モントローズ墓地でメモリアルデー・サービス 先人の働きや犠牲を繰り返し話し、次世代へ伝える
シカゴ市北部にあるモントローズ墓地で５月30日、日本・日系コミュニティのメモリアルデー・サービスが行われた。モントローズ墓地には2000人を超える日本人・日系人が永眠し、シカゴ共済会が毎年メモリアルデーにサービスを開いているが、コロナ禍により3年ぶりの対面で行われた。
シカゴ共済会のプレジデント、ゲイリー・シモムラ氏によると、オンラインで開催された昨年のメモリアルサービスには600回を超えるアクセスがあり、通常モントローズ墓地に集まる約250人をはるかに超えた。このため、共済会では今年のサービスをビデオ撮りし、共済会のウェブサイトで見られるようにする予定。ウェブサイトはjmaschicago.org。
人種差別が厳しく日本人は死んでも行き場がないと言われていた1900年代前期、当時シカゴに住んでいた約300人の日本人がシカゴ共済会を1935年に発足させた。以来、日本人の埋葬を唯一受け入れてくれたモントローズ墓地に墓地を確保し、墓地が必要な人には安価で提供して来た。また、発足後すぐに納骨堂の建設に着手し、身寄りのない人達の遺骨を安置して来た。
共済会発足から87年が経ち、今やモントローズ墓地はグリーンの上にそよ風が渡る、故人の安らぎの場所となっている。毎年シカゴ二世ポストが退役軍人の墓に星条旗を供えている。
シモムラ氏は「（日系社会の）メモリアルデーは我々の国を護るために働き命を捧げた、我々の退役軍人を追悼する日。この中には歩兵隊や前線で戦った兵士だけでなく、トレーニングを提供した軍人、食料や弾薬を運んだ兵士や衛生兵を含む。また、通信傍受や捕虜とのコミュニケーション、尋問などに献身した諜報員もいたし、前線には行かなかったが訓練を受けいつでも出動できるように基地で控えていた兵士もいる」と話し、米軍で奉仕した人々に敬意を表した。
シモムラ氏によると、日系アメリカ人コミュニティからは第二次世界大戦中、14,000人が入隊した。彼らは家族が強制収容所に収監されていても、ハワイでは生活が妨害されていても、任意または徴兵で出兵した。日系二世は第100歩兵大隊と第442連隊戦闘団を形成し、第二次世界大戦で最も多くの勲章を受けた部隊となった。
シモムラ氏は「この話は繰り返し語られなければならない。そうすることにより二世兵士のとてつもなく大な犠牲を将来の世代が忘れることはないだろう」と語った。
挨拶に立った田島浩志在シカゴ総領事は、「自国を護るために立ち上がった人々を思い出すことの重要性は、決して衰えることはない」と述べ、モントローズ墓地に眠る人々に敬意を表した。
また、新型コロナによるパンデミックやウクライナで起きている戦争に触れ、犠牲になった人々や悲しみに暮れる残された人々を思いやることを忘れてはならないと話した。
田島総領事は「多人種・多民族の中でその違いを理解し受け入れることが対立を抑える効果的な道だ」と述べ、「昨年成立し今年発効したTEAACH Act （Teaching Equitable Asian American Community History Act）が日系人に対する理解を深め、多様なコミュニティー間の協調が米国を越えて広がることを願う」と語った。
メモリアルデー・サービスはシカゴ二世ポスト1183部隊による星条旗設置で始まり、由紀・スクロギンズ牧師とジェウン・モリ・シーガル牧師による聖書の言葉が読み上げられた。また、ロン・ミヤムラ住職、パティ・ナカイ住職、村上佳代・立正佼成会シカゴ支部長らシカゴ仏教会連盟による読経、天理教シカゴ教会のマサヒト・キムラ氏による祈りが捧げられた。
チェルシー・ヒカワ氏指揮でクリスチャン・クワイヤーによる “River in Judea”や賛美歌“Sweet By and By”、そよかぜコーラスによる“なだめ”“花”“ふるさと”など、爽やかな歌声がモントローズ墓地に響き、静かに眠る人々を慰めた。
最後に日本・日系団体の代表により献花が行われた。団体名と代表者名は英語面を参照。
献花
クリスチャン教会、リサスローン
仏教教会、ヨーコ・マイラー
天理峡教会、文岡道子
金光峡教会、竹内正典
平和テラス、村田アリス
Chicago Nisei Post＃1183 American Legion、ロバート ・ハシモト
シカゴ日系アメリカ人歴史協会、ジャン・ミシマ
日系アメリカ人市民連盟-シカゴ支部、矢田部トム
日系アメリカ人コミュニティ、マイケル・タニウラ
シカゴ日米協会、馬場光国
日米評議会、二乃湯アンナ
日本文化センター、スティーブン豊田
日系アメリカ人奉仕委員会、メトカルフ靖子
日本商工会議所三谷哲郎
シカゴジャパニーズクラブ、藤本島
シカゴ日系アメリカ人評議会、吉池学
シカゴ日本総領事館田島宏
シカゴ日本相互援助協会、ニール・カネモト