タカラジェンヌ「World of Dreams」公演、シカゴアンを魅了
宝塚歌劇団O.G.による「World of Dreams」公演が8月20日、シカゴ市郊外シャンバーグのアル・ラーソン・プレアリー・センター・フォー・ザ・アーツで開催された。
目が覚めるような美しい歌と踊り、そして数々の華やかな衣装でひと時の夢の世界へいざなってくれたタカラジェンヌは、毬穂えりな(まりほ・えりな)さん、天羽珠紀(あもう・たまき)さん、綺華れい(あやか・れい)さん、珠まゆら(たま・まゆら)さん。研ぎ澄まされた4人のタカラジェンヌのパフォーマンスは、完璧を追求する日本ならではの宝塚ショーの世界を存分に見せてくれた。
プログラムは宝塚の魅力たっぷりの20曲。ベルサイユのバラやディズニー・プリンセスのメドレー、宝塚の歌声で良く知られる「すみれの花咲く頃」、ロミオとジュリエットより「バルコニー」、宝塚ファントムより「君は音楽」と「お前は私のもの」、バスティーユの恋人達を歌う「1789 : サ・イラ・モナムール」、皇妃エリザベートより「夜のボート」と「私だけに」、宝塚舞踊詩「さくら」。
インターミッションを挟んで第2部は和服に着替えて「宝塚行進曲」や「宝塚ソーラン節」を披露。再度洋装に着替えて、ブロードウェイミュージカルよりコール・ポーター作詞作曲の「Night & Day」、ミュージカル「モーツァルト!」より「星から降る金」、「エル・クンバンチェロ」、「君と旅立とう」という意味をこめた「Time to Say Goodbye」、「モアー・ダンディズム!」より「アシナヨ」、宝塚で公演されたテンダー・グリーンの主題歌「心の翼」、そして最後の曲は「Energy for Future」だった。
タカラジェンヌ達は午前10時からプログラム通りにドレス・リハーサルを行い、それから舞台に立つという、プロ意識とエネルギーに満ちた人達だった。
宝塚O.G.によるWorld of Dreams公演は、同ショーのエグゼクティブ・プロデューサーの咲子・フラワー氏の世話により、シカゴ-大阪姉妹都市提携50周年記念祝賀イベントの一環としてシカゴ姉妹都市インターナショナル大阪委員会の協賛、シカゴ日本商工会議所の広報支援で行われた。
前日の日本祭りの舞台でもタカラジェンヌ4人による特別パフォーマンスが行われ、日本祭りの観客を魅了した。
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World of Dreamsシカゴ公演は元々、2020年3月に予定されていた。しかし、新型コロナ感染拡大が深刻さを増し、キャンセルとなった。
同公演シリーズは、宝塚市出身でシアトル在住の咲子・フラワー氏によって着手された。アニメファンのコスプレイヤー達と知り合ったフラワー氏は、宝塚の舞台を見るのが一生の夢と目を輝かせる彼らの姿を見て、「だったら、少しだけ夢を叶えてあげようと言い出したのが始まりでした」と話す。
フラワー・咲子という名前は芸名のようにも聞こえるが、その名前は本名であり、宝塚市出身というだけで、宝塚歌劇団との関係はなかったのだという。そのフラワー氏が自己負担もいとわず、宝塚O.G.の人々と連絡を取り、手探り状態で2017年にシアトルで初めてWorld Dreams公演を実現した。今年の米国公演は4回目となる。
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20日のシャンバーグ公演終了後、フラワー氏は挨拶で「キャンセルになった2020年3月公演のために既にプログラムを作っていて、宝塚O.G.達は練習もしていたので、どうしてもお披露目をしたいと思っていたところにお声掛けを頂いて、皆さんのお力があって公演を実現できたことを本当に嬉しく思っています」と語った。
また、同公演プロダクション・マネージャーの阿部江利子氏は「今日の宝塚O.G.の公演をご覧になって、皆さん『宝塚がどんなに素晴らしいか、パフォーマンスのためにタカラジェンヌ達がどれ程トレーニングを積んで来たか、世界中に紹介したい』という同じ思いを感じていらっしゃる事と思います」と話し、宝塚の素晴らしさをぜひ他の人々に伝えて欲しいと呼び掛けた。そして、「また(シカゴに)帰って来れるようにお願い致します」と挨拶を結んだ。
タカラジェンヌの挨拶
リハーサルから本番の舞台まで長時間のパフォーマンスにも拘わらず、タカラジェンヌ達は疲れも見せず、一言ずつ挨拶と自己紹介をしてくれた。
