3年ぶりの柔道大会、第25回闘魂カップと第1回GKJNカップ石川慈五段がグローバル・キッズ・柔道・ネットワークを設立

2022年6月4-5日グローバルキッズ柔道ネットワークトーナメント参加者

第25回闘魂カップと第1回GKJNカップが6月4日と5日の両日、オヘア空港近くのローズモント・ドームで開催された。主催しているのは闘魂柔道アカデミーと、新たに発足したグローバル・キッズ・柔道・ネットワーク(GKJN)で、後者は講道館杯を3回獲得し日本のナショナルチームに所属していた石川慈五段が代表を務める。

現役を引退した石川氏は、日本発祥の柔道の「精力善用・自他共栄」という柔道の精神を国内外の子供達に普及させる事で、次世代を担う子供達の健全な育成に寄与する社会貢献活動を海外に拠点を置いて行いたいと一般社団法人GKJNを立ち上げた。

第一日目は、第25回闘魂カップが行われ、子供から大人まで320人が参加した。同カップは個人戦で、76階級のカテゴリーに加え形競技もあり、1日に全部で456試合が繰り広げられた。

第二日目は第1回GKJNカップが行われ、午前中は柔道クリニックが開かれた。子供から大人まで約200人が参加し、石川氏と共に、ロンドン五輪銅メダリストの米国柔道家のマーティ・マロイ氏が技や精神について指導した。

午後からは子供達の団体戦が行われた。これには様々な地域から様々な道場の子供達が参加しているが、道場対抗戦ではなく、当日にGKJNの事務局が子供達の年齢、体重、実力によってチームを決める。子供達は他の道場の子供達と同じチームになる事で交流が深まり仲間を増やすことができる。チーム名も子供達が話し合って決めることから、子供同士の連帯や協調などを培う事ができる。

子供達はチームの仲間を励まし合ったり勝利を喜び合ったり、素晴らしい盛り上がりを見せた。

試合後には表彰式、その後には支援企業や個人から提供された賞品が当たる抽選会が行われ、はち切れんばかりの子供達の笑顔が会場に広がった。入賞チームと選手名は以下を参照してください。

初めてのGKJNカップを終えた石川氏は「今日はチーム・トーナメントだったんですけど、昨日の個人戦よりも盛り上がりが見えたと思います。今日決めたチームなので他の道場の子供達と一緒になったりという事で交流が深まって、子供達にとって凄く良い経験になって良かったと思います」と語った。

石川慈氏、インタビュー

Q:グローバル・キッズ・柔道・ネットワークを設立しようと思われたのは?

石川慈:私自身、良い経験も悪い経験も含めて柔道で成長させてもらいました。それを恩返ししたいと思った時に、次の世代の子供達に(その経験を通して学んだ精神を)繋げることが柔道への恩返しなのかなと思いました。日本は柔道の中に素晴らしい人達がたくさんいるので、海外で発信することで日本の柔道の「精力善用・自他共栄」という素晴らしい精神を海外で構築しつつ、子供達の健全な育成に寄与するために広げて行けたらいいなと思います。強くなる事よりもやはり柔道を通して、勝ち負けではなく、ほかのチームの仲間と出会ったり、いろいろな事を経験して頂くというのが私の一番の願いです。海外でやるという事は、海外発で日本の子供達を招待したり、アメリカの子供達を日本に連れて行ったりすることにより文化交流など子供達にとって凄く良い機会にもなりますし、成長の過程の中で非常に大切なものなのではないかなと思い、ぜひそういう活動をしたいという気持ちです。

Q:柔道クリニックではどんな指導を?

石川:もちろん私が持っているテクニックを教えたりと言うところもあるんですけど、やはり楽しんでもらいたいというのが一番です。だから技ができるという事よりも、100人から150人の子供達が集まるというは普段はない事なので、そこでみんなが一つになって何かをやるという事に私自身も興奮しますし、子供達も興奮して、それが一つの思い出になって、いい経験になって行ければいいなと思っています。

Q:石川さんと直接話す事で、柔道をもっとやりたいと思うでしょうね。

石川:そう思ってくれると嬉しいですけどね。私だけではなく、ロンドン・オリンピック銅メダリストのアメリカ代表、私のライバルでもあり友達でもあるマーティ・マロイさんに今回クリニックに参加して頂いたんですけど、やはり彼女はアメリカ柔道界ではヒローインなんですね。そういう人を間近に見て指導を受けるというのは、子供達にとっても非常に大切な思い出になる経験だと思っています。

Q:日本で柔道をやっている子供達と違う所はありますか?

