シカゴ日本人会、一堂に会し新年を祝う
ヘイズ市長よりベアーズの近況も!
シカゴ日本人会(CJC)の新年会が1月21日、ストリームウッドにあるセヴィルで開催された。3年ぶりの対面での新年会には約100人の会員と家族、来賓、ボランティアなどが出席し、二段重ねの豪華なお節料理を始め、餅つきや箏演奏、和太鼓演奏、じゃんけん大会、大抽選大会など、正月らしいプログラムを楽しんだ。
来賓として、田島浩志在シカゴ総領事、トム・ヘイズ・アーリントンハイツ市長夫妻、星野元宏領事、三谷哲郎JCCC事務局長、さくらラジオの井口由美氏、会場設営に奔走したボランティアの高校生らが出席し、藤本光CJC会長、田島総領事、ヘイズ市長が新年の挨拶に立った。
CJCの新年会はジュレティック・由紀氏の司会で幕が上がり、芝原舞氏のリードにより日米両国歌の斉唱が行われた。
藤本光会長挨拶
藤本光会長は3年ぶりの対面での新年会開催を喜び、コミュニティ貢献が認められた吉池学元JCJ会長の外務大臣賞受賞を祝った。
また藤本氏は、今年シカゴ日本人会が創立30周年を迎えたことについて「創立者でいらっしゃる荻野敏雄様、歴代の会長、役員、理事の方、そして元会員、或いは現会員の皆さんの長い間のご貢献に、心よりお礼を申し上げたい」と感謝の気持ちを語った。
藤本氏は「本日は皆さんの歓談の場ですので、ぜひ良い想い出になりますようにお楽しみ頂ければ」と述べ、挨拶を結んだ。
CJCミッションステートメント:
CJCは1993年の設立以来、会員同士の交流、助け合いを基盤とし、地域社会の一員として文化交流、相互理解、教育の促進に努め、健全で豊かなコミュニティ作りに参加することを活動理念としている。
田島浩志総領事挨拶
田島浩志総領事は「3年ぶりのインパーソンでの新年会で、皆様にお目にかかれて大変嬉しく思います」と話し、一堂に会したCJC新年会を祝った。また、総領事館の活動へのCJCメンバーの協力と理解に感謝の言葉を述べた。
田島総領事は、教育、健康、日本伝統文化などの各種セミナー、コンピューターサロン、習字教室、フリーマーケット、ゴルフトーナメントなどの実施、シカゴ・ジャパニーズ・ピックニックでのかき氷の提供、電気や水回りなどのトラブルを助けてくれるオタスケマンなど、広範囲に及ぶCJCの活動を一つ一つ挙げ、「心から敬意を表します」と称賛した。
また、バラエティに富んだ新年会プログラム作りだけでなく、車の運転ができない新年会参加者への送迎サービスなど、助け合いの取り組みにも感銘を受けたと語った。
田島総領事は、今年開催される大阪-シカゴ姉妹都市提携50周年行事や、東京で開催される日米中西部会の合同会議などに言及し、昨年10月に日本への渡航手続きが簡素化された事により日本-中西部間の人的交流が活発化することが期待されると話し、1月13日の岸田首相とバイデン大統領との首脳会談に見られるように「日米関係はかつて無いほど強固なものになっている」と語った。
また田島総領事は、来在留邦人、日系人、日本に関心を持つアメリカ人との間の関係強化が着任以来のゴールの一つだと述べ、それを今年も一層推進し、より強固な日本-中西部関係や日米関係の基盤作りに繋げたいと語った。
最後に田島総領事は、皆さんがシカゴで安全に、安心して生活できるように、様々なサービスを提供する事が在シカゴ総領事館の最重要ミッションだと述べ、懸念することがあれば遠慮無く総領事館に相談して欲しいと呼び掛けた。
トム・ヘイズ・アーリントンハイツ市長挨拶
トム・ヘイズ市長は市長に就任してから10年となり、それ以前はアーリントンハイツのヴィレッジ議会の議員(Trustee)を32年間務めていた。
-ここで豆知識:ヴィレッジは村と和訳されるが、そうではない。ヴィレッジとシティの違いは人口の大小ではなく、選挙区の違いにある。ヴィレッジでは自治体全域から複数の議員(Trustee)を選出する。一方、シティは複数の選挙区持ち、それぞれの選挙区から1人の議員(Alderman)を選出する。シティは選挙区を持つためにシカゴのような大きな自治体に向くが、シティ・オブ・パークリッジやシティ・オブ・デスプレインツのように小さな自治体もあることを知っておこう。
