2023アニメ・セントラル: Jポップ・スターとのセッションも

ハイアット・リージェンシー・オヘアとコンベンション・センターを結ぶストリートを歩くコスプレイヤー達

 アニメやマンガ、ポップ・カルチャーの祭典「アニメ・セントラル2023」が5月19日から21日までの3日間、ローズモントにあるドナルド・スティーブンス・コンベンション・センターとハイアット・リージェンシー・オヘアで開催された。1998年に始まった中西部最大のアニメ・セントラルは、米国内でもトップ・アニメ・コンベンションの一つとなっている。

 アニメ・セントラルの魅力はコスプレイを楽しむだけでなく、日本のアニメやマンガのキャラクターのクリエイターやアーティスト、Jポップ・カルチャーのシンガーやプロデューサー、DJらと触れ合うことにもある。今年もアニメ・ソング・シンガー、アニメ・ソングライター、アニメ声優、キャラクター・デザイナー、アニメTVスタジオ「キネマ・シトラス」など、約50の個人や組織が日米両側から参加した。それらの特別ゲスト迎え、ライブ・コンサート、サイン会、パネル・ディスカッション、Q&Aセッションなどが行われた。

 ドナルド・スティーブンス・コンベンション・センター会場

  同コンベンション・センターには200近くのブースが設置され、アニメ、マンガ、ゲーム、ミュージックなどに関するあらゆるグッズが展示・販売された。また、文化紹介やデモンストレーションも行われた。

 プロでもアマチュアでもアーティストが自分の作品を展示・販売できるアーティスト・アリーには250を超えるブースが設置された。

  シカゴ・コミュニティからは日本文化会館による合気道、書道、折り紙などの実演、在シカゴ総領事館による日本文化紹介やJETプログラム案内などのパンフレット配布、生花インターナショナルシカゴ支部27による生花展示などが行われた。

 同生花支部プレジデントのマーゴット・ウァング氏によると、今年はアニメ・セントラルに生花展示のために招待されたのだという。これに応え同支部では、生花の3つの流派による生花15点を展示した。また、訪れたアニメファンのためにドライフラワーを用意し、生花を体験できるようにテーブルも設置した。 

 これに加え、同生花インターナショナル・シカゴ支部は、アニメやマンガに出て来る生花シーンを調べ、生花を生けるアニメ風のオリジナルキャラクターを創り、ポスターやパンフレット、シールやフライヤー、Tシャツに刷り込んで、生花に対するアニメファンの興味を喚起した。

 ウァング氏によると、この様な準備は大変だったが、予想以上のアニメファンの反応があったという。彼らはアニメだけでなく、花や自然、園芸など広い範囲に興味を持ち、日本の美を良く理解し、生花に心を和ませ、生花やポスターと共に写真を撮って喜んでいたという。「アニメファン達は生花の次世代にフィットすると思います。これを知ることがこのプロジェクトの主な目的でした」とウァング氏は語った。

 同コンベンション・センターでは、少なくとも16会場で声優やアニメ・クリエイター、アニメ・プロデューサーのパネル・ディスカッションやQ&Aセッションが、1時間毎に行われた。

 日本の女性群は声優の田中理恵氏、田所あずさ氏、久保ユリカ氏、市ノ瀬加那氏、アニメ・プロデューサーのはやし・かずえ氏など。

 男性群はアニメーターの永作友克氏、キネマ・シトラスのライン・プロデューサーの越石英一氏、アニメ・プロデューサーの山中一樹氏、同じくふじやま・なおかど氏、アニメーター&アニメ・インスペクターのあびる・たかひろ氏、アート・ディレクターでスタジオ・バンブーの創立者・竹田悠介氏、アニメーターの田畑壽之氏、キャラクター・デザイナーの浅野恭司氏、人気のDJタク・タカハシ氏など。

 アメリカや他国からは、長年の声優トニー・オリヴァー氏や鬼滅の刃のグリフィン・バーンズ氏やアレックス・リー氏、ゴールデン・ボーイなどの声優を務めたジョン・スウェイジー氏、インターナショナル・ゲストにはスコットランドのDJタヌキ氏もいた。

 ハイアット・リージェンシー会場

  ハイアット・リージェンシー会場のローズモント・ボール・ルームを満杯にしたのがきゃりーぱみゅぱみゅのライブQ&Aセッションだった。

 きゃりーぱみゅぱみゅ(KPP)は1993年生まれ。まだ10代だったKPPは2011年にミュージック・ビデオ”PonPonPon”でデビュー、そのビデオはユーチューブ上で初公開された。原宿ファッションを凝縮したユニークなファッション、音楽、ダンスパフォーマンスでたちまち世界のファンを獲得し、次々とヒット作を発表した。

 既に2013年から2018年までに4回のワールド・ツアーを成功させ、コロナ禍明けの2021年4月には米国最大規模の音楽フェス・コーチェラ・フェスティバルに出演した。2023年の今年は5年ぶりのワールド・ツアー「POPPP」を実施、ニューヨーク、シカゴ(アニメ・セントラル)ロサンジェルスで公演後、バルセロナ、マドリッド、パリ、ロンドンで公演した。

きゃりーぱみゅぱみゅQ&Aセッション

Q: 10年ぶりのシカゴはどう?。

ライブQ&Aセッションでのきゃりーぱみゅぱみゅ

きゃりー: 久しぶりのシカゴで昨日はライブをしたんですけど、本当に凄くお客さん盛り上がってて、みんな私の歌を口ずさんでくれて、とても嬉しかったです。

 Q: コンベンションを見て回った?