石川:アメリカの子供達の方が(意思表示が)はっきりしていますね。日本の子は良い意味で真面目ですが、こちらの子供達は良い意味で態度がはっきりしています。やりたくなかったらやらない、やる気があったらやると凄くはっきりしていて、私が一つ声をかけても彼らの反応で直ぐに分かるんで、それは面白いなと思っています。

Q:やる気にさせるというのが大事なんですね?

石川:それが一番大事だと思っています。だからクリニックでも技を教える前にウォーミングアップでどれだけモティベーションを上げて子供たちが楽しんで入って行けるかと言うのが、私が教える上で一番大切にしている事です。

Q:組織を立ち上げるのは大変な事ですが、GKJN設立でご苦労された事は?

石川:私自身現役の時はもう自分が勝つことに徹していたので、自分のレベルアップだけに集中していました。もちろん周りの応援が力になって、最後に試合で自分の力が発揮できるというふうに思っているんですけど、やはりセカンドライフと言うのは、自分が法人を立ち上げて今回初めてイベントをするとなった時に、たくさんのスポンサーについて頂いて、そのお陰で自分のやりたいこと、夢に挑戦できて、と言う風に思っているので、とても感謝しています。もちろん今後もそうやって趣旨に賛同して頂ける方にサポートして頂いて、もっと大きなイベント、もっとたくさんの子供達を幸せに、笑顔にしたいなと言うのが私の思いです。

Q:子供達は何かの出会いや切っ掛けで、人生が変わりますよね?

石川:私自身もそうでしたし、苦労と言うよりもすごくたくさんの人に支えられて感謝と言う気持ちの方が大きくて、本当にそう思っています。なので苦労と言うよりも私自身も楽しませて頂いている、夢に挑戦させて頂いているということに非常に感謝しています。

Q:人生を変えるようなエピソードは?

石川:私は小さい時からそんなに強い訳ではなかったんですけど、22歳の時に初めて日本一になって、それからずっとナショナルチームに所属し、国際大会にもたくさん出るようになりました。やはり海外に行くことによって日本と文化が違う、価値観が違う、日本では普通の事が普通ではないというのが私にはすごく刺激的で、そういう刺激が自分を強くしてくれるというのもありました。海外の選手と触れ合ったり、一緒に戦うけど試合が終わったら友達になったり、そういう海外選手と交流することで自分の視野が広がりました。そんな経験を私自身が得た時に、その経験を小さい時に味わっていたら、自分はどんな風になっていたのかなと感じたことがありました。

また、2018年に初めてシカゴの少年少女柔道大会に来させて頂いて、その時はまだ現役でコマツに所属していたんですけど、100人のアメリカの子供達の前で指導させてもらった時に「あぁ、ここでやりたい」という思いを非常に強く感じました。シカゴが夏の最高の季節だったせいか、「あ、ここだ」と言う風に思いました。それら2つの私の思いが、今に繋がっているのだと思います。今は全てが新鮮でいい経験をさせてもらっています。私自身の挑戦でもあり、趣旨に賛同して下さっている方々の夢でもあると思って、覚悟を持ってこれからもやって行きたいと思っています。

 Q:シカゴの冬はどうでした?

 石川:一月は雪が多かったので、闘魂柔道アカデミーの道場以外は殆ど外出しませんでした。闘魂道場を私の拠点にさせて頂いていて、週に4回教えていますので。それ以外はけっこう部屋にこもって、この夏に向けて気持ちを貯めていました。寒い冬をいい風にとらえています。シカゴは大好きなので。

Q:どうもありがとうございました。

高月秀之氏インタビュー

Q:高月さんは現在GKJNの専務理事を務めておられますが、GKJNの運営はいかがですか?

高月秀之:今回まだCOVIDの影響が残っている中で、いかに日米の柔道を通じた文化交流を実現するかという事で、いろいろな13の企業団体様と70名の日米の皆様からのご支援によって、4日は450名、5日は子供だけで150名の柔道大会と言うものを実現することができました。

Q:今後の展開についてお聞かせ下さい。

高月:今後は来年再来年に向けて、石川五段が様々な柔道のネットワークを世界中に持っておりますので、GKJNの本来の目的である子供達を柔道を通じて世界を繋ぐという事を、日本から、或いはカナダからというような他国からも招いて子供達の国際交流を広め、いわゆる日本の価値観、柔道が持つ規律などをアメリカに広めることで、アメリカの健全な青少年の育成に寄与して行きたいという風に思っております。

Q:シカゴに定住を決断されたそうですね。

高月:セカンドライフでもう一度、新しい夢を一から築いて行きたいというのが正直な気持ちです。企業を飛び出してこういう活動を石川代表のサポートとしてやってみたいと思うのが今回シカゴに戻ってきた理由です。

Q:どうもありがとうございました。

グローバル・キッズ・柔道・ネットワークのウェブサイトは:www.gkjn.org

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