シカゴ-大阪姉妹都市提携、50年の繁栄を祝う

心新たに更なる関係深化に調印

 シカゴ-大阪姉妹都市提携50周年記念式典が8月1日、シカゴ・カルチャラル・センターのプレストン・ブラッドリー・センターで行われた。同式典は、シカゴ市姉妹都市インターナショナル・大阪委員会の主催で開催され、シカゴ側からはブランドン・ジョンソン市長やシカゴ市姉妹都市インターナショナルのエグゼクティブ・ディレクターのエイドリエン・トンゲイト氏、田島浩志在シカゴ総領事らが挨拶した。

  一方、大阪市側からは、横山英幸市長をはじめ、片山一歩・大阪市議会議長、岡田妥知市会議員、永井広幸市会議員、前田和彦市会議員、大阪商工会議所国際部・大阪外国企業誘致センターの根来宜克氏、民間企業の御堂筋やうめきた公園開発事業関係者らから成る使節団が来訪した。同使節団は、シカゴで官民が連携して進めている事業者らと交流し、官民連携による街づくりをしたいという大阪市の意向を組んだものだった。

  祝賀式典は、シカゴの「食」に関する報道で知られ、大阪の食文化も現地体験しているスティーブ・ドリンスキー氏の司会で始まった。

 同氏によると、シカゴ市は世界の29都市と姉妹都市提携を結んでおり、米国内の姉妹都市プログラムの中で最も大きく、活発だという。また、600人を超えるボランティアが姉妹都市プログラムにより文化芸術、国際教育、国際ビジネス、地元政府間関係強化などの交流に献身しているという。

  7年前に大阪を訪れたというドリンスキー氏は「東京は観光、京都は古都、たらふく食べたい人は食い倒れの大阪へ」と述べ、「今日は大阪のお好み焼き、たこ焼き、焼き鳥をこの場で楽しんで欲しい」と呼び掛けた。

     

田島浩志総領事

 田島浩志総領事はシカゴ-大阪姉妹都市提携50周年に祝賀を述べると共に、横山英幸市長、ジョンソン市長、シカゴ市姉妹都市インターナショナルを始め、祝賀会の開催に尽力してくれたスポンサーや総ての協力者の姉妹都市関係に対する揺るぎない支援に感謝の気持ちを表した。

  また、田島総領事は任期中の約2年間に見て来た、両都市の多くの共通点ついて語った。

 一つは豊かな歴史と繁栄、芸術や食べ物などに見られる活力ある文化、もう一つは両市長が明るい未来のために力を入れている若者への教育。

 田島氏は「豊かな能力を持つ両市の若者達と共に、大阪とシカゴの堅固で友好的な繋がりは将来に向けて繁栄し続けるだろうと確信している」と語った。

  シカゴ市のブランドン・ジョンソン市長は、横山大阪市長と大阪使節団を歓迎し、「姉妹都市関係で結ばれた我々の2都市は世界最強の姉妹都市提携だ」と述べ、50周年を祝った。

ブランドン・ジョンソン
シカゴ市長

 ジョンソン市長は、1973年よりシカゴ市は姉妹都市大阪委員会と共に友情と協力を分かち合い、この長く続いている姉妹都市関係を先導していると称賛。そして現在進行中のビジネスやイノベーションの交流、文化交流、教育の繋がり、ビジネスの繋がり、そして市長同士の交流も謳歌している」と話した。

 また、日本のインパクトはシカゴの文化面や経済面、対人面でも感じられ、シカゴ経済ゾーンのシカゴランドと日本は、テクノロジー、イノベーション、製造分野におけるグローバルリーダーとして、継続的な経済成長の可能性を持ち続けるだろうと語った。

  さらに、シカゴと大阪は互いに学び合い、互恵的な関係を培い、世界のテクノロジーとイノベーション分野でグローバル経済のエンジンとしてのステイタスを維持しなければならないと語った。

  最後にジョンソン市長は、ワールド・ビジネス・シカゴ先導によるビジネス派遣団の訪日を楽しみにしており、それがシカゴ-大阪の繋がりをより強固にし、互いに学び合う事になると語った。

 

横山英幸大阪市長

 横山英幸大阪市長は、歴史あるシカゴ・カルチャラル・センターでシカゴ-大阪姉妹都市関係50周年を祝えるのは非常に喜ばしいと述べ、姉妹都市関係の成功のために尽力し祝賀式典開催を実現してくれた総ての関係者に感謝の気持ちを表した。

  横山市長は「1973年11月9日に姉妹都市提携を結んで以来、両市は意味ある交流を目指しビジネス、スポーツ、文化、社会福祉など多岐にわたる分野で交流して来たと述べ、シカゴマラソンと大阪マラソンでの選手交流、マグニフィセント・マイルと御堂筋の姉妹ストリート提携、コロナ禍中のオンラインによるシカゴ-大阪イノベーション・サミットの実施などの具体例を挙げた。

 その上で50周年の節目として「姉妹都市提携50周年記念共同宣言書」への署名に言及し「この署名により更なる交流に拍車がかかる事を期待したい」と語った。また、大阪市は現在、グローバル金融都市としてのビジョンを実行に移しており、シカゴのビジネス・コミュニティとの会談などを通して、より可能性の高いビジネスの街として大阪を躍進させたいと語った。

  更に横山市長は「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに開催する2025万博について、人間が共有する広い意味での健康問題に解決の道を開くであろう最先端技術を生かした大阪の生活空間を直に見に来て頂きたいと呼び掛けた。

 