きゃりー: コンベンション・センターの会場に行って、みんな、それぞれのファッションを楽しんでいて、とても幸せな気持ちになりましたし、そこでウサギの、ラビットのお面を見つけて、今度ライブで使おうかなと思って購入しました。

Q: 5年ぶりのワールド・ツアーで、ここに来る前にニューヨークとロサンジェルスでライブをしましたね。そこでまたキャリーのパフォーマンスを多くの人々とシェアできて、どう感じましたか?

きゃりー:5年ぶりという事で、会ってない間にみんな元気かなぁとか、ライブに来てくれるのかなぁとか、ちょっと不安な気持ちもあったんですけど、いざライブをしてみたら、そんな心配はしなくて良かったんだというぐらい盛り上がって、最高のライブになりました。なので待っていてくれていた皆さん、そして今日来てくれている皆さんに感謝です。ありがとう。

Q: 今年のショーは興味深いですね。最初のところでサステイナビリティやディヴァ―シティに触れていましたね。今年のワールド・ツアーをするにあたって触発された事について話してもらえますか?

きゃりー: 今年のツアーのタイトルは「POPPP」。ポップって読むんですけど、キャリーって、すごくポップな存在だよねって言ってくれている事があるんですが、自らポップを名乗って何かライブをすることはなかったので、今回初めて表現してみたいなと思いました。

 そして今30歳になって、そのことをレベル3と自分で呼ぶんですけど、なのでPを3つ重ねています。

 サステイナブルな環境については、私自身も未来に対して不安に思う事があったり、そしてお洋服も凄く好きなので、よりよい環境でファッションを楽しみたいなぁという事で、今回リサイクルで作ったお洋服を取り入れてみたんですが、とにかく軽いし、動きやすくて、なんてライブしやすいんだ、なんてもっと早く気が付かないんだって思うくらい最高のコッチェル(スカート)ができました。

 Q: 日本のニュースで聞きましたよ。今度のツアーのコスチュームの90%はリサイクルだそうですね。今回のツアーは前回の日本国内でのツアーとどの様な違いがありますか?

きゃりー: 基本的にチームKPPは、同じ方々で出来てはいるんですけども、今回一つだけ違うのは、ティーンの5人のダンサーの人達を起用していることです。それはなぜかと言うと、去年コーチェラ・フェスティバルのステージに立った時に、ダンサーさんが体調不良でステージに上がれないという事が起こったんです。その時に一人でステージに上がるって、自分では絶対にできない事だと思っていたんですけど、いざステージに立ってみたら、めっちゃ楽しい、最高っていう気持ちになれて、自分はこれから先なんだってできるんだ、どんな挑戦もできるんだという、すごくプラスな気持ちになりました。

 そうなった時に、やはり、世界中の方の前でライブをするというのは、人生で宝物の経験なので、より多くのダンサーさん達のパフォーマンスを見て欲しいなと思い、今回初めて若い世代のダンサーさんを起用させて頂きました。

Q: 昨年4月のコーチェラ・フェスティバルはどうでした?

きゃりー: コロナのパンデミックで出演を延期してしまったので、本当に出演できるかどうか凄く心配ではあったんですけども、出演してみたら真夜中のステージで、しかもビリー・アイリッシュのステージの裏側だったので、本当に人が来てくれるのかなぁと心配してたんですけど、いざステージに立ってみたらたくさんの人が応援してくれていて、本当に人生にとって忘れられない経験になりました。

 あとは会場に着くまで死ぬほど車にずーっと乗っていて、めちゃくちゃ遠くて、それもびっくりしました。

Q: ステージを見に来た群衆の反応はどうでした?

きゃりー: ステージから見ても、いろんな国のいろんな方が歌って踊っているという光景は、何か本当に世界平和の象徴で、みんなが音楽で、歌って踊りたい気持ちになったら、戦争なんか起こらないのになぁと思えるぐらい、すごく印象に残っていますねぇ。 

Q: キャリーは2011年にロサンジェルスで初めてのショーを行い、デビュー早々に国際的なファンベースを築きました。コロナのパンデミック中に10周年を迎えた訳ですが、多くのファンを世界中に持つことについてどう感じていますか?また、自身の音楽パフォーマンスをどの様に改善していますか?

