街を歩きながら生花を見る「生花Walking展」地元商店の経済支援と日本文化紹介ぷろぐらむ

Photo: the second from the left, Calvin Cottrell, Bennett R. Lawson, Stephen Toyoda, Charles Harris, Yuko Inoue Darcy, Ty Yamamoto and Saira Chambers | Yoshiko Urayama

街を歩きながら生花を眺めようというイベント「生花Walking展」が7月9日と10日の両日、シカゴ市ノースサイド(北部)のサウスポート通りで開催された。

沿道にある15店のレストランや商店の店内やウィンドウには、池坊と小原流の生花が展示された他、4店に生け花をテーマにしたアバンギャルドタイプの書道(小田碧雲氏作)や、折り紙の花を花瓶にアレンジしたアート(タイ・ヤマモト氏作)が展示され、コーヒーを飲んだり買い物をする人たちが自由に生花やアート作品を楽しむことができた。

Photo: Ohara Ryu Ikebana at Julius Meinl Restaurant and Café | Yoshiko Urayama

同イベントは地元商店の支援と、同時に日本伝統文化の一つである生花の紹介を目的に企画されたもので、日本文化会館(Japanese Culture Center)がレイクビュー・レスコー・ヴィレッジ商工会議所や日本芸術ファウンデーションとパートナーシップを組み、池坊シカゴ支部と小原流シカゴ支部の協力で開催された。また、西レイクヴュー・コミュニティの商業を支援するSSA27とメリサ&ジョン・ジバナ夫妻がスポンサーとなって行われた。

9日正午にはブラウンラインのサウスポート駅で「生花Walking展」のテープカット式典が行われ、日本文化会館代表のスティーブン・豊田氏、日本芸術ファウンデーション のディレクターのセイラ・チャンバーズ氏、池坊シカゴ支部長のチャールズ・ハリス氏、小原流シカゴ支部の井上裕子氏、シカゴ市議トーマス・タニー氏のチーフスタッフのベネット・ローソン氏、同市議コミュニティ・アウトリーチ・ディレクターのカルヴィン・コットレル氏らが出席した。

ベネット・ローソン氏は「特有な日本伝統の一つ、生花を展示するのに最高の天気だ。展示の生花は多くの異なるコミュニティの人々に良く伝わるように工夫されていると思う」と話す。

ローソン氏は大学時代に生花を習ったことがあり、生花は身近に感じるという。「(生花を)見る人達はたぶん、生花の奥に込められている意味を理解できていないと気が付くだろう。生花はただ花を花瓶に生けているだけじゃなく、多くの意味がある。だから生花を店に展示することは、(生花に親しみ学ぶ)良い機会だと思う」と語った。

Photo: Ikenobo Ikebana at Evereve Clothing – Boutique | Yoshiko Urayama

カルヴィン・コットレル氏は「このイベントは地元の商店にハイライトを当てる非常に良い機会だと思う。また、日本文化会館を支援する道でもある。トム・タニー議員事務所はいつでも喜んで力になる」と語った。

池坊のチャールズ・ハリス氏は「生花についてはアートの形として言うべきことが多くある。しかし、究極的には花の声を聴くことだ。花はそれぞれのアーティストに話しかけている。だからウィンドウの生花を見たら、花が何を話そうとしているのか聴いて欲しい」と聴衆に呼び掛けた。

8店舗に生花を展示した小原流シカゴ支部長の井上裕子氏は「各店のお客様の年齢層、店の趣味、若い人達が集まる店、いろいろな職種の人達が集まる店、朝早くから開いている店、夜遅くにやっている店というような各店の特徴に合わせ、お客様の好みの花や雰囲気を想像し、花材や形などを考えて生花を生けてみるのは楽しいですね。新しいものを、違うものをと、チャレンジになりますし、私にとっては勉強の場になって感謝しています」と話す。

例えば酒テイスティングが行われたGalleria Liqueursは、きらめくシャンデリアがあり、いろいろなラベルのワインがたくさん並んでいる場所。そこには菊の多種生けという小原流盛花の古典的な花形の生花を入れ、洒落た店内と日本酒と生花のコントラストと融和のバランスを図った。

Julius Meinl Restaurant and Caféはオーストリアに本店があるオシャレな店。首都のウィーンは音楽の都と言われ、格調高いクラシック音楽が聞こえて来そうな気がする。その様な雰囲気をイメージした小原流の新しい花形の生花が飾られていた。

Candyalityはカラフルなキャンディやお菓子、ポップアートが並ぶ日小さなキャンディ・ショップ。「そこにはあえて、静かな生花を入れました」と井上氏は語った。

池坊生花は店の外のウィンドウから見るように置かれていた。シカゴ支部長のチャールズ・ハリス氏は店々に飾った生花について「店と場所による。我々が試みたのは、それぞれの環境に応える事で、各々の生徒がウィンドウにアレンジしました」と話す。

生花やアートが展示されたのはレストランやカフェ、酒店、メガネ店、キャンディ・ショップ、化粧品店、衣料品店、靴店、クラフト材料店など様々。

また、「生花Walking展」で多くの人達が生花を身近に感じることについて、「それがこのイベントのワクワクするところです。池坊シカゴ支部は中嶋一華先生によって創立され、今年で58年、2025年には60周年を迎えます。池坊はこの地域で一番古い生花スクールの一つなんですよ」とハリス氏は語った。 

Photo: Ikenobo Ikebana at Framebridge Southport | Yoshiko Urayama

Photo: Ohara Ryu Ikebana at Galleria Liqueurs | Yoshiko Urayama

Photo: Ohara Ryu Ikebana at Candyality | Yoshiko Urayama

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