ヘイズ市長はCJCの新年会に毎回出席し、アーリントンハイツの近況を語ってくれる。「皆さんの3年ぶりの新年会に招待してくれてありがとう」とヘイズ市長は、アーリントンハイツに本拠を置くCJCを歓迎した。また、日本・日系コミュニティとの良好な関係も歓迎した。
ヘイズ市長は事前に在シカゴ総領事館のウェブサイトをチェックし、日米関係強化推進をゴールの一つにしている田島総領事のメッセージをメモに取って来たと話し「だから今日の午後は、関係強化推進をやることを楽しみにしている」とウィッティーに語った。
ヘイズ市長によると、アーリントンハイツの人口は77,000人を超え、イリノイ州で最も大きな15のタウンの一つとなっており、家庭生活を重視する街として知られている。毎年2億ドルの予算を持つ大きなコミュニティで「私としては家庭の価値を重視するアーリントンハイツを、アメリカ最大のスモールタウンと呼びたい」と市長は語る。
また、アーリントンハイツはビジネス成功支援にも重点を置き、コロナ禍でダメージを受けた飲食店や商店の救済にも街ぐるみで協力した。例えばレストランを助けるために屋外での食事を可能にし、住民もそこで食事をし、レストランの経営を支えたのだという。
ヘイズ市長はまた、この3年で住民の多民族性が進んだことに驚いたと話した。この傾向はノースウェスト郊外の自治体でも同様だという。「アーリントンハイツは多民族性、異なる国々の文化や人々を大いに歓迎する。多民族が住むことで我々のコミュニティの生活の質をいろいろな面で高めてくれる事を有り難く思っている」とヘイズ市長は語った。
ヘイズ市長に会って、誰もが訊きたいことはBEARS!
それに応えてヘイズ市長は、ベアーズのアーリントンハイツへの本拠移行案の近況について話した。
ベアーズが本拠を移す意向を進めているアーリントン・パーク・レース・トラックの跡地は326エイカーで、現在売りに出ている。「100年近く我々の街にあった競馬場が転出したのは非常に残念な事だが、326エイカーの一等地を開発する一生に一度の機会だ」とヘイズ市長は期待を込める。この一年半の動きは非常に遅いが、ベアーズや利害関係者、メトラ鉄道やクック・カウンティ、イリノイ州などの多くの要人を巻き込み、アーリントンハイツは実現に向けて話し合いを進めているという。
ヘイズ市長は「私は希望を持っている。向こう数週間のうちにアーリントンハイツ移行への最終決定が下される予定で、それからが難しい段階に入る。競馬場跡地の購入決定がそのままスタジアム建設という意味ではないからだ。これからがステージ2。だが私は確かな希望を持っている」と語った。
「ベアーズは50年間ソルジャー・フィールドにあったが、アーリントンハイツをホームに向こう50年、いやそれ以上何十年も居てもらいたいと望んでいる。本当にワクワクするような事がヴィレッジ・オブ・アーリントンハイツで起きている。(田島総領事が言われるように)皆さんとの素晴らしい関係強化を楽しみにしている。新年を祝う餅つきも楽しみにしている」と挨拶を結んだ。
ベアーズの近況報告に興奮冷めやらぬ中、「よいしょ!」の掛け声と共にヘイズ市長、田島総領事、吉池元CJC会長/現日系評議会会長による餅つきが始まった。
ジュレティック氏によると、餅つきの伝統行事は新年に繁栄をもたらすと言われているという。
餅つきで沸いた会場ではお正月の歌「一月一日」を全員で斉唱し、藤本会長の音頭で乾杯が行われた。
その後は二段重ねの豪華なお節料理を食べながら、出席者は歓談タイムを楽しんだ。
昼食後は木村登貴子さんによる箏演奏「鳴神」と「六段の調べ」で正月気分が盛り上がった。木村さんは作曲家・箏曲家として有名な宮城道雄師(1984-1956)の一族で、幼少の頃から箏やピアノを習っている。
続いて司太鼓グループによる和太鼓演奏が行われた。タツ・青木氏によると、この日の和太鼓演奏は「東京の下町スタイル」なのだという。青木氏は東京出身で置屋にうまれ、太鼓の音を子守歌代わりに育った背景を持つ。
最後にお待ちかねの大抽選大会が行われた。キャッシュや食事券、貴重なワイン、カップ麺丸ごと一箱などバラエティに富んだ驚きの賞品に歓声が上がり、和気藹々と午後のひと時を過ごす楽しい新年会となった。