きゃりー:  海外でライブするのって、本当に最高です。やっぱり日本人は控えめな気持を持つ人やシャイな人が多いから、ライブで盛り上がっても、パチパチって拍手をしてくれる感じなんですけど、こちらのオーディエンスは大きな歓声を送ってくれるので、それが耳から離れないくて魂がぞくぞくする、すごくエキサイティングな気分になります。

 私は英語がそんなに喋れないですけど、最近NHKの番組で「えいごであそぼ Meets the World」っていう番組のしんまい魔法使いきゃりーの役を始めたので、ちょっとずつ英語を練習して行きます。最近覚えたのは、what color do you like? です。

Q: きゃりーは日本の、特に原宿文化の大使みたいですね。日本文化を探索する多くの人達とどの様に連帯感を鼓舞するのですか?

きゃりー:「原宿カワイイ大使」に任命されたのは本当にすごく嬉しい事でした。私の人生は2つに分かれていて、普通の女の子で生まれたんですけど、高校一年生の時に原宿とい言う街に出会って、本当に雷に打たれたような衝撃を受けました。そこではどんな服を着ても、どんなふうに表現しても許されるんだという事を知って、そこからどんどんどんどん派手なお洋服を着たり、個性的なファッションをすることが好きになって行きました。

 その後に歌手デビューをして、今日この様に皆さんの前でお話ができるようになって行ったので、ともかく原宿という街には感謝したいです。

 でも、そんな原宿もやはりパンデミックの影響があって、私が行っていたお店もシャッターが閉まってしまっていたりするので、なぜか今原宿に恩返しができたらいいなと思って考えているところです。 

Q: きゃりーのミュージック・キャリアについてですが、デビューから10年間、ずっとプロデューサーの中田ヤスタカ氏と仕事をしていますね。一人のコラボレイターと長く音楽の仕事をするのはなぜですか?

きゃりー: 元々高校生の時に中田ヤスタカさんが作っている音楽ユニット「CAPSULE」や、中田さんがプロデュースしている「Perfume」という人たちが凄く好きで、ずっと音楽を聴いていたので、まさか自分がデビューできるなんて、今でも夢を見ているような気持ちでいっぱいです。

 で、確かにデビューしてからずっと中田ヤスタカさんのプロデュースではあるんですけども、やはり彼が作る歌詞や作曲の総てが大好きなので、その楽曲を歌えて凄く幸せです。私がよく言っていることは、もし中田さんがこの世からいなくなってしまったら、きゃりーぱみゅぱみゅ自体もリタイアというか、他の人のプロデュースで音楽をやって行きたいという思いは今は無いので、それぐらい本当に一心同体という気持ちで、何かパートナーとして凄く幸せな存在だなあと思っています。

Q: 自分の曲で気に入っているのは?

きゃりー:  Candy Candyというアルバムの中にドドンパという曲があって、最初に私がヴォイス・パーカッション、ティック、ティック、ティック、ティックっていうのから始まるので、レコーディングの時は息継ぎで死ぬかと思いましたが、やはり歌を歌って行くうちに上手く歌えるようになって行って、今ではもう余裕な気持ちでタップをしていて、凄く衝撃でした。

 ドドンパと言う言葉は別に日本でもなくて、世界中にある言葉ではないと思うんですけど、なんか擬音とかリズムを楽しむ感じが凄くいいなぁと思っいて、それが今の私の気分ぽいんだなぁと思っています。

 Candy Candyは挑戦的なアルバムで、自分への挑戦でもあります。ライブをしていると、PonPonPonやファッション・モンスターなどみんなが知っている曲は盛り上がるんですけど、ドドンパなどは余り海外で披露したことはなかったので、どうかな…と思ったら、やっぱりオーディエンスの皆様は心地いいみたいで、曲は聞いたことがなくても乗ってくれるので、最近は積極的に披露しています。

きゃりーぱみゅぱみゅ (R) & Moe Shop (L)

Q: 今回のツアーにオープニングアクトとして、東京を拠点とするエレクトロニック・アーティストでJポップとクラブミュージックを独自に融合したフランスのDJ、Moe Shop氏が参加していますね。

きゃりー: 海外ではオープニングアクトというのは結構当たり前にあるんだよと聞いていて、どうなんだろうと思ったのですが、モエちゃんの楽曲を聞いて、もうスーパークールでかっこよくて、まさにモエちゃんの歌が一緒であれば、このワールドツアーが世界征服できるんじゃないかと言う風に思いました。また、モエちゃんが本当にアメリカで大人気で、モエちゃんのお陰もあってたくさんの人に見てもらえたと思っていますので、本当にサンキュー。 

Q: ここから両親や世界の誰かにメッセージは?

きゃりー: みんな、眠たくないかぁ? 

 私は明日、東京に帰ってしまいます。今日ここにいて、私達のお話をきいてくれて、ありがとう。サンキュー。

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