1月にワシントンDCで行われた岸田文雄首相とジョー・バイデン大統領の首脳会談に触れ、日米の二カ国関係は過去にないほど強固なものになっていると話した。そして、今年5月19日から21日に広島で開催されるG-7サミットは、法の支配に基づく国際秩序の保護と、我々の日米同盟がG-7サミットのディスカッションをリードする重要な役割を担うことが焦点となると語った。
田島氏はまた、強固な日米同盟は中西部でも同様に強固な関係が築かれていると話し、在シカゴ総領事館管轄10州には35,000人以上の日本人が住み、日本ビジネスの1,600施設が運営しており、15万以上の雇用を提供していると述べた。
また、中西部からは現在200人を超えるアメリカ人の若者がJETプログラムを通じて日本の英語教育や地方自治体で活躍しており、在シカゴ総領事館を通じて派遣されたJET参加者は過去3年だけでも379人にのぼり、この夏にはまた新しいJET参加者が日本に向けて出発すると語った。
2021年9月の着任以来、田島氏は日本人、日系アメリカ人、日本に興味を持つアメリカ人との間の関係強化に焦点を当て、人と人との関係作りのために総領事館をあげて取り組んでいる。既に田島氏は30都市以上を訪問したという。
また管轄地10州で日本企業が進出している町々を訪問し、地元の人々と話しをする「草の根キャラバン」をJETROシカゴと共に実施しており、既に26回を数えている。
田島氏によると、昨年の在シカゴ総領事館への訪問者は15,000人を超え、発行したビザ数は7,253、パスポート数は2,567だった。
今年は在シカゴ総領事館管轄内で17の姉妹州県または姉妹都市関係が周年行事を行う。シカゴでは大阪-シカゴ姉妹都市提携が50周年を迎える。
田島氏は「日米友好関係の未来は明るい。それは皆さんのお陰です」と挨拶を結んだ。
祝賀会にはJ.B. プリツカー・イリノイ州知事やロリ・ライトフット・シカゴ市長がビデオによる祝賀メッセージを寄せた他、インディアナポリスのピート・モース日本名誉領事がエリック・ホルコム・インディアナ州知事の祝辞を、ネブラスカ経済開発局のディレクター・アンソニー・ゴインズ氏がジョー・ケリー副州知事の祝辞を、ネッティ・ラスコー氏(移民補助プログラム・コーディネイター)がクワミ・ラウル・イリノイ司法長官の祝辞を代読した。
J.B. プリツカー州知事
J.B. プリツカー州知事はビデオで祝賀のメッセージを寄せ、COVID-19のパンデミックが予想外に長引き多くのイベントが延期となったが、遂に対面で天皇誕生日を祝うことができ、喜ばしいと語った。
「イリノイ州の我々はいつも日本文化を楽しむと同時に、皆さんの意義深いイリノイ州へのインパクトを称賛する」とプリツカー氏は話し、「イリノイ州には1,000以上の日本企業があり5万人近くを雇用している。イリノイ州は中西部で最も日本企業数が多く、日本からの輸入は全米4位、日本からの投資は全米一だ」と語った。
アンソニー・ゴインズ氏
ネブラスカのケリー副州知事の代理として祝賀を述べたアンソニー・ゴインズ氏は、ネブラスカと日本との関係について語った。
ネブラスカでは近年、数回の貿易派遣団を日本へ送っており、友好関係は深い。また、ネブラスカと日本の関係は一世紀以上に遡るという。
20世紀の初期、日本の多くの移民がネブラスカに来て、鉄道工事や農場で働いていた。その人々はネブラスカに落ち着き、家族を育み、それぞれコミュニティのリーダーとなり、日本文化や起業家精神、良き市民であることでネブラスカ州を豊かにしてくれたとゴインズ氏は語る。
現在、多くの日本企業はネブラスカの貿易パートナーとなり、日本企業の投資に感謝しているという。その中には川崎重工があり、州都のリンカーンに50年以上本拠を置いている。1974年以降はそこで鉄道車両を製造している。また、最近では三菱重工が主要な投資を行い、水素生産工場を建設した。
ゴインズ氏は天皇誕生日祝賀会への招待に礼を述べ「天皇の繁栄と健康を祈念致しますと共に、日本とネブラスカとの友好関係が発展しますように」と挨拶を結んだ。
祝賀メッセージの後、ミネソタに本拠を置く非営利団体「Sweets Kendama」のマット・スィーツ・ジョーゲンソン氏とジェイク・ウェインズ氏によるけん玉のパフォーマンスが行われた。けん玉を自由自在に操る両氏の技に参加者は息を呑んだ。
シカゴ日米協会のスティーブン・ポーター会長の音頭により乾杯が行われ、出席者は久しぶりに顔を合わせた友人や知人と歓談の時間を過ごした。
スィーツけん玉とは
けん玉のパフォーマンスを披露したマット・スィーツ・ジョーゲンソン氏は、スィーツけん玉を創設したプレジデントで、ジェイク・ウェインズ氏はけん玉プロフェッショナル。
ジョーゲンソン氏がけん玉を始めたのは13年前。スィーツ・ブランドのけん玉を作り、けん玉を広めるために全米はもちろん、ヨーロッパやアジア諸国など30カ国を訪問している。日本も今までに15回訪問している。
訪問先ではけん玉の競争イベントに出場したり、コンテストの審査員をやったり、けん玉プロフェッショナル達を撮影をしたりといろいろな活動があるという。
元々スケートボードやスノーボードを「人生だ」と思っていたジョーゲンソン氏はけん玉に出会って以来、技を磨く多くの機会を得てけん玉競技者となった。「私にとってけん玉は遊びじゃない。スポーツですよ」と語る。
2014年にはフランスで競争イベントがあり、ジョーゲンソン氏はそこで1位になったことがある。そこでの賞品は何とけん玉で、同氏が一番欲しいものだったという。このような競争イベントは日本でもアメリカでもアムステルダムでも、どこでも行われているのだという。
ジョーゲンソン氏のゴールは世界にけん玉を広めること。「けん玉は人々の人生を変えることができる。私は多くの人々が人間らしく生きるために、彼らの人生を変えるんですよ。だからあちこちに旅行して、けん玉を教えたり、けん玉をする人のスポンサーになったりしながら世界のどこにでも行ってけん玉をする人を増やそうとしているんです」と語る。
ジョーゲンソン氏が創設した「スイーツけん玉」は非営利団体で、学校の放課後プログラムも作っており、ミネソタ州からの収入もある。その他、ファンドレイジングや助成金、けん玉の販売などで運営しているのだという。
けん玉を始めた理由についてジョーゲンソン氏は「けん玉の難しいところがいいですね。チャレンジは大好きで楽しいですから、その楽しさが人生そのものになって来ています。だから自分の人生が大好きなんです」と語った。