名嘉君代氏(左)と野毛洋子氏

 シカゴ市姉妹都市インターナショナル大阪委員会のチェア名嘉君代氏は、シカゴ-大阪姉妹都市提携50周年記念式典開催に支援をしてくれた公館、機関、企業、組織、団体、個人の人々に感謝の言葉を述べた。

 また、数十年に亘って姉妹都市大阪委員会のチェアを務めてきた野毛洋子氏に大阪委員会より「ライフタイム・アチーブメント・アワード」が贈られた。

  壇上では、ジョンソン市長と横山市長により「姉妹都市提携50周年記念共同宣言書」が署名され、片山一歩大阪市議会議長の音頭により、シカゴ市と大阪市の一層の交流促進を祈念して乾杯が行われた。

 式典後の会場ではお好み焼き、たこ焼き、焼き鳥、ミニバーガーなど、大阪とシカゴのフードと飲み物が提供され、ステージでは野毛洋子とジャズミーブルースのパフォーマンスが行われた。

姉妹都市提携50周年記念共同宣言書

姉妹都市提携50周年記念共同宣言書に署名したブランドン・ジョンソン市長(左)と横山英幸市長

 姉妹都市提携50周年記念共同宣言書とは、大阪市とシカゴ市の姉妹都市の絆をさらに深めるという合意書で、主に①ビジネス・イノベーション、②文化・教育・スポーツ、③姉妹ストリートを含む道路・公園などの設備技術、④社会福祉の4分野を中心に、両市の最良の実践事項の共有や関連団体も含めた戦略的連携を通じて、相互に学び、課題に取り組むことをもって両市の協力関係を更に強化して行くことを確認するもの。

 

横山英幸市長インタビュー

 横山英幸氏は1981年5月生まれで、出身地は香川県。関西学院大学経済学部卒業後、2004年に大阪府庁に入庁した。

 2011年に大阪府議会議員に大阪維新の会公認で立候補し、初当選した。以後3期連続で当選した。

 2022年に大阪市長選挙に向けて、大阪維新の会の候補者公募に応募し、予備選に勝利し大阪維新の会の公認候補となった。

 2023年4月9日の大阪市長選挙において初当選を果たし、翌10日に第22代大阪市長に就任した。

Q:シカゴは初めてですか?

横山市長:初めてですが、シカゴには親しみが湧きますね。

 まず川が流れていて、そして経済と文化が非常に発展していて、観光客の方々も多い。人々が暖かくて食事がおいしいといったところにちょっと大阪っぽさを感じてしまいますので、特に50周年ですから、最高のアニバーサリーにしたいと思います。

 Q:2025年の大阪万博を控えておられますが、大阪市や大阪府全体でやっておられることは?

横山:大阪が今目指している最先端の医療技術である再生医療、これを万博で展開したいと思ってます。

 各国からパビリオンで各国の文化や食事をはじめ、経済が展開されますので、ぜひ興味を持ってお越しいただきたいと思います。

Q:昨今の事ですが、万博会場にまだ各国のパビリオン建設が始まっていないというニュースが流れていましたが?

横山:今、日本の建築市場は建築資材の高騰と人手不足で、非常に課題が多い状況になっているのですが、海外の方になかなか情報が伝わっておらず、そこで契約にちょっとずれが起きているんですが、少しずつ進んでいるので、必ず期限には開催したいと思います。

Q:大阪市と言うだけでなく大阪府全体での発展を考えておられると聞いていますが、大阪府は南北に長いですし、各自治体の特徴やアイデンティティの違いなどで問題になる事はありませんか? 

横山:大阪府と大阪市で一緒にやることは、多くの自治体が歓迎してくれています。

大阪市の成長がどんどん良くなって行くので、周りの自治体もやはり一緒に成長しないと不満が出る可能性もありますから。

 (それぞれの自治体の特徴やIDの違いについては)問題ないです。それがそれぞれ競争になっているので、プラスになっています。

Q:お忙しい中、ありがとうございました。

 

大阪使節団とシカゴ市の交流

 官民から成る大阪使節団は、7月30日にシカゴ入りし、8月4日に帰国した。

 その間大阪使節団は、シカゴ市のインキュベーションセンター1871で行われたFinTechセミナー、在シカゴ総領事主催による意見交換会、米企業とのビジネス・ラウンドテーブル会議や大阪側のプレゼンテーション、マグニフィセント・マイル視察、シカゴ市長表敬訪問、ジャクソンパークのフェニックスガーデン内にある大阪ガーデンでの記念植樹、シカゴカブスでの始球式などに臨んだ。

 フェニックスガーデン内にはシカゴ-大阪姉妹都市50周年を記念して、長寿を意味する松の木が植樹された。シカゴ新報プレジデントのロバート・カー氏が植樹や鳳凰殿に始まる日米友好の歴史、姉妹都市プログラムの発足の意味などについて記事を書いている。ウェブサイトのリンクは:

https://www.gardenofthephoenix.org/news/20230802-gotp-osaka-chicago-50th-anniversary-planting

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 FYI

50周年記念レセプションでのフード&飲み物の協力は:

・M Square (寿司)

・TenGoku Aburiya (串揚げ)

・Gaijin (お好み焼き)

・Remington's(ミニハンバーガー)

・Suntory (ハイボール)

・Daimon Road to Osaka (大阪の大門酒造のにごり酒)

・Daimon Shizuka (大阪の大門酒造の純米吟醸)

・SAKE-SAN Junmai Ginjo (シカゴのレストラングループLettuce Entertain Youによるシカゴと大阪をテーマにした純米吟醸)

野毛洋子 & The Jazz Me Blues Band

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