毬穂えりなさん
「3年前にコロナで中止になったこのコンサートが、フラワーさんの元に、皆様のお力とサポート、そして愛のお陰で実現できました。皆さんとご縁ができた事が、本当に心から嬉しく幸せに思っております。必ずまた、シカゴの方に来たいなと思っております。ぜひ日本にも遊びにいらして下さい。本日は本当に、どうもありがとうございました」。
毬穂えりなさんは宝塚歌劇団80期生で1992年4月に宝塚音楽学校に入学、1994年3月に宝塚歌劇団に入団し、「火の鳥」でデビューした。雪組と宙組(そらぐみ)で活躍し、2006年に「Never Say Goodbye」を最後に引退した。
その後は数々の音楽活動や劇場活動を続け、現在もフリーでライブコンサートやディナーショー、海外公演、パーティーインナーイベント、講師などで活躍中。
詳しい情報は https://4j6of.hp.peraichi.com 。
天羽珠紀さん
「私は宝塚に15年間男役で在籍して、宝塚をやめて11年ぐらいなります。その間は余り舞台に立っていなかったんですけども、ちょくちょく芸事は続けており、普段は鍼灸師、アキュパンクチャーをしております。今回、阿部さんにお声掛けして頂いて、このメンバーの中に入れさせて頂いて、本当に幸せな時間を過ごさせて頂きました。本当にありがとうございます。
宝塚本拠近くの実家でアキュパンクチャーをやっているので、もし宝塚にいらっしゃったら、いつでも電話をかけて頂いたら治療させて頂きます」。
天羽珠紀さんは83期生で、1997年に入団。男役として宙組で活躍し、2011年に「クラシコ・イタリアーノ-NICE GUY!!」を最後に引退した。
以後2015年に針灸師国家資格を取得し、日本美容鍼灸マッサージ協会認定美容鍼灸氏として、ボイストレーナーとして、宝塚後輩や志望者達の指導も行っている。
また、水泳、陸上、テニス、新体操などのスポーツに親しみ、スポーツアロマトレーナーとしても活動している。
詳しい情報は、 https://www.tamakiamo.com 。
綺華れいさん
「私はWorld Dreams総ての公演に参加させて頂いております。コロナが明けて、漸くまた海外にお住まいの日本人の方々や、海外のスーパーファンの人達にもお会いできる機会ができて、とても嬉しく思っております。
宝塚も来年110周年迎えますが、日本の文化としても語れる宝塚歌劇団ではないかと思いますので、私達はO.G.ですので微力ではございますが、たくさんの方々にもっともっと宝塚歌劇団を知って頂きたいと思っております。今回もたくさんのご縁を頂き、本当にありがとうございました」。
綺華れいさんは84期生で1998年に入団。宙組公演「シトラスの風」で初舞台を踏み、後に星組の配属となった。男役として活躍し、「ベルサイユのばら」のアラン役、同海外公演ではベルナール役を務めた他、スター選抜メンバーによる宝塚クリエイティブアーツ(TCA)スペシャルにも連続出演した。そして2008年に華やかな舞台を降りた。
退団後、海外公演をはじめミュージカルやホテルディナーショー、ライブ出演など宝塚O.G.として舞台をメインに活動し、「国民的美魔女コンテスト」の一般投票でグランプリ賞を受賞。その他、イベント、司会、モデル等多岐にわたり活動している。
オフィシャル・ブログは、https://ameblo.jp/rei-ayaka/ 。
珠まゆらさん
「私もWorld Dreamsシリーズで3回目になるんですけど、前回来れなくてとても残念に思っていたので、念願叶ってシカゴに来れて本当に嬉しく思っています。来る前からユーチューブなどを見てとても楽しみにしていたんですけど、来てみたらもっと綺麗な所で、毎日ワクワクと過ごさせて頂いています。
今日は皆さんがとても暖かく見て下さって、久しぶりにこの感覚を思い出して、もの凄く胸が熱くなりました。いろいろとサポートして頂きまして、本当にありがとうございました。また皆様にお会いできる機会を楽しみにしております」。
珠まゆらさんは86期生で2000年に入団した。花組で娘役として活躍し、2006年に退団した。
現在は実家の化学会社を手伝う一方、自らのアンボメー株式会社でCEOを務める。 現在もいろいろな周年行事でパフォーマンスを披露する一方、綺華れいさんなどと共に、昭和モダン戯曲「藤の扇」など、いろいろなショーを開いている。
詳しい情報は https://ameblo.jp/tonton86th